イベントレポート IFA 2013
LG、家族の写真を表示できる冷蔵庫など最新スマート家電を一挙展示
(2013/9/9 00:00)
LGエレクトロニクスといえば、テレビやタブレットのイメージが強く、日本での生活家電の展開は洗濯機とロボット掃除機のみだ。が、欧州では幅広い生活家電を展開している。IFAでは新型タブレットを発表し、それを軸にしたスマート家電を発表した。NFC(近距離通信)を搭載し、冷蔵庫、洗濯機、ロボット掃除機、オーブン・レンジなどを、スマホをかざすことで簡単にデータのやりとりをしたり、通信機能を使って遠隔で操作ができる。また、スマホで操作できる診断アプリのアップデートも発表された。
冷蔵庫では、庫内の食材リストの在庫や賞味期限を記憶し、買い物時に参考にしたり、レシピと連動するなど、日本のスマート家電と同様の機能を有する。一方で、スマホで写真を撮って冷蔵庫に向かって投げるようなアクションをすると、冷蔵庫の画面に送り、遠方の家族と共有できる機能がユニークだ。最大の市場であるアメリカで家族の写真を冷蔵庫に貼るという文化を反映した機能である他、核家族化が進む中、年配の人にとって使いやすい形で写真を送れるため、この機能を活用することで遠方に住む祖父母が元気で冷蔵庫付近にいることを見守る役割も果たすという。
スマート家電ではない従来の冷蔵庫では、構造を工夫することによる省エネがユニーク。同社内には人間の行動をリサーチし、使い勝手の向上を研究するライフ・スタイル・リサーチ部門があり、その調べによると、母親以外の家族は、ほとんどが飲み物を取るために冷蔵庫のドアを開けている。さらに、多くの人が長時間冷蔵庫を開けて中をのぞいているという。これにより、庫内の冷気が逃げるため、コンプレッサーが始動して電力使用量を上げてしまう。
LGでは、この点に着目して、ドアにワンプッシュで開閉できる小型のドアを設置した。外部から見ると、ドアポケットにある飲み物に手が届く。ドアポケットに窓が空いており、そこから見える棚にあるもの、例えば簡単なおやつなどにも手が届く仕組みだ。昨年、小さなドアを持つものを発売したところ、好評を得たこともあって、今年は上のドア片側の全面をワンプッシュで開閉できるように改良し、ドアポケットにある1.5~2Lのペットボトルを取り出しやすくした。
LGは、日本では縦型洗濯機を展開するが、IFAでは欧州で大きな割合を占める横型ドラム式洗濯機を展示していた。特徴は、DDインバーターに6種の動きを組み合わせた「6モーションDD」の搭載だ。DDインバーターは、2013年2月に日本でも発表されたモデルにも搭載されており、国内では東芝が初めて1997年に洗濯機に投入している。
簡単におさらいしておくと、DD=ダイレクト・ドライブの名の通り、従来のベルトやギアといった駆動伝達系を介さずに、DCブラシレス式モーターで直接洗濯槽を回転させる。このモーターを制御するためには、インバーターが適している。具体的には、コンバーターで直流に変換した電流を、再び、交流に変更する際に自由に周波数を変え、モーターの回転数を制御する。静音性に優れて、パワフルとされる。加えて、スクラビング、フィルトレーション、スウィング、ステッピング、ローリング、タンブリング(たたき洗い、もみ洗い、押し洗い、ゆらし洗い、こすり洗い、おどり洗い)の6つの動作を組み合わせて「6モーションDD」と名づけた。
こうした多機能化に伴って、使い方が複雑化する中、より適正な洗濯方法を選ぶことができる「洗濯コーチング機能」を搭載する。スマホのアプリを使ってどのようなタイプの服かなどを選ぶことによって、どのような洗い方が正しいか教えてくれる。
会場では、2011年から開始したスマホのアプリを使った診断装置の進化版も展示されていた。不具合が起きたとき、アプリを使って、スマホからのシグナルによって問題の部分を診断する。実は、ユーザーが故障だと思っていても、例えば洗濯機の場合、水道の蛇口を開けていなかったり、ドアがしっかり閉まっていないなどの”ポカミス”も少なくない。それ以外にも、修理サービスを呼ばずにユーザー自身が対応できることが少なくないという。
メーカー側から見れば修理サービスの出動件数が減り、ユーザーから見れば、修理を待つ間の時間を節約し、無用な出費を防ぐことにつながる。導入国ではユーザーから好評を得ていたものの、診断時に出す音が高周波帯で耳障りという意見が多く寄せられたため、新しいバージョンではより短い時間で断続的な音を出すことによって診断を行うように改良した。
音声認識機能が搭載されたロボット掃除機なども含め、無線、音声、NFCなどを使った家電の操作方法を来場者が体験できるような工夫が全般に展開されていた。