やじうまミニレビュー
日立マクセル「mobile VOLTAGE(モバイルボルテージ)」
写真右が、日立マクセルの「mobile VOLTAGE(モバイルボルテージ)」 |
高性能のCPUに、高速の通信機能、充実するアプリ機能……最近のスマートフォンの進化には目を見張るものがある。しかし、機能が充実するということは、それだけ内蔵されている電池を多く使うこと。充電をし忘れて、朝出かけるときになって電池残量が残り少ない、なんて経験をした人も少なくないはずだ。
そんな“電池食い”のスマートフォンユーザー向けに、各社から多くの携帯電源、いわゆるモバイルバッテリーというものが登場している。外出先でも充電できるため、スマホのヘビーユーザーには福音ともいえる製品だが、このモバイルバッテリー自体が意外と大きくて重く、持ち歩くには荷物になってしまう。特に5,000mAh前後の大容量タイプだと、スマホ本体よりも重いものが多い。
そんなモバイルバッテリーの中から、今日は軽さと薄さに秀でた製品を紹介しよう。日立マクセルが2011年11月に発売した、「mobile VOLTAGE(モバイルボルテージ) MLPC-2000」だ。
メーカー | 日立マクセル |
製品名 | mobile VOLTAGE(モバイルボルテージ) |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入店舗 | ヨドバシカメラ |
購入価格 | 3,480円 |
■軽い、薄い。おまけにスマホにピタッと付くギミックも
「モバイルボルテージ MLPC-2000」は、容量約2,000mAhのモバイルバッテリー。パッケージによれば、スマートフォンのフル充電が約1回できるという。USB接続で携帯電話と接続することで、スマートフォンなどのモバイル機器が、外出先でも充電できる、というのは一般的なモバイルバッテリーと変わりない。出力は最大1A。本体の入力は0.5Aで、充電時間は約5時間。繰り返し使用回数は500回となっている。
パッケージ。容量2,000mAhについて「充電約1回分」と記されている | バッテリー本体。カラーはほかにホワイトの「MLPC-2000WH」がある。また、小容量モデルとして「MLPC-1000」という製品もある |
モバイルボルテージ(中央)の薄さ比較。他社のモバイルバッテリー(右側2点)よりも薄く、左側のカバー付きスマートフォンとはほぼ同じ厚さとなっている |
このモバイルボルテージの特徴は、「薄くて軽い」ところ。MLPC-2000の本体サイズは86×56×13mm(幅×奥行き×高さ)、重量は65gとなっている(重量のみ実測値。以下同じ)。この13mmという高さは、スマートフォン本体に保護カバーをつけた状態とほぼ同じ。重さについては、スマートフォンの半分以下程度で、手で持っても重さを感じることなく、ヒョイッと持ててしまう。
ほかのモバイルバッテリーと比べると、その薄さと軽さは明らか。過去にレビューした製品を引き合いに出すと、容量が同じ2,000mAhのソニー「サイクルエナジー CP-ELSIP」は、サイズが28×125×26.5mm(同)、重量が88g。また、容量が5,400mAhと大容量のパナソニック「USB対応モバイル電源パック QE-PL201-K」は、サイズが63×70×24mm(同)、重量が148g。大容量タイプと比較するのはフェアではないが、どちらもモバイルボルテージの方が薄くて軽いのは確か。持ち運びに向きそうだ。
ちなみにモバイルボルテージの面積は、クレジットカードやキャッシュカードとほぼ同サイズ。となっている。電源には、ポリマーリチウムイオン電池が採用されている。
重量の比較。モバイルボルテージは実測65gだったが、容量が同じ2,000mAhのソニー「サイクルエナジー CP-ELSIP」は88g、大容量5,400mAhのパナソニック「USB対応モバイル電源パック QE-PL201-K」は148gだった | 面積はSuicaや各種カードなどとほぼ同サイズ |
もう1つ特徴としては、「もばぴたシート」という付属品を備えているところ。これは言ってみれば両面の吸盤なのだが、これでモバイルボルテージ本体とスマートフォン本体をくっつけることで、スマートフォンに給電中も、片手で持ちながら使用できる、というもの。ほかのモバイルバッテリーには、こうした付属品はほとんど付いておらず、日立マクセルも商標を出願中とのこと。果たして使い心地はどのようなものだろうか。
同梱される「もばぴたシート」。両面に吸盤が付いている | 使用するには、まずモバイルボルテージ側に吸盤を取り付ける | その裏面の吸盤をスマートフォンにくっつけると、充電中も片手で持ちながら操作できるという。なお、スマートフォンのケースの上からでも装着可能 |
同梱品。右からもばぴたシート、USBケーブル(USB A - mini USB)、mini USBとmicro USBの変換コネクタ、モバイルボルテージ本体 | モバイルボルテージ本体の充電の際にはminiUSBを使うが、最近のAndroid系スマホは端子がmicro USBが多い。そのため、変換コネクタを噛ませる必要がある |
■高機能だが電池を喰う、auの「ARROWS Z ISW11F」で充電してみた
充電のテストには、auの秋冬モデル「ARROWS Z ISW11F」を使用 |
それでは、モバイルボルテージを使ってスマートフォンを充電する。使用する機器のは、私物のauの秋冬モデル「ARROWS Z ISW11F」。おサイフケータイサービスや歩数計機能、高速の無線通信「WiMAX」に対応するなど機能が豊富だが、そのぶん電池の消費は激しい。個人的には、上記のような機能をフルに使う際には、必ずモバイルバッテリーを用意している。
まずは、ARROWS Zの電池がなくなり、電源ボタンを押しても起動しなくなった状態でテスト。フル充電済みのモバイルボルテージを接続し、その後、本体側面のボタンを押すと、充電がスタートした。
スマートフォンに接続した後は、本体側面のボタンを押して給電をスタート | ちなみに給電ボタンは、電池残量を示すインジケーターを点灯する際にも使用する。ランプ4つは満充電を示し、電池を使う毎に1つずつ減っていく |
約2時間半後、充電がストップした。電源を入れてみると、スマートフォンの電池残量は「83%」の表示となった。フル充電はできなかったが、このくらいなら急場もしのげるだろう。
続いて、スマートフォンの電池残量が11%の待ち受け状態で、フル充電のモバイルボルテージで給電した。今度は充電中に、メールを確認したり、アプリをダウンロードするなど、ちょっとした動作を挟んでみた。
これも約2時間半後に充電がストップ。この結果、ARROWS Zの電池残量は「77%」だった。GPS機能や、ほかの機器をインターネットに接続する「テザリング」など、電池を消耗する機能を頻繁に使う場合は心許ないかもしれないが、待ち受けが中心であれば、1日は問題なく過ごせるレベルにあるだろう。
ちなみにiPhoneについては、充電用のケーブルは別途用意する必要があるが、問題なく充電できた(3GS/4/4Sで確認)。
電池残量が11%状態で、待受しながら給電した場合、ARROWS Zの電池残量は「77%」になった。途中でメールを確認したりアプリをダウンロードとした影響があるかもしれない | 別途コードを用意すれば、iPhoneも充電できる(写真はiPhone 4S) |
■やっぱり軽くて軽いのは便利。もばぴたシートと充電用端子は改善希望
実際に何度か持ち歩いてみたが、やはり薄くて軽い点が一番うれしい。ポケットにもスッと入るので、これまで使ったモバイルバッテリーの中では、もっとも荷物になりにくいと感じた。
もばぴたシートを使えば、写真のように充電中も片手で操作が可能。もう少し吸着力が強ければ、さらに便利に使えそうだ |
「もばぴたシート」も、意外と便利だった。これまでのモバイルバッテリーでは、充電しながらスマートフォンを使う場合、片手にスマートフォン、もう片方にモバイルバッテリーを持つ、なんてこともあったが、もばぴたシートを使えば、ひとつにまとめて持てる。充電も操作も通話も、片手で済んでしまうのだ。スマートフォンのプラスチックカバーの上からも、問題なく取り付けられた。
……と、本当はこうしてベタ褒めしたところで終わる予定だったが、実際の使用シーンでは、カバンやポケットに入れておいた際に、ARROWS ZもiPhoneでも、吸盤が外れてしまうことが何度かあった。もう少ししっかり固定できるようになれば、さらに便利になりそうだ。
難点としては、電池が大容量でない点と、本体の充電用の端子がmini USBのため、給電時にはmicro USBの変換コネクタを使う点。容量については薄型化を実現するためには仕方がないところだろうが、最近のAndroid系スマートフォンの多くはmicro USBなので、ここは統一してほしかった。ちなみに、冒頭で比較として引き合いに出したモバイルバッテリー2機種は、本体の機器充電用の端子はmicro USBとなっている。
とにかく薄くて軽いので、モバイルバッテリーをまだ使ったことがない人にも使いやすいだろう。ヘビーユーザーでも、同クラスでここまで薄くて軽いものは新鮮に感じられるはずだ。“高機能、でも電池が消耗”というスマートフォンの矛盾を埋めるサポートグッズとしてお勧めしたい。
2012年 1月 13日 00:00
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