家電トレンドチェッカー

2014年下半期登場の最新ロボット掃除機をイッキ見!!

 2014年は、掃除機市場が盛り上がった1年だった。中でも、ルンバに代表されるロボット掃除機は、日本メーカーはもちろん、韓国、アメリカ、ドイツメーカーの製品も投入され、選択肢が一気に広くなった印象だ。

 中でも注目を集めたのが、サイクロン掃除機で文字通り旋風を巻き起こしたダイソンの製品だ。9月初旬にプロトタイプ「ダイソン360Eye」を発表し、来春の発売を目指して開発していることを表明した。この発表は、世界に先駆けて日本で先行して行なわれたというのだから、その力の入れようがわかる。また、同月下旬には、アイロボットと同じ米メーカーで、シリコンバレーに拠点を置くロボットベンチャー・ネイトロボティクスも「ネイト Botvac」で日本に上陸、すでに発売を開始している。

 7月末に発表されたドイツの高級家電メーカー・ミーレの「Scout RX1」などとともに、これら3社のロボット掃除機は、室内空間を予めマッピングしながら、短時間で効率的に掃除をするのが特徴。これらの掃除方式は、同じ場所を何度も通りながらしつこく掃除する、アイロボットの「ルンバ」や8月に発表された東芝の「トルネオロボ」と対極に位置するが、海外主要メーカーがこぞってマッピング方式を採用したことで、来期以降のトレンドにも大きく影響を与えそうだ。

 また、本体に溜まったゴミを、そのまま充電ステーションが吸引するというゴミ捨て方法を提案したのが、東芝の「トルネオロボ」と中国のメーカー、エコバックスの「DEEBOT D790」だ。これにより、ロボット掃除機使用後に毎回ゴミを捨てなければならないというサイクルから解放され、意外と面倒な本体のゴミを捨てるという手間を、最小限に抑えられるようになった。

 掃除能力とは違うキャラクターコラボで勝負するようなモデルが出て来たのも新トレンドとして挙げられる。ハイアールの「AQUA スヌーピーロボットクリーナー」やシャープの「プレミアムなCOCOROBO<妹ver.>」がそれで、こういったある意味“色物”なモデルが出て来たのは、ロボット掃除機のラインアップが増えて、それだけ一般的な存在になってきたからだろう。

 以下、2014年下半期に登場したモデルをそれぞれチェックしていく。

メーカー名製品名購入場所実売価格
アイロボットブラーバ380J楽天市場38,880円
ダイソンダイソン Eye 360 ロボット掃除機--
ネイトロボティクスネイト Botvac85Amazon.co.jp69,984円
ミーレ・ジャパンScout RX1Amazon.co.jp70,248円
東芝ライフスタイルTORNEO ROBO VC-RCX1Amazon.co.jp94,791円
エコバックスジャパンDEEBOT D79Amazon.co.jp88,867円
シャーププレミアムなCOCOROBO<妹ver.>--
ハイアールアジアAQUA スヌーピーロボットクリーナーAmazon.co.jp62,986円
BMXrobot JapanXrobot MAOビックカメラ42,984円
コーボルトジャパンコーボルト VR200ビックカメラ102,600円

アイロボット「ブラーバ380J」

ブラーバ380J

 ルンバを展開するアイロボットの掃除ロボット新モデル。ブラーバは、フローリングやタイルなどの固い床を自動で床拭きするロボット。掃除機のような吸引モードは備えておらず、床拭き専用の製品となる。

 本体動作は独自のマッピングテクノロジー「NorthStar ナビゲーションシステム」を採用。NorthStar(北極星)のような動かない絶対的な座標を設けることで、自機の位置情報を常に正確に把握するというもので、動作時は、同梱のNorthStarキューブを室内に配置する必要がある。

ダイソン「ダイソン Eye 360 ロボット掃除機」

ダイソン Eye 360 ロボット掃除機

 サイクロン機構を搭載し、吸引力が落ちない唯一のロボット掃除機。「16年の歳月を費やして開発した」という同社初となるロボット掃除機で、独自の「360°ビジョンシステム」を搭載する点が特徴。本体上部に備えるパノラマレンズで、本体周辺360度の特徴を一度に把握し、建物などの高さを簡単に測れる三角法で現在地を特定する。

 赤外線センサーと連動して動く「ライブビジョンカメラ」により、45度の角度で1秒間に30枚の静止画を撮影する。それを、位置確認とマッピングを同時に行なうソフトウェア「SLAM」で処理し、部屋のパノラマビューを作成することで、掃除機の正確なナビゲーションを実現する。

 また、クリーナーヘッドには、同社のキャニスター型掃除機と同じく、静電気の発生を抑え、フローリングの微細なホコリを除去する「カーボンファイバーブラシ」と、カーペットの奥に潜むゴミをかき出す硬い「ナイロンブラシ」を採用。

ネイトロボティクス「ネイト Botvac85」

ネイト Botvac85

 レーザー技術や人工知能など、最先端のロボット技術を搭載したロボット掃除機。本体の最大の特徴は、ダイソンの掃除機と同様で、Googleの無人自走車にも採用されているSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)という技術を利用した人工知能を搭載している点。

 本体には、1秒間に5回転し、全方向360度を検知するレーザーセンサーを搭載しており、1秒間に約1,800回スキャニングして部屋の形や家具のレイアウトを確認、記憶する。家具の配置と部屋の形を認識し、地図を作成することで、室内を効率よく直線的に掃除し、従来のロボット掃除機の約1/4の時間で掃除を終了する。

ミーレ・ジャパン「Scout RX1」

Scout RX1

 速くて正確な掃除を実現するナビゲーションシステム「スマートナビゲーション」を搭載したロボット掃除機。もっとも大きな特徴は、スマートナビゲーション機能の1つである「室内ポジショニングシステム」を搭載したところ。本体に搭載されたジャイロセンサーと上向きのデジタルカメラで、掃除する部屋の状況を分析。本体の現在位置と、テレビやソファなどの位置を把握して掃除ルートを作成する。ルート上で通過していないスペースへ移動し、掃除する。

東芝ライフスタイル「TORNEO ROBO VC-RCX1」

TORNEO ROBO VC-RCX1

 本体を充電すると同時に、集塵したゴミを吸引できるダストステーションを充電台に備えたロボットクリーナー。カメラ、通信機能を搭載した「VC-RCX1」、カメラ、通信機能を省略した「VC-RVD1」、独自のダストステーション機能を省略した「VC-RV1」の3機種を揃える。

 「高精度赤外線距離センサー」と「超音波センサー」で室内の障害物、壁、隅の位置を正確に検知し、本体に搭載されている70以上の行動パターンから最適なものを選択。同じところを何度もしつこく掃除する。

エコバックスジャパン「DEEBOT D79」

DEEBOT D79

 エコバックスは、1998年に中国の蘇州で設立された家電メーカー。その新型ロボット掃除機は、自動でごみを回収するのが特徴。回収されたごみは、充電台上部に搭載されている集塵機構「オートセルフクリーニングシステム」に集められる。これにより、本体のごみを捨てる手間を最小限に抑えられる。

 また、充電台の集塵機構を取り外して、ハンディクリーナーとして使用できるのも新しい。机や椅子、天井や壁面の掃除に便利だ。

シャープ「プレミアムなCOCOROBO<妹ver.>」

プレミアムなCOCOROBO<妹ver.>

 声優のオリジナル音声と、オリジナルキャラクターを採用した「COCOROBO」のプレミアムバーション。「妹属性」のココロボちゃんをキャラクターとして設定。明るく天真爛漫な性格ながら、気分屋な一面もあるとする。また、ニュースなどを読み上げるクラウドちゃんというネコも登場。ニュースに投げやりなコメントを添えるなど、単なる音声読み上げ機能とは異なる設定とした。

 独自の機能として、「SHARPクラウドちゃんニュース」を搭載。これは、一般ユーザーからの投稿をクラウドちゃんがコメントを添えて読み上げるという機能で、ユーザー、ココロボちゃん、クラウドちゃんの3者会話を楽しむことができる。

ハイアールアジア「AQUA スヌーピーロボットクリーナー」

AQUA スヌーピーロボットクリーナー

 キャラクター「スヌーピー」とコラボしたロボット掃除機。機能面は、2014年7月に発売されたHEPAフィルター搭載の「AQC-RB100C」がベース。コラボレーションを記念して、初回特典付きモデルも600台限定で発売する。特典には、スヌーピーの家をイメージした「スヌーピードッグハウス」を用意する。スヌーピードッグハウスを充電台にセットすることで、まるでスヌーピーが家に帰るような動きに見えるという。動きはランダム方式。

BMXrobot Japan「Xrobot MAO(マオ)」

Xrobot MAO

 中国・深センでロボット事業を展開する「シルバー・スター・インテリジェント・テクノロジー(通称:Xrobot)」と、電池パック事業でグローバル展開を行なう「BMTPow」の出資のもと、香港に拠点をおくロボットメーカー「BMXrobot」が設立。そのロボット掃除機が日本に上陸。BMTPowの電池パック技術を組み合わせて開発されたロボット掃除機で、バッテリーに容量4,400mAhのリチウムイオン電池を採用し、約4時間の連続運転を実現している。これにより、広い部屋でもバッテリーが途中で切れることなく掃除できるという。

 運転モードは、スイッチを入れるとランダムに動き回る「掃除モード」と、部分的に掃除する「スポットモード」の2つを用意。

コーボルトジャパン「コーボルト VR200」

コーボルト VR200

 ドイツの掃除機メーカー「フォアベルク」製のロボット掃除機。同社が開発した「BLDC-8モーター」を搭載し、従来機(VR100)と比較して吸塵力が2倍になった。本体には、1秒間に約1,800回スキャニングして部屋の形や家具のレイアウトを確認、記憶する「レーザーナビゲーションシステム」を採用している。これにより部屋全体の地図を作成し、地図に基いて効率的に掃除を行なう。

 3つの超音波センサーを新たに搭載し、障害物への接触をほぼ防げるほか、壁際をしっかり掃除する「壁センサー」、2cmまでの障害物を乗り越える「乗り越え補助機能」なども搭載する。

滝田 勝紀