イベントレポート IFA 2013
パナソニック、ビルトインタイプで大容量のスチームオーブンレンジなど
~欧州家電がさらに高機能化
(2013/9/6 14:07)
国際コンシューマ・エレクトロニクス展「IFA 2013」が、ドイツ・ベルリンの国際見本市会場において9月6日~9月11日(現地時間)に開催される。
IFAは、世界最大級のコンシューマー・エレクトロニックス・ショーで、白物家電をはじめ、テレビやオーディオなどのAV機器も多数出品される。今年で53回目で、前回の2012年は、出展企業が56カ国/1,439社、来場者数は延べ約24万人だった。
家電Watchではその中から、洗濯機や冷蔵庫などの生活家電に焦点を当てて、レポートする。
パナソニックのフリースタイルIHがさらに進化
IFAは、1924年に開催された第1回目は「大ドイツ放送展」と題されていたことからもわかる通り、長年、テレビや音楽機器が主役だったが、2008年に生活家電が加わり、ここ数年は日本メーカーも出展に力を注いでいる。
なかでも、大きな注目を集めていたのが、パナソニックの「フリーススタイルIH」だ。昨年もリポートした通り、フラットな天板の下に多数のコイルを搭載したIH調理器であり、IRセンサーによって鍋底温度を検知し、必要に応じた数のコイルを使って加熱し、対流を起こして効率の良い加熱をしている。ここまでは通常のIH調理器とかわらないが、同じ電磁誘導を活用した非接触型の給電機能を持ち、ミキサーなどのデバイスを動かせる点が特徴だ。
昨年はあくまでプロトタイプとしての展示であり、デモンストレーションに実際の食品を使ってはいなかった。今年は、実際に食品を入れてIH調理器でスープを作ったり、ミキサーに果物を入れてつぶすなど実際に食品を使ってのデモを行なった。
コイル1つあたりの消費電力は500W。一般的な片手鍋なら4つのコイルを使って一般的なIH調理器と同じ2kWでお湯を沸かす。大きな鍋なら6個、あるいは9個と適した数のコイルを使う。日本国内向けの家庭用IH調理器では、法律によって最大3kWに限られるが、欧州にはその規定はない。が、制御面から、欧州でも最大3kW程度が家庭用としては適当だという。
開発を担当したナソニック アプライアンス社 技術本部 ホームアプライアンス開発センター チームリーダーの石丸直昭氏は、昨年の段階では「あくまでプロトタイプ」と強調していたが、今年は数年以内の発売を目標に開発していることを言明した。
「昨年秋に欧州で発売したビルトインIH調理器が好調ということもあって、その分野のハイエンド・モデルの位置づけで開発を進めています」と話すが、その一方で2つの課題も残るという。
1つ目は、給電機能を活用してミキサーなどを動かす機能を特徴とする反面、パナソニック以外のデバイスを使うことに備えて、どのように規格を決めて、互換性を持たせるかが課題だ。2つ目は、コイルを多数使うことから、コスト高になることも悩ましいという。
欧州版容量2倍以上のスチームオーブンレンジ
更に新しい試みとして、スチーム、マイクロウェーブ、ヒーターといった3種の熱源を搭載した多機能オーブン・スチーム・レンジも発表した。日本で展開しているスチームオーブンレンジ「3つ星ビストロ」と同様の機能を搭載しているという。
ただし、サイズやパワーに関しては、欧州サイズ。日本で一般的な据え置き型スチーム・オーブン・レンジの消費電力は1500W程度だが、今回、プロトタイプとして発表されたビルトイン型は日本向けのほぼ倍の容量があるため、素早い調理に適した出力が必要となる。
「オーブンならオーブンのみといった単機能の家電製品が主流を占める欧州では、3種の熱源を搭載したビルトイン調理器は珍しいが、技術的には、実用化に十分な段階まで開発は進んでいる」(石丸氏)
多機能な家電は日本のお家芸だと思っていたが、パナソニックでは欧州でもそうした需要が高まってくると予測している。実際、都市化による人口の集中が進み、徐々に住宅事情があまり良いとは言えなくなりつつある中、1つの家電でいつくかの機能が使えることの重要性は増しているようだ。