【IFA 2012】
サムスン電子、独自技術「eco bubble」搭載の洗濯乾燥機など欧州向け最新生活家電

~“すべての家電製品で、世界ナンバーワンになりたい”
サムスン電子 コンシューマエレクトロニクス部門のBoo-Keun Yoon社長

 韓国サムスン電子は、独ベルリンで開催されたIFA 2012において、洗濯機や冷蔵庫などの新製品群を発表。独自技術「eco bubble」などの同社独自の機能における優位性を強調した。

 一般開幕に先立って行なわれたプレスカンファレンスでは、同社のコンシューマエレクトロニクス部門のBoo-Keun Yoon社長が、「サムスンは、この6年間でコンシューマアプライアンス分野の世界的リーダーになった。そして、2015年までには、すべての家電製品において、世界でナンバーワンになりたいと考えている。そのために重要なのは、イノベーションであり、ナレッジやイマジネーション、クリエイティビティである。みなさんがどんなものを欲しているのかということを超えて、驚きを喜びを与えていくのがサムスンである」などとした。

 また、家電同士をネットワークで結ぶ時代が到来していることにも言及。「オールシェア」という言葉を使いながら、次のように述べる。

 「サムスンは、新たなネットワーク環境の創造によって、あらゆる場所で情報を共有できるオールシェアが、サムスンが提案する価値になる。家庭のなかでは、エアコンや洗濯機など、すべての機器がワイヤレスでつながり、ありとあらゆるものをアクセス、コントロールできる。キッチンにおいても、簡単に情報が取り出せるようになる。サムスンは、単にデバイスを作っているのでなく、環境そのものを作っている企業である。これにより、家庭での生活自体が変化していく」

 ブース展示では、スマートフォンやタブレットを使用して、冷蔵庫や洗濯機を操作できる様子も展示した。

庫内の食品の賞味期限を知らせる冷蔵庫

 今回のIFA 2012でサムスンは、いくつかの新たなアプライアンス製品を発表した。

 その1つが、フラッグシップ製品となるサイドバイサイド型の冷蔵庫「Grande Style 8600」である。

 同冷蔵庫では、イオンによる除菌システムを採用。さらに本体前面にディスプレイを搭載し、様々な情報を表示することができる。例えば、冷蔵庫に入っている食料品の有効期限、気に入った写真や、天気および気温を表示できるほか、この画面を通じた買い物なども可能となる。

フラッグシップのサイドバイサイド型冷蔵庫「Grande Style 8600」本体前面のディスプレイには天気などを表示Grande Style 8600では、イオンによる除菌システムを採用

 さらに、今回の同社ブースの冷蔵庫の展示において、重要な差別化策の1つとして訴求していたのが、「Space Max」技術だ。

サムスン電子ヨーロッパのInes van Gennipブランドディレクター

 最新の真空断熱材を使用することで、冷蔵庫内のスペースを削減するもので、「これにより、熱効率を高め、性能を落とさずに、さらに外側のサイズを変えることなく、庫内を広げることが可能になる」(サムスン電子ヨーロッパのInes van Gennipブランドディレクター)という。

 Space Maxは同社の各種最新冷蔵庫に搭載されており、400Lクラスのボトムマウント冷蔵庫では、約60Lのスペースが生まれ、展示会場では、従来の冷蔵庫では1831個のチーズが入るのに対して、Space Maxでは2142個のチーズが入ると訴求した。サイドバイサイドの大型冷蔵庫の場合には、80Lのスペースが生まれるという。


Space Max技術で庫内が広がるというSpace Max技術を採用した各種冷蔵庫
Space Maxによって、内部容量が大きく向上する例えばSpace Maxを採用した冷蔵庫はチーズが2141個入るという

 また同社独自の「digital inverter」技術により、約40%の省電力化を実現。稼働音も38.5dBと、従来製品に比べて4.5dBを削減。振動は5分の1以下に抑えることができたという。

従来より70%省エネするドラム式洗濯機

 一方、ドラム式洗濯機では、フラッグシップとなる12kgモデルのWF1124XBYをはじめ各種製品群を展示。さらに、450mmという薄さを実現した製品なども展示した。

サムスンブースに展示されていたドラム式洗濯機デザイン性を追求した高機能モデルも展示
ドラム式洗濯機ではeco bubble技術を強く訴求

 同社が今回のIFA 2012で強調していたのが、独自技術である「eco bubble」だ。

 欧州向けのドラム式洗濯機では、汚れを落としやすくするために、温度を高めて洗濯をする仕組みとなっており、約40度で洗濯をしている機種が多かったという。

 eco bubbleでは、15度という低い温度でも、ドラムの回転数や、泡による洗浄で効率を高め、40度と同じ洗浄効果を実現したという。

 Ines van Gennip氏は「低温で洗濯すると、汚れが落ちずに時間がかかっていたが、速度をあげ、泡によって洗浄することでこの課題を解決した。これにより、70%もの省エネ化を実現している。また、低い温度で洗濯することは、衣服の繊維を守ることができるというメリットもある。eco bubbleは、洗濯における革命を起こすことができると考えている。環境に優しい洗濯機を実現した」と胸を張る。

 また、「digital inverter」技術により、洗濯時には61dBから52dBへと9dBの騒音減少を実現するとともに10年間の動作保証を達成。さらにVRT plus技術によって、振動のノイズを低くし、信頼性を高めていると説明した。

 同社では、「この製品は、欧州市場のために開発し、欧州で生産した製品である。サムスンは、欧州にリサーチセンターを持っており、そこを通じて、欧州の人たちに関心に対応していく。ローカルマーケットを分析して、それにグローバルイノベーションを追加するのがサムスンの手法である」などとした。

eco bubbleのロゴと10年保証は本体にも表示されていた横幅をスリム化した洗濯機も提案

2つのCPUを搭載して効率よく掃除するロボット掃除機

 そのほか同社ブースでは、ロボット掃除機や電子レンジなどが展示されていた。

サムスンブースに展示したロボット掃除機ロボット掃除機を壁一面に展示ロボット掃除機のスケルトンモデルも展示していた

 ロボット掃除機では、2つのCPUを利用して効率的な掃除を行なう「Visionary Mapping Plus System」および「Dust Awareness System」を搭載。さらに高さ80mmというスリムなデザインを強調しながら、デモストレーションしてみせた。

 また、掃除機では、SC9600シリーズなどの新製品群を展示。同社独自の「Super Multi Chamber」によるゴミの分離と、高い吸引力を持続できる様子を実演していた。

サムスンが展示したSC9600をはじめとする掃除機各種吸引力の強さを疑似的に表現。地球の大気の汚れも吸い取る?

 このほかの白物家電として、電子レンジでは、コンパクトオーブンの「NA50C7335AS」をはじめとする主力製品を展示。大型エアコンディショナー、壁掛けエアコンなども展示した。

コンパクトオーブンの「NA50C7335AS」は壁に埋め込んで展示スマートフォンなどを通じて操作ができるスマート家電も提案ビルトイン式の製品を用いたキッチンでのトータル提案も行なっていた

 一方でデジタル家電では、55型の有機ELテレビ「ES9500」や、世界最大のスマートテレビとなる75型の「ES9000」などを展示。

 さらに、スマートフォンの「GALAXY Note II」を2012年10月から、全世界260のパートナーを通じて、128カ国で販売することを発表した。また、通信機能を搭載したコンバクトデジタルカメラの「GALAXY Camera」や、Windows 8を搭載したスレートPCとノートPCとしてのハイブリッド利用が可能な「ATIV Smart PC」、Windows Phone 8を搭載する「ATIV S」などの市場投入も発表した。

55型の有機ELテレビ「ES9500」Galaxy Note II
GALAXY CameraATIV Smart PC





(大河原 克行)

2012年9月7日 13:41