2011 International CES白物家電レポート
米国時間の2011年1月6日から、米ラスベガスで開催された「2011 International CES」において、日本および韓国の電機メーカーから、白物家電や環境関連製品の展示が相次いだ。
■環境提案中心の日本勢
パナソニックは環境訴求を前面に打ち出したのが特徴。ブースのメインゲート側に、環境コーナーを配置した。
これまでは、最新のAV機器などが展示されていたエリアだが、AV機器の展示エリアを別の場所に拡張したことで、ここに環境コーナーを新たに配置した格好だ。長年、CESを訪れる来場者にとっては、このエリアを見れば、その年のパナソニックの重点領域を確認できるという場所だけに、そこを環境コーナーとしたのには、極めて大きな意味がある。
パナソニックでは、太陽光パネルおよび燃料電池による創エネをはじめ、リチウムイオン電池による蓄エネ、薄型テレビ「VIERA」やLED照明による省エネ、スマートエネジーゲートシステム(SEG)によるホームエネルギーマネジメントシステムを展示したほか、パナソニックが資本出資している電気自動車メーカー「テスラ」の電気自動車を展示。あわせて車載バッテリーシステムや充電インフラ設備などを展示した。
また、パナソニックでは、CES 2011の開催にあわせ、北米エコアイディア宣言を発信。2013年までに業界をリードする環境性能を持つエコ製品の販売金額を、北米市場で倍増させることなどを発表している。
パナソニックブースでは環境コーナーを設置 | ステージでプレゼンテーションを行なう | パナソニックが出資する電気自動車メーカーのテスラ |
電気自動車による環境提案も行なう | パナソニックの省エネ製品群。北米での白物家電を展開。エコナビが他社との差別化になる | 蓄エネもパナソニックの強みが発揮できる領域。三洋ブランドのリチウムイオンを展示した |
東芝は、「Green of Process」、「Green of Product」、「Green by Technology」の3点から環境への取り組みを訴求。省エネ型のLED照明やエアコン、スマートグリッドや太陽光発電、そしてホームエネルギーマネジメントシステムなどを展示していたのが特徴だ。
東芝はスマートメーターを展示し、家庭内のディスプレイで様々な情報を確認するという近い未来を紹介 | ヒートポンプを搭載した省エネ型エアコン |
日本国内で高いシェアを持つ東芝のLED照明も紹介 | 太陽光パネルを展示 |
シャープは白物家電分野では、とくに新たな発表は無かったが、同社独自のプラズマクラスターイオン発生機を展示して、米国市場向けの空質提案を行なっていた。
シャープはプラズマクラスターイオン発生機を展示 | シャープブースではLED照明の展示も行なっていた |
■ネットワーク型家電を提案する韓国勢
こうした日本勢の展示に対して、韓国勢が白物家電の展示で力を注いだのが、ネットワーク型家電の展示。スマート家電ともいわれ、無線LANなどを通じて白物家電製品がネットワークで結ばれ、情報を相互にやりとりすること、最適なエネルギーマネジメントを実現し、省エネ効果などをもたらすというものだ。
サムスンでは、ブース全体でインターネットに接続した次世代テレビの「スマートTV」の展示を訴求する一方で、冷蔵庫などの白物家電においても、やはりネットワークで接続した利用提案を行なっていたのが特徴だ。スマート家電は、終日、来場者の高い関心を集めていた。
展示されていた冷蔵庫では、ドア部分に搭載されたディスプレイに、無線LANを通じて情報を伝達。ディスプレイに天気予報などの各種情報を表示したり、メモ代わりに使用したり、Twitterなどの利用も可能だ。またスマートフォンを利用して外部からの遠隔操作も可能になる。
サムスンはスマート家電を提案。無線LAN接続で管理を行なう | ネット接続が可能なFDR(フレンチドア型冷蔵庫) | サムスンのIHクッキングヒーターとビルトイン型オーブン |
キッチンのトータル提案。下段は食洗機 | モニター上に様々な情報が表示される。これがスマート家電の中核を担う | サムスンのドラム型洗濯乾燥機 |
一方で、北米市場で高いブランド力を誇るLG電子は、例年以上に白物家電の展示に力を注いでいたのが印象的だ。
「THINQ」と呼ぶスマートアプライアンスのコンセプトを発表して、スマート家電分野での先行ぶりを強調してみせた。
THINQでは、冷蔵庫や洗濯乾燥機のほか、昨年発表したロボット型掃除機などもネットワークで接続されることになり、その状況をモニターで確認することができる。
これにより、電気機器の電力使用量を掌握するとともに、最も適切な形に省エネコントロールを行なうことが可能になるほか、家庭内の機器が故障した場合にも、モニターを通じた遠隔修理対応なども可能になるという。
■iRobotはロボット技術を誇示
また、日本になじみのある米国メーカーでは、自動掃除機ルンバでおなじみのiRobotは独自のロボット技術を中心に展示していた。
iRobotでは同社の技術を利用して、人の前にモニターを運ぶロボットをデモストレーション | 別のブースでは掃除機ロボットを使用したリモコン操作による競争も行なわれていた |
(本誌:大河原 克行)
2011年1月11日 01:21