藤山哲人のモバイルバッテリー診断
パナソニック「QE-QL103」
~付属の充電用ケーブルアタッチメントが超便利! スマホ1回分のバッテリー
by 藤山 哲人(2013/7/11 00:00)
スマートフォンが1回充電できる、パナソニックの容量2,700mAhの定番モバイルバッテリー「QE-QL101」が、この6月、容量アップとともに進化した。それが、今回紹介する「QE-QL103」だ。
以前のQE-QL101は、同梱のアダプタを差し込むとLED懐中電灯になるという“超展開”を見せていたが、今回は、巻き取り式のUSB - Micro USBケーブルアダプタが同梱されている。また、サイズはまったく同じまま、容量が2,700mAhから2,900mAhにアップしている。
結論から言えば、この巻き取り式のケーブルアダプタは、予想以上に便利だ。カバンに入れてもUSBコネクタに無理な力がかからない上に、カバンの中の物にも絡まらない。これは便利! ナイスアイディア! と賞賛したい。今後のモバイルバッテリーのケーブルのあり方を変える製品になるだろう。
メーカー名 | パナソニック |
---|---|
品名・型番 | QE-QL103 |
バッテリー容量 | 2,900mAh |
サイズ (幅×奥行き×高さ) | 約24×90×40mm |
重量 | 95g |
カラー・モデル | ブラック、ホワイトの2色 |
販売価格 | 3,000円程度 |
なおパナソニックからは、同じく容量2,900mAhで、ワイヤレス充電の世界規格「Qi(チー)」に対応した「QE-PL103」という製品も出ているが、本製品はQiには非対応となっている。Qi対応のバッテリーについては、いずれ公開させていただく予定だ。
・実験結果は、室温がコントロールされていない環境で行なっています。電池は温度により、その特性が大きく変わる点にご注意ください。 ・実験結果は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません。 ・実験結果に基づいた実容量やロス率は、その値を保障するものではありません。 ・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにはお答えできません。 |
スマートフォン1回をフル充電、同梱のケーブルも使いやすい
まずは内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマートフォン「ARROWS X F-10D」を、付属のケーブル巻き取りアダプタを使って、実際に充電してみた。
巻き取りケーブルアダプタは、指先で簡単に引っ張り出すことができ、伸ばすと10cm程度になる。最初は短くて不便そうにも思えたが、電線が真横に出ているため、15cm程度の短いUSBケーブルと同じ感覚で使える。突起した部分もないので、ポケットやカバンに入れても他のものに絡まない。
充電の結果は90%と、スマートフォンほぼ1回分だった。
・スマートフォン充電テストの結果
充電回数「90%」(1,674mAh相当)
※WiFi:ON、Bluetooth:OFF、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリBattery Mixにて容量変化を記録
出力は最大1Aありスマートフォンの急速充電に対応。バッテリー残量は、電源スイッチ脇にあるLEDの色で3段階表示される。
電源は押しボタン式のスイッチになっており、スマートフォンの電源を切った状態で充電した場合には、フル充電になってから5分後に電源が自動的に切れた。一般的なモバイルバッテリーは自動で電源が切れるまで長くても1分なので、やや長めだ。40mA程度の微弱な電流を流した状態でOFFになるかを実験してみたが、この場合は自動でOFFにならなかった。
スマートフォンをちょうど1回充電できるモバイルバッテリーという位置づけなので、最大出力やオートパワーオフ、残量計に不便さを感じることはない。
項目 | 詳細 |
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USBコネクタ数 | 1 |
USB最大電流 | 1A(1,000mA) |
充電ケーブル (コネクタ) | MicroUSB-USB(アタッチメント式) |
残量インジケータ | 3色1灯式(緑:60%以上、オレンジ:30%以上、赤:30%以下) |
自動電源OFF | 本体電源ON時も有効。40mAでOFFを確認 |
同時充電 | × |
実容量率は並だが、安定した電力を供給できる
たいていのスマートフォンは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。
ここでいう実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量のこと。また、表示容量に対する割合を「実用量率」と呼ぶが、この値が大きいほど高性能バッテリーといえる。
独自の測定器でテストした結果、電圧は5.0Vでピタリと安定している。電流は、900mAを中心に±50mAで非常に安定している。
2,900mAhという表示容量に対して、スマートフォンに実際に充電できる実容量は1,769mAh(61%)だった。電源ON時に常にLEDが点灯しているためだろうか、実容量率が高いと言えないが、それでも標準的な数値だ。
なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合、()内が内蔵バッテリー容量を示している。
項目 | 詳細 |
---|---|
バッテリー表示容量 | 2,900mAh |
連続利用時の実用量 | 1,769mAh(61%) |
連続実用量1,000mAh あたりの価格 | 1,696円 |
充電回数(理論値) | Android(1,300mAh):1.3回 Android(1,500mAh):1.1回 Android(1,800mAh):0.9回 Android(2,000mAh):0.8回 Android(2,200mAh):0.8回 Android(2,500mAh):0.7回 Android(3,000mAh):0.6回 iPhone 4S(1,432mAh):1.2回 iPhone 5(1,434mAh):1.2回 ソニー PSP(1,200mAh):1.4回 任天堂 3DS(1,300mAh):1.3回 |
2時間あればチャージ完了、小回りが効く
充電器は同梱されていないので、市販の2A出力できるUSB ACアダプタで充電した。カタログ上では3.5時間となっていたが、実際には2時間を少し切る程度で充電できた。容量が少ないので充電時間も早く済む。2時間以内にスマートフォン1回分が充電できるなら、ちょっとした休憩時間でも充電できてしまうだろう。なお、充電に必要な電流は1Aなので、別途USB ACアダプタを購入する場合は、余裕を持った2A出力を選ぶといいだろう。
内蔵バッテリーの充電時にも、巻き取り式のケーブルが利用できる。ただ、USBコネクタがやや大きめになるので、場合によっては2つ口あるUSBコネクタをふさいでしまったり、突起に引っかかってコネクタがうまく差し込めない場合もあるかもしれない。複数の機器を充電する際には、一般的なUSB-Micro USBケーブルも持ち合わせた方がいいだろう。
項目 | 詳細 |
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本体充電用コネクタ | Micro USB |
添付充電器(仕様) | なし |
充電時間(カタログ値) | 3.5時間(USB-ACアダプタ利用時) |
充電時間(実測) | 1時間49分 |
容量2,000mAh台のスマートフォンに最適
このモバイルバッテリーは、1回の充電で、容量すべてを使い切るという使い方が良さそうだ。内蔵バッテリー容量が少なく、1回以上の充電ができてしまうiPhoneや2,000mAh未満のスマートフォン、携帯ゲーム機などでは、中途半端に容量が残ってしまう。ベストマッチするのは、2,000mAh台の内蔵バッテリーを内蔵したスマートフォンだ。これならちょうど1回のフル充電ができる。
また、付属のケーブルアダプターは便利だった。充電用ケーブルを忘れがちな人にもオススメだ。
メーカー・品名 | パナソニック「QE-QL103」 |
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ロスの少なさ | ★★★☆☆(3) |
持ち歩きやすさ | ★★★★★(5) |
単位容量の安さ | ★★★☆☆(3) |
充電の早さ | ★★★★★(5) |
使い勝手のよさ | ★★★★★(5) |
【お詫びと訂正 2015年3月4日】
記事初出時、表中のメーカー・品名をバッファロー「BSMPB04」と記載しておりました。正しくはパナソニック「QE-QL103」です。お詫びして訂正いたします。