【特集】LED電球、どれを買う? 2010

イオン「トップバリュ共環宣言 LED電球」

~明るさはイマイチも、小型・軽量で色も良い。あと安い!
by 藤原 大蔵

ついにイオングループもLED電球市場に参戦

トップバリュ「共環宣言 LED電球 LDA7L-H-TV」60Wタイプ。電球とほとんど変わらぬコンパクトさが特徴的こちらは40Wタイプ。60Wタイプと同じ大きさだ

 今回紹介するLED電球は、大手流通グループのイオンによるプライベートブランド「トップバリュ」のLED電球「トップバリュ共環宣言 LED電球」だ。トップバリュというと、食品や日用雑貨品というイメージがあったが、おそらくイオンは、今後LED電球が生活必需品になると見ているのだろう。全国のイオングループ約2,000店舗で販売しているという。

 このトップバリュLED電球の特徴を端的にいうと、コンパクトなサイズと軽さであろう。限りなく白熱電球に近いサイズで、しかも業界でもトップクラスの軽さを誇っている。「LED電球はデカくて重い」というイメージは、少なくとも本製品には当てはまらない。密閉器具と調光器には対応していないが、大きさや重さを意識せず、白熱電球を取り替える感覚でLED電球に切り替えができそうだ。

 電球色のラインアップは2つ。ライト直下で白熱電球60W形相当の明るさという「LDA7L-H-TV」、40W形相当の「LDA4L-H-TV」だ。


シリーズ名トップバリュ共環宣言 LED電球
品番LDA7L-H-TVLDA4L-H-TV
光色電球色
色温度2,700K
口金タイプE26
定格寿命40,000時間
全光束310lm210lm
白熱電球と比べた明るさ(直下部)60W形相当40W形相当
平均演色評価数Ra75~80
調光器対応-
密閉器具-
サイズ (高さx最大直径)99×55mm
重量(実測)65g
購入価格1,680円1,580円
※白熱電球は三菱電機オスラムの 「LW100V57W2PZ」(2個パック143円で購入)を使用
※※電球形蛍光灯は、2008 年の特集で 総合的に性能の高かったパナソニックの
「パルックボール プレミアQ(クイック)」(1,390円で購入)を使用

 



【基本スペック編】

サイズ比較

 白熱電球と並べても遜色ないほどコンパクトだ。60W、40Wタイプとも、サイズは99 x 55mm (高さ×最大直径)と、白熱電球よりも背がたった4mmほど高いだけ。さらに、ソケット部の太さも30mmと、白熱電球の根元の太さ(32mm)よりもさらに細い。また、大きさだけでなく形状も白熱電球に近いので、「使っている器具に気軽に取り付けられそう」と、イメージしやすい。

 重さはどちらも実測で65gと、今までレビューしてきた一般電球型LED電球の中ではダントツで軽い。おそらく、LEDを覆うカバーだけでなく、放熱部も樹脂製というのがその軽さの理由になっていると思われる。器具への負担はほとんど意識せずに取り替えられるだろう。

 真上から電球をみると、大きさは全く白熱電球と変わらない。せいぜい質感とロゴの有無くらいだ。乳白色の樹脂はいかにも白熱電球らしく、LEDチップはほとんど透けて見えない。樹脂製の放熱部は、ゴツゴツ感がない仕上げで、柔らかな印象を受ける。

高さは99mm(中央)と、60W形白熱電球(左)より4mm背が高いだけ。白熱電球とほぼ変わらない大きさが特徴だ。口金付近の太さは白熱電球よりも細く、電球らしいシルエットで、全体的に柔らかな見た目である。重量は65gとダントツで軽い。なお、サイズと重量は、60/40Wタイプとも共通直径は55mm(中央)で、白熱電球や電球型蛍光灯と全く同じだ。光源部は半透明な樹脂製だが、LEDチップは透けて見えない

器具に取り付けた様子

 器具に取り付けた印象は、白熱電球と全く変わらないと言っていい。LED電球は白熱電球よりも大きいのが当たり前だったが、そのイメージを大きく覆すほどのコンパクトさである。放熱部は器具をかなり覗きこまないと見えてこないし、電球型蛍光灯よりもその見え方は自然だ。

 電球の口金付近もスッキリしているので、電球を下向きに取り付ける器具の多くに問題なく取り付けられそうだ。

【白熱電球:60W】
電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影した
【電球形蛍光灯】
電球の直径は白熱電球と同じだが、高さがあるため、内側のらせん状の蛍光管が透けて見える
【トップバリュ:60W/40W】
白熱電球に限りなく近い見え方である。違いといえば、電球のロゴの有無、質感ぐらいで、放熱部も器具をかなり覗きこまないと見えない

光の広がりかた

 光源部を中心に、ほぼ球形に光が拡散している。ソケット付近やその側面への光の広がりは、白熱電球には及ばないが、これはほかのLED電球も同様。まずまずの拡散性が得られるだろう。

 ただし、最近の他のLED電球に見られるような「遠くまで光が届く」という印象は弱い。白熱電球のように、電球付近に明るさが集中するようである。

【白熱電球:60W】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている
【電球形蛍光灯】
白熱電球と同じようにソケット付近も光が届く。しかし遠くまでは光が届かない印象だ
【トップバリュ:60Wタイプ】
ほぼ球形に光が拡散している。ソケット付近と側面への光の回り込みは弱く、明るさが電球付近に集中するような印象だが、実用的な光の広がりは感じられる
【白熱電球:40W】
光の広がり方は60Wと同じ
【トップバリュ:40Wタイプ】
60Wタイプとほとんど同じ


明るさ(55cm直下の照度)

 明るさに関しては、難アリと言わざるをえない。

 一般電球型のLED電球で、60W形白熱電球の明るさを超えるものが登場してきている中、60Wタイプで400lx、40Wタイプで240lxという結果は物足りない。しかも、パッケージの「直下で電球60W相当、40W相当の明るさ」と謳っていても、実際にはどちらも40W形白熱電球よりも暗くなってしまう。

 さらに、いただけないクセがある。点灯してから徐々に暗くなり、15分後くらい経ってやっと安定するのだ。60Wタイプは点灯時から400lxから、15分後には310lx。40Wタイプも同様に、240lxから215lxへと、さらに暗くなってしまう。肉眼では数値ほどの差は感じないのだが、正直、明るいとは言い切れない。

【白熱電球:60W 800lx】
光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した
【電球形蛍光灯 475Lx】
【トップバリュ:60Wタイプ 点灯直後 400lx】
点灯直後の明るさはLED電球の中では中ぐらいの明るさ。しかし、40W形白熱電球の明るさ(437lx)に及ばないのはやはり物足りない
【トップバリュ:60Wタイプ 点灯15分後 310Lx】
点灯後、徐々に暗くなってしまった。15分ぐらいで落ち着くのだが、これはいただけない
【白熱電球:40W 437Lx】【トップバリュ:40Wタイプ 点灯直後 240lx】
点灯直後の明るさでも、40W形白熱電球の明るさよりも大きく下回る。暗めのLED電球という結果になってしまた
【トップバリュ:40Wタイプ 点灯15分後 215Lx】
点灯後、60Wタイプと同様に徐々に暗くなってしまう


 ほかのLED電球には見られないほど、白熱電球に肉迫したコンパクトさ、軽さは魅力的だ。しかし肝心の「明るさ」で大きくつまずいてしまった感は否めない。実使用ではどのようになるのか、話を先に進めよう。




【実使用編】

 ここから、実際の生活シーンに取り付けた生活シーンを軸に、さらに実力を探って行く。なお、密閉器具には対応していないので、浴室や密閉型のインテリアライトの写真は割愛している。

玄関

 60Wタイプは、肉眼での印象は決して悪くなかった。白熱電球と並べれば暗くなってしまうが、多少暗くても光色が自然で、暖かな雰囲気の玄関が演出できるからだ。徐々に暗くなってしまうのは避けられないのだが、長時間滞在しないような場所や、短時間しか点灯しない使い方ならば、それはあまり気にならないだろう。

 一方、40Wタイプは、さらに暗くなってしまうものの、光色は良いので、肉眼での見え方としては不自然にならない。玄関にさほど明るさを求めない使い方や、複数の器具にとりつけるならば、これはこれで活用できる場はあるだろう。

【白熱電球:60W】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【電球形蛍光灯】
比較すると色が不自然に感じる。また、点灯して明るさが安定するまで時間がかかる
【トップバリュ:60Wタイプ】人が長居しないような場所なら十分な明るさが感じられる。自然な色合いが自然で、人を迎え入れる空間の灯りとしては良好に感じた
【白熱電球:40W】
玄関としては、もうすこし明るさが欲しいか
【トップバリュ:40Wタイプ】
さすがに暗くなるものの、人が居なくても玄関先をとりあえず明るくしておきたい場合や、通り過ぎるだけの廊下ならアリだろう。光色も良かった

トイレ

 60Wタイプなら、トイレでの使用には十分な明るさが得られる。しかも、白熱電球とあまり変わらない、偏りの少ない光色が好印象。多少暗くはなっても、清潔感が損なわれないため、実用的と言える。

 40Wタイプの明るさでも、トイレのような狭い空間ならまだまだ使えると感じた。なお、60W形白熱電球に合わせて撮影しているため、写真は肉眼よりも暗く写ってしまっている。

 トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。

【白熱電球:60W】
明るく気持ちよく過ごせる
【トップバリュ:60Wタイプ】
トイレのような狭い空間ならこの明るさでも十分快適だ。自然な光色は清潔感も感じられる
【白熱電球:40W】
少し暗いが狭い空間なので、まだまだ十分に明るく感じる
【トップバリュ:40Wタイプ】
撮影すると暗くなってしまうが、肉眼では問題ない程度の明るさは感じられた。光色の良さは60Wタイプと変わらない

リビングルーム

 透過タイプの器具に取り付けた場合、テーブル面や少し離れた棚にも光は届き、落ち着いた雰囲気のリビングルームが演出できた。白熱電球のような煌々とした明るさは得られないが、光色は暖かみがあり偏りも少ないので、くつろぎの空間に適している。スタンドなどの補助照明と組み合わせれば、多少の暗さやクセも解消できるだろう。シェード全体もくまなく光っており、器具の持つ印象はほとんど変わらない。

 非透過タイプも、多少暗いなりには好印象。天井や壁面からの反射光は、白熱電球や蛍光灯には及ばないが、部屋全体の明るさとコントラストのバランスが良い。アクセント照明や部分照明などを多用すれば、明るさの欠点は補えるうえ、雰囲気のあるリビングルームが演出できるだろう。

【白熱電球:60W×2 透過タイプのシェード】
光が部屋全体に行き渡り、十分な明るさがある
【電球形蛍光灯×2 透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部、側面へも光が広がる。しかし、テーブルはLED電球よりも暗い印象で、色被り(余計な色が加わること)によりくすんで見える
【トップバリュ60Wタイプ×2 透過タイプのシェード】
暖かみのある自然な光色がとても快適だ。2灯用いると、照らされている面にも実用的な明るさが感じられる。少し抑え目の明るさなので、他の照明器具との併用もしやすいだろう
【白熱電球:60W×2 非透過タイプのシェード】
十分な明るさが得られ、コントラストのある空間になっている
【電球形蛍光灯×2 非透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部へも光が広がるが、透過タイプと同様、色がいまひとつ
【トップバリュ60Wタイプ×2 非透過タイプのシェード】
落ち着いた自然な色合いが得られる。光のコントラストを活かすように、アクセント照明や部分照明を複数用いて、くつろいだ雰囲気を演出するのも良いだろう

食事の風景

 結論から言えば、食事のシーンにも十分に活用できるLED電球と言えるだろう。色温度2,700Kと、白熱電球(2,850K)よりも若干低いため、若干赤色が強調される傾向はあるものの、食べ物全体の色味がバランス良くおいしそうに見えるうえ、モスグリーンのランチョンマットの微妙な色合いさえも、しっかり再現されている。暖かみがあり、落ち着いた雰囲気の食卓が演出できる。

 特に、食卓の真上に取り付けてあるペンダントライトなら、食卓と器具の距離が短くなるので、明るさに関する欠点もさほど気にならないはず。自然な光色の下、快適に食事ができるだろう。

【白熱電球:60W】
食事は全体的においしそうに見える。ただし赤みが強い光色のため、モスグリーンのランチョンマットが茶色に見える
【電球形蛍光灯】
左右の写真と比較すると、色味のバランスが崩れ、食卓全体がくすんだ印象に見える
【トップバリュ:60Wタイプ】
食べ物の発色が自然で、とてもおいしそうに見える。食器の質感、ランチョンマット、テーブルなど全ての色合いが良く、暖かみのある落ち着いた食卓が演出できるだろう

60W形白熱電球との交換で、元が取れるのは【6カ月以内】

 60W形の白熱電球を60Wタイプと交換した場合、なんとたった6カ月以内に元が取れる試算となった(1日8時間使用と仮定)。この結果はLED電球の中でも最速。なんと言っても電球代が安く、しかも消費電力が5Wと低め、というのがその理由だろう。

 一方、40W形白熱電球を40Wタイプと交換した場合でも、元を取れる期間は早く、8カ月以内であった。ちなみに40Wタイプは、消費電力はたった3Wととにかく少ない。

 さらに、60Wの電球形蛍光灯と交換しても、LED電球60Wタイプで11カ月、40Wタイプではたった5カ月で元が取れてしまう。LED電球の中で、1年を切って元が取れるのは特筆に値する。元の電球代が安く、しかも消費電力が低いのがその結果につながったようだ。まだまだ使える電球型蛍光灯を無理やり交換する必要は無いが、頻繁な点滅でも劣化しない耐久性、40,000時間という長寿命、そして蛍光灯には無い光色の良さを考えると、電球形蛍光灯から交換するメリットは十分にあるだろう。

 また、放熱部がそれほど熱くならない。一般的なLED電球の放熱部は、思わず触れた手を引っ込めるほど熱くなるのが普通だが、トップバリュのLED電球の放熱部は樹脂製という事もあり、そこまででではなかった。

【白熱電球:60W 56W】【電球形蛍光灯 10W(安定時)】【トップバリュ:60Wタイプ】
消費電力は5Wと低め。1年間毎日8時間使用しても、電気代は約321円。かなり電気代が抑えられるだろう
【白熱電球:40W 37W】【トップバリュ:40Wタイプ】
消費電力はたったの3Wと、非常に省エネという数値になった。もし、毎日24時間点けっぱなしにしても、1年間の電気代は白熱電球の1カ月分の電気代よりも安い約580円に収まる

【トップバリュ共環境宣言 LED電球:60Wタイプ】
従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算
使用電球消費電力
(実測)
1カ月3カ月半年
(6カ月)
9カ月11カ月1年2年4年
トップバリュ
60Wタイプ
5W1,707円1,760円1,841円1,921円1,974円2,001円2,322円2,965円
白熱電球56W370円966円1,932円2,897円3,493円3,792円7,583円17,098円
電球形蛍光灯:60W10W1,445円1,554円1,719円1,883円1,992円2,047円3,306円5,736円

トップバリュ共環境宣言 LED電球:40Wタイプ】
従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算
使用電球消費電力
(実測)
1カ月3カ月5カ月半年
(6カ月)
8カ月9カ月1年2年4年
トップバリュ
40Wタイプ
5W1,596円1,628円1,661円1,677円1,709円1,725円1,774円1,967円2,354円
白熱電球37W269円665円1,132円1,329円1,725円1,994円2,587円5,174円10,348円
電球形蛍光灯:60W10W1,445円1,554円1,664円1,719円1,828円1,883円2,047円2,704円4,018円

※表中の金額は、電球代と電気代をプラスした「維持費」  ※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球には、4カ月ごとに電球代を加算する (切れた電球代の購入費として) ※電気代は1kWh=22円で計算


明るさはイマイチも、コンパクトで軽く色も自然。安いのでとりあえず買ってみては

 トップバリュLED電球の良いところは、コンパクトで軽い点はもちろん、白熱電球に近い光色の良さも大きな魅力だ。照らされる物が自然な色合いに見え、「LED電球が照らしている」というような人工的な雰囲気にならないのが良い。しかも価格も安く、あっという間に元が取れる点は、他とは大きく違う特徴である。

 ただし、昨今のLED電球としては暗めで、しかも時間が経過すると明るさがさらに落ちてしまうのは欠点だ。最終的には明るさは安定するが、暗い状態で安定するのはいただけない。単体だけで広い空間を明るく煌々と照らすような使い方に適さないが、狭い空間や短時間しか使わない場所や、器具と対象物が近いシチュエーションなら、暗さはさほど気にならないだろう。具体的な場面では、電球が露出する器具、トイレなどの狭い空間、人が通り過ぎるだけの廊下、色味が重要になる食卓になら、交換して問題はないと思われる。

 明るさという欠点はあるものの、色/コンパクト/軽量/価格の安さは魅力的。白熱電球からの切り替えのハードルが低いLED電球ということがいえそうだ。まずは近所のイオン系列店で、気軽に一個、購入してみてはいかがだろうか。


イオン「トップバリュ共環境宣言 LED電球」はこんな電球

・白熱電球とほぼ変わらないサイズ。しかもLED電球の中ではダントツで軽い

・白熱電球に近い自然な電球色。高い演色性が得られる

・明るさはイマイチ。しかも点灯後、徐々に暗くなる

・低価格も魅力。60Wタイプでは、白熱電球は6カ月、電球型蛍光灯は8カ月で元が取れる








2010年12月6日 00:00