【特別企画】

エアコン夏商戦のポイントを聞く[パナソニック編]

~“ナノイーで空気を洗う”を訴求
by 大河原 克行


 7月も半ばを過ぎ、エアコンの本格的なシーズンがスタートした。そこで、この夏商戦を迎えるに当たり、今シーズンのトレンドと2009年度のポイントについて、エアコンメーカーに聞いた。



人が居るところに冷気が降りてくる“最適な冷房”を実現――気流ロボット

パナソニックのエアコンの最上位モデル「Xシリー

 2009年夏商戦で、ナショナルからパナソニックへのブランド完全統一後、初の冷房商戦を迎えるパナソニック。最上位機種となる「Xシリーズ」を柱とし、2009年夏商戦の訴求ポイントの1つを「気流」に置く考えだ。

 2009シーズンでは、最上位機種のXシリーズとその1クラス下のSXシリーズにおいて、快適さと省エネを両立する気流を実現するため、「気流ロボット」という機構を搭載した点が特徴となる。この気流ロボットは、2つの気流制御技術から構成されている。

アプライアンス・ウェルネスマーケティング本部商品グループ空質商品チームの田中聡チームリーダー
 その1つは、「冷房に最適な風」を生み出す、ビッグフラップと左右独立ルーバーである。

 パナソニックのアプライアンス・ウェルネスマーケティング本部商品グループ空質商品チームチームリーダー・田中聡氏は、「2009年モデルでは、従来製品に比べて、気流ロボット機能を大きく進化させたのが特徴。暖房時の『床暖ぽかぽか気流』に加え、冷房時には『天井シャワー気流』によって、涼風が天井からやさしく降り注ぎ、風が直接からだに当たらず、手足が冷えすぎないようにした。また、ビッグフラップが上方向に開いて風を持ち上げ、さらに左右独立ルーバーでスポットで風を送ったり、最大170度の広角ワイド気流も実現している」とする。

 つまり、「人がいるところに、天井から冷気が降りてくる」というスタイルがパナソニックの冷房の特徴だ。

ブランド名が「ナショナル」から「パナソニック」へ統一された後、初めての冷房商戦を迎えることになる(写真は2009年9月の記者会見より。中央は大坪文雄社長)気流ロボットの「天井シャワー運転」(左)。冷気の吹き出し口のビッグフラップが天井方向に冷気を持ち上げるため、涼風が天井からやさしく降り注ぎ、風が直接当たらない仕様になっているエアコンの吹き出し口内部に備えられている左右独立ルーバー。ルーバーが左右で独立して動くため、一定の場所にスポットで風を送ったり、最大170度までワイドに送風できる

 そして、これを支えるのが、気流ロボットのもう1つの機能である「いるとこサーチ」である。

 上位モデルでは5つのセンサー、中位モデルでも3つのセンサーを搭載し、サーチ距離は最大8m、3秒ごとに人の動きを検知することで、動いている人にはしっかりと、くつろいでいる人には控えめで冷房するといった気流制御を行なう。人の居場所と、人の動きの大小をもとに、体感温度にあわせた冷房を、風向き、風量および時間の長短によって、自動で切り替えながら実現するわけだ。これらの機能を、リモコンの「快適おまかせ」と書かれたボタンを押すだけで操作できる点も大きい。

 量販店店頭でも、センサー機能の働きをわかりやすく説明するPOPを用意。センサーによって、動いている人に風を与えることで、同じ室温でも体感温度を涼しくできる仕組みを訴求する。

 また、いるとこサーチの機能を活用することで、人がいなくなったら自動で不在省エネ運転にシフト、さらに、約3時間後には、自動で運転をオフにする機能も搭載している。

「いるとこサーチ」のセンサー部分。人の動きを検知し、体感温度に合わせた気流制御を行なう製品発表会での、いるとこサーチのデモ。写真左側では、マネキンがフィットネス機器「JOBA」に乗っているが、いるとこサーチはその動きを感知し、集中的に風を送っている

 「この点は、これまであまり訴求できていなかった反省がある。もともと人のいるところを狙って送風を制御しているため、人がいないところには無駄な風を送らないという仕組みになっている。それだけでも省エネ空調を実現できるが、さらに自動運転オフにまで踏み込んでいる。気流ロボットのいるとこサーチ機能によって、快適な空調だけでなく、省エネ効果の実現にも威力を発揮している」というわけだ。

 同社の試算によると、2009年モデルは、11年前のエアコンに比べて、冷房運転時に約40%の省エネが可能になっているという。

 「暖房時の省エネ効果が高いのは明らかだが、冷房時でも大幅な省エネを達成できる。家庭の電気代の約4分の1を占めるエアコンの省エネ化は、エコを一番愛するブランドであるパナソニックとしては不可欠な取り組み」と続ける。

 パナソニックでは、同社サイトに「買い換えエコ診断」のページを設けて、現在使用しているパナソニック/ナショナルブランド製品と、最新機種とのランニングコストの差を計算できるようにしており、買い換えによる省エネ効果を購入前に実感できるようにしている。


ナノイーイオンによる除菌・脱臭・美肌効果も


エアコンの本体内部に、「ナノイーイオン」の発生装置を搭載。空気中の菌やニオイ成分を除菌・脱臭する効果を前面に訴求する
 パナソニックのエアコンのもう1つの大きな特徴としてあげられるのが、最上位機のXシリーズに搭載している「nanoe(ナノイー)」イオン発生装置の搭載だ。

 ナノイーでは、暖房時には空気の乾燥による肌荒れを抑制できる点を訴求していたが、夏の冷房時における効果では、除菌、脱臭効果を前面に訴求する考えだ。

 「梅雨時には臭いが部屋にこもりやすい、カーテンやカーペットに臭いが付着しやすいという状況になりがち。ナノイーならば、空中および繊維の奥にまで届くメカニズムを活用して、除菌、脱臭を図ることができる。また、ナノイーには、長寿命であるという特徴があるため、部屋の隅々まで広がり、空気をきれいにすることができる」

 最近では、新型インフルエンザの発生などもあり、空質に対する関心が高まっており、空気中の菌やウイルスを抑制するナノイーへの関心も高まっているという。

 さらに、同社のエアコンにはパトロール運転機能も搭載しており、就寝時や外出中、掃除中などに空気の汚れを見張り、部屋の空気を自動的にきれいにすることができる。さらに、冷暖房を運転しない時期でもワンボタンでナノイーの単独運転をすることが可能。就寝時にナノイーだけを稼働させるといった使い方もできるという。

 また、ナノイーではマイナスイオンの千倍という水分量を含み、弱酸性であるナノイーによって、潤いのある美肌効果を実現できる特性がある。これをエアコンに搭載している「いるとこサーチ」機能を利用して、人がいるところを狙って、ナノイーを届けることができるようになる。

ナノイーはパナソニック独自のイオン技術。通常のイオンと比べ長寿命で、またサイズが小さいため肌や繊維に浸透しやすいというメリットがあるという(Xシリーズ発表会より)肌の水分量を補ったり、美肌効果があるとされている

田中氏によれば、暖房商戦における購入理由で「ナノイー」を挙げた声が最も多かったという
 「暖房商戦でも、ナノイーを購入理由にあげた購入者が最も多く、全体の29%に達していた。発売3カ月後よりも、7カ月後の方が、ナノイーに対する認知があがっている。冷房商戦では、ナノイーで空気を洗おう、という提案を行なっていく。カタログや店頭POP、テレビCMでもナノイーのメリットを強く訴求したい」としている。

 一方で、パナソニックが先行したフィルターお掃除ロボット機能も、店頭ではスケルトンモデルを展示して、内部構造を説明するなど、引き続き訴求を行なっていくという。従来モデルに比べて、吸引ノズルの穴を大きくし、吸込風量を約20%向上させたほか、フィルターおよびフィルター内部を任意の時間に掃除する「お掃除タイマー」を用意。さらに、エアコン運転終了後にエアコン内部にナノイーを放出し、本体内を除菌、脱臭する機能も搭載した。


エコポイント対象機種を幅広くラインナップ。トップシェア維持へ


パナソニックにおける2009年のエアコンのラインナップ(パンフレットより)。多くの機種がエコポイントの対象機種となっている
 パナソニックでは、最上位のXシリーズを軸とした高機能モデルでのシェア拡大に意欲を見せる。さらに、エコポイント制度の開始で注目を集める中級モデルでのシェア拡大が今後の課題ともいう。

 エコポイント対象となるのは、Xシリーズでは全機種。また、SXシリーズ、EXシリーズ、Vシリーズ、Fシリーズでもほぼすべての機種がエコポイント対象となっている。

 「昨年度もシェアを引き上げることに成功し、5年連続でのトップシェアを維持している。2009年夏の冷房商戦では、25%以上のシェアを獲得を目指し、トップシェアを維持する」と意欲を見せる。

 パナソニックブランドで迎える初の冷房商戦でも、トップシェアに向けた施策を積極展開することになりそうだ。



パナソニック
http://panasonic.jp/
パナソニック  エアコン
http://panasonic.jp/aircon/
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http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/aircon.htm

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