イベントレポート

IFA 2014

ネットワークと繋がることで家電は次のステージへ~IFA2014事前説明会

世界50カ国以上、300人以上の記者が集結する「IFA」の事前説明会「IFA Global Press Conference」

 毎年秋にドイツ・ベルリンで開催される世界的な家電見本市「IFA」の事前記者説明会「IFA Global Press Conference」が4月24日から26日(現地時間)に、トルコ・ベレクで開催された。

 世界50カ国以上、300人以上の記者を招待して行なわれるプレイベントで、協賛メーカーやIFAの関係者によるプレゼンテーションが行なわれる。家電Watchではその中から生活家電について、レポートする。

IFAガール。IFAのイメージカラーである赤い服、赤い髪がポイント
協賛メーカーの1つ。ケルヒャーの展示ブース
ミーレの洗濯機やオーブンなども展示されていた

家電のスマート化はより加速する

 様々なプレゼンテーションの中で、白物家電についてはインターネットに製品をつなぎ、スマートフォンやタブレットで操作できる「スマート化」が今後ますます進むことが強調された。

 ドイツのBSHのプレゼンテーションでは、製品のブランドを問わず様々な機器をスマートフォン、タブレットから操作できるアプリケーション「Home Connect」を紹介。アプリをオープンソースにし、単純な構造とすることで、専用のゲートウェイやボックスなどを用意することなく使える点が特徴。自宅にインターネット環境があれば、すぐに使えることができるという。

 また、Home Connectでは家電4品の操作のみならず、通信販売や料理のレシピなど様々なサービスにも対応していく予定という。現在はビジネスパートナーを探している段階で、実際の運用については未定。

ブランドの異なる製品を1つのアプリケーションで操作する
将来的には家電を操作するだけではなく、家電からの情報もアプリで受け取れるようになるなど、様々な可能性を秘めているという
家電製品を自宅のルーターに接続するだけで使えるシンプルな仕組みを採用。専用機器などを用意する必要がなく、インターネット環境さえあれば使えるという

 GfKやMesse Berlinの代表者などが登壇した全体カンファレンスでも、家電製品をインターネットにつなぐことで新たな利便性や技術が生まれることが指摘された。

全体カンファレンスでは、GfKやMesse Berlinの代表者などが登壇。最近の傾向や、今後の予測などをプレゼンテーションした
今後のトレンドとして挙げられた製品。スマートハウスや、活動量計、健康機器などが挙げられた
家電製品はスマートフォンから操作できる製品が増えていくという

ミーレがロボット掃除機に参入

ミーレが新たに発売するロボット掃除機「Scout RX1」

 IFA Global Press Conferenceの協賛メーカーの1つ、ドイツの大手家電メーカー、ミーレのブースでは、2014年5月に発売するロボット掃除機が展示されていた。ロボット工学のスペシャリストを抱えた韓国の若い会社とタッグを組んで開発した製品で、製品名は「Scout RX1」。ドイツでの販売価格は619ユーロ。ミーレは1927年から掃除機を作っている老舗メーカーだが、ロボット掃除機を発売するのは今回が初めてとなる。

 Scout RX1は、独自のナビゲーションシステムを搭載したロボット掃除機。本体には、ジャイロセンサー(角速度センサー)、室内の天井をスキャンするカメラ、家具や壁への衝突を避けるセンサー、落下防止センサー、赤外線センサーなどを搭載する。これらのシステムにより、「1つのコーナーも残すことなく掃除できる」という。

独自のナビゲーションシステムを搭載しており、全てのコーナーをくまなく掃除できるという
充電スタンドに自動で戻る機能も備える
本体上部にカメラを搭載
ダストボックスは横から取り出す方式
本体裏側。サイドブラシ、メインブラシ、モーターでゴミを吸い込む、トリプルシステムを採用
サイドブラシ

 このタイミングでの参入についてミーレでは、「ロボットクリーナーが最初に登場した当初はダストピックアップ率や、バッテリー寿命の問題などがあり、ユーザーが満足できる製品とはいえなかった。ミーレのユーザーは、妥協した製品では決して満足してくれない。技術的に円熟したパワフルな製品だからこそ、発売できる。価値のある技術を搭載したことで、市場においても存在感を発揮するだろう」とコメントする。

 IFA2014は、9月の5日から10日までドイツ・ベルリンで開催される。オープニングキーノートはSamsung ElectronicsのPresident & CEOを務めるBoo-Keun Yoonが行なうことが既に発表された。来場者数、出展者数ともに年々増加しており、2014年からは、展示スペースをさらに拡大させるという。家電Watchでは現地リポートを予定している。

阿部 夏子