藤山哲人のモバイルバッテリー診断
パナソニック「USBモバイル電源 QE-QL104」
~容量2,200mAh前後のスマホにピッタリ。薄型・名刺サイズのバッテリー
by 藤山 哲人(2013/9/9 00:00)
今回紹介するのは、パナソニックのモバイルバッテリーに新しく加わった、薄型モデルの「QE-QL104」だ。
QE-QL104の本体サイズは100×60×11mm(幅×奥行き×高さ)で、スマートフォンより一回り小さく、面積なら名刺とほとんど同じ。厚みが11mmと薄いため、スマートフォンと重ねながらポケットに入れて充電してもかさばらない。バッテリー容量は2,420mAhなので、先日紹介したパナソニックの「QL-QL103(2,900mAh)」とほぼ同じだが、QL-QL103の厚さは約24mmなので、QE-QL104の方が半分以上薄い。
メーカー名 | パナソニック |
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品名・型番 | QE-QL104 |
バッテリー容量 | 2,420mAh |
サイズ(幅×奥行き×高さ) | 100×60×11mm |
重量 | 85g |
カラー | ピンク、ホワイト、ブラック |
販売価格 | 2,500円程度 |
・実験結果は、室温がコントロールされていない環境で行なっています。電池は温度により、その特性が大きく変わる点にご注意ください。 ・実験結果は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません。 ・実験結果に基づいた実容量やロス率は、その値を保障するものではありません。 ・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにはお答えできません。 |
スマートフォンちょうど1回分。ケーブルは長めでバッグに入れるのにちょうど良い
内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマートフォン「ARROWS X F-10D」を実際に充電してみたところ、90%の充電が可能だった。このクラスのスマートフォンならほぼ1回フル充電できると考えていい。
・スマートフォン充電テストの結果
充電回数「90%」(1,584mAh相当)
※測定条件は、WiFi:ON、Bluetooth:ON、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリ「Battery Mix」にて容量変化を記録
充電には同梱のケーブルを使用した。硬く丈夫で、長さは30cm以上もある。バッグにQE-QL104を入れ、ケーブルを手元のスマートフォンまで伸ばして充電するといった使用法にはちょうど良い。ただ、スマートフォンと重ねて充電するにはちょっと長すぎで、ケーブルを丸める必要がある。
出力は1Aで、スマートフォンの急速充電にも対応、スマートフォンが満充電になると自動的に電源を切り充電を中止するオートパワーOFF機能も備えているが、これはスマートフォンの電源がOFFの場合にのみ有効だ。とはいえ、スマートフォンを1回フル充電できる程度の容量なので、オートパワーオフの有無はそこまで重要ではない。
バッテリー残量はLEDの色で3段階表示される。ほかのモバイルバッテリーの場合、4段階以上表示するものもあるが、スマートフォン1回分の容量なので3段階で十分だろう。
項目 | 詳細 |
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USBコネクタ数 | 1 |
USB最大電流 | 1A |
充電ケーブル (コネクタ) | Micro USB – USB |
残量インジケータ | 3色1灯式 (緑:60%以上、オレンジ:30%以上、 赤:30%以下) |
自動電源OFF | あり |
同時充電 | - |
電圧・電流・実用量率いずれも平均的
次に独自の測定器を用いて、連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。
独自の測定器のテスト結果では、電圧は極めて安定。電流はやや低めで安定している。
容量が同じ2,000mAh台のQE-QL103では、電流がほぼ900mAを中心に推移していたが、今回のQE-QL104では、それよりもわずかに低い875mAが中心となっている。とはいえ、急速充電が解除されるようなことはなく、実用上は同性能と捕らえていいだろう。
2,420mAhという表示容量に対して、実際にスマートフォンに充電できたのは1,488mAhだった。表示スペックに対する割合では、61%となる。QE-QL103も61%なので、ほぼ同じバッテリー性能といえるだろう。
電圧と電流の安定性、実容量率など総合的に見てみると、可もなく不可もなく、パナソニックらしく平均点をがっちり抑えたバッテリーという感じだ。
なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。
項目 | 詳細 |
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バッテリー表示容量 | 2,420mAh |
連続利用時の実用量 | 1,488mAh(61%) |
連続実用量1,000mAh あたりの価格 | 1,680円 |
充電回数(理論値) | Android(1,300mAh):1.2回 Android(1,500mAh):1.1回 Android(1,800mAh):0.9回 Android(2,000mAh):0.8回 Android(2,200mAh):0.7回 Android(2,500mAh):0.6回 Android(3,000mAh):0.5回 iPhone 4S(1,432mAh):1.1回 iPhone 5(1,434mAh):1.1回 ソニー PSP(1,200mAh):1.3回 ニンテンドー 3DS(1,300mAh):1.2回 |
内蔵バッテリーの充電は3時間かからずに完了。サッと充電、サッと使える手軽さ
充電器は別売となっているので、2A出力ができる市販のUSB - ACアダプタで充電した。充電時間はカタログ上では3時間となっていたが、それよりも15分早い2時間45分ほどで充電できた。
この容量の充電時間としては標準的だが、3時間でスマートフォン1回分を充電できるというのは、デスクワークの合間などに充電できるので便利に使えるだろう。
なお充電には1AのUSB ACアダプタが必要になるので、スマートフォンに同梱のアダプタを使うといいだろう。パソコンのUSBコネクタから充電した場合や、500mAしか出力できないUSB - ACアダプタの場合は、充電に倍近くの時間がかかってしまう。
項目 | 詳細 |
---|---|
本体充電用コネクタ | Micro USB |
同梱充電器(仕様) | なし |
充電時間(カタログ値) | 3時間(ACアダプタQE-AP104利用時) |
充電時間(実測) | 2時間45分 |
1,800~2,200mAhのAndroidスマホにオススメ
性能、デザイン、サイズなど、すべて標準点をクリアしており、変なクセがなく、誰にでも使いこなせるモバイルバッテリーだ。たいていのスマートフォンにマッチするうえ、パナソニックの製品のため、家電量販店ならどこでも売っていて入手しやすいというのもうれしい。
同じパナソニックでほぼ同容量のQE-QL103とは、スマートフォンの充電回数、実容量率、充電時間、操作性のいずれをとってもほとんど変わりないため、迷うかもしれない。ただ両者には、QE-QL103には「短く巻き取り式のケーブルを同梱」、QE-QL104は「薄い本体と長いケーブル付き」という違いがある。使用シーンによって便利さは異なるが、スマートフォンとほぼ同サイズでYシャツのポケットにも入るという扱いやすさの面では、QE-QL104に軍配を上げたい。
なおQE-QL103には、まったく同じデザインで、対応の充電パッドに置くだけで充電ができる姉妹機種「QL-PL103」という製品もある。QE-QL104については、充電パッドに対応した姉妹機種はない。この点も両者の大きな違いとなる。
iPhoneシリーズだと、バッテリー残量が20%で本製品を使って充電した場合、1回フル充電してもなお30%ほど充電できる容量が残るが、Android端末なら内蔵バッテリーが1,800mAh~2,200mAhあたりの機種にマッチする。このクラスのスマートフォンをお使いの方は、一度チェックしていただきたい。
メーカー・品名 | パナソニック「QE-QL104」 |
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ロスの少なさ | ★★★☆☆(3) |
持ち歩きやすさ | ★★★★★(5) |
単位容量の安さ | ★★★☆☆(3) |
充電の早さ | ★★★★★(5) |
使い勝手のよさ | ★★★★☆(4) |