【特別企画】
LED電球、どれを買う? 2010

ドウシシャ「Luminous(ルミナス)」

~2千円未満で買えるLED電球ってどんな感じ?
by 藤原 大蔵

1,980円で買ったLED電球――ドウシシャ「Luminous(ルミナス)」


白熱電球60W相当の「Luminous(ルミナス) LED電球 一般電球形6.6W LEC-Q600D」。LEDチップは40個内蔵されているという
 低価格化が進んでいるLED電球だが、実売価格は安くても2,500円前後のものがほとんど。そんな中で実売価格が2千円を切る「1,980円」という低価格を実現したのが、ドウシシャの「Luminous(ルミナス) LED電球」だ。全国のイトーヨーカドーやホームセンターなどで、2009年末から発売している。

 安さの秘訣は、安価な小型チップLEDを数十個使う“マルチチップ構造”。これにより、1つのチップだけで強力な光を放つ「パワーLED」を使うことなく、明るさと低価格を実現させているとのこと。外見からはそのLEDチップの存在はまったくわからないが、電球らしいくびれがある形状で、白熱電球からの置き換えを意識した仕上げになっている。

白熱電球40W相当の「Luminous(ルミナス) LED電球 一般電球形4.7W LEC-Q400D」。LEDは34個内蔵されている
 電球色タイプでは、白熱電球60W相当の「LEC-Q600D」(以下、ルミナス:60W)、40W相当の「LEC-Q400D」(以下、ルミナス:40W)の2種類があり、いずれも1,980円にて購入した。はたして低価格LED電球の実力はいかほどのものだろうか。

シリーズ名Luminous(ルミナス)
品番LEC-Q600DLEC-Q400D
定格消費電力6.6W4.7W
白熱電球と比較した
明るさ
60W形相当40W形相当
購入価格
(セブンネットショッピング 5/16時点)
1,980円
光色電球色相当
色温度2,900K
口金E26
全光束350lm235lm
調光器対応-
密閉器具対応-
サイズ65×109mm(直径×高さ)
重量156g148g
寿命40,000時間

※白熱電球は三菱電機オスラムの「LW100V57W2PZ」(2個パック143円で購入)を使用

   ※※電球形蛍光灯は、2008年の特集で 総合的に性能の高かったパナソニックの「パルックボール プレミアQ(クイック)」(1,390円で購入)を使用


【基本スペック編】

サイズ比較


 サイズは60/40Wタイプとも、109×65mm(高さ×直径)。白熱電球、LED電球、電球形蛍光灯と横並びにすると、高さこそ電球形蛍光灯よりも低いものの、直径が65mmあり、明らかに「大きめの電球」といったところ。光源部は半透明な樹脂で覆われており、内部に数十個あるはずのLEDチップは透けて見えることはない。実測した重さは、60Wタイプが156g、40Wタイプが148gと、LED電球の中ではいくぶん重めだ。

 放熱部であるヒートシンクは白色で細くスマートな印象だが、樹脂と放熱部の継ぎ目に“波”のようなデザインが施してある。デザイン的には好みが分かれるところだろう。

【ルミナス:60/40W】
高さはいずれも109mm。60Wタイプ白熱電球(左)と比べると15mm高い。電球らしいくびれはあるが、光源部と放熱部のつなぎ目に波型のデザインがあり、好みが分かれるところ
【ルミナス:60/40W】
直径は65mmで、どちらも白熱電球、電球形蛍光灯よりも10mm大きい。“ちょっと大き目の電球”といった印象を受ける

器具に取り付けたようす

 どちらも白熱電球より15mm背が高いが、ヒートシンクはかなり覗きこまないと見えない。“波”を打つような特徴的な継ぎ目も、電球が露出する器具でなければ気にならない。電球の直径は大きめだが、器具から覗く半透明な樹脂の発光部が電球らしく、器具への収まりが良い印象だ。

【白熱電球:60W】
電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影。40Wの白熱電球は見え方は全く同じなので割愛
【電球形蛍光灯】
電球の直径は白熱電球と同じだが、高さがあるため、内側のらせん状の蛍光管が透けてみえる
【ルミナス:60/40W】
背は白熱電球よりも高いが、覗き込まないとヒートシンク部はほとんど見えない。樹脂製の光源部は白熱電球ととても似ている

光の広がりかた

 光源部を中心にほぼ球形に拡散はしているが、ソケット方向へ光の広がりは白熱灯、蛍光灯に比べ弱い。ただし、他社のLED電球同様、光が遠くまで届いている。LED素子を複数用いたマルチチップ構造だからといって、遠くまで光が届かないことはなさそうだ。ダウンライトや間接光の器具との相性も良いだろう。

【白熱電球:60W】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている 
【電球形蛍光灯】
白熱電球と同じようにソケット付近も光が届く。しかし遠くまでは光が届かない印象
【ルミナス:60W】
光はほぼ球形に拡散しており、光は遠くまで届いている。ソケット付近と側面への光の回り込みは弱い

【白熱電球:40W】
光の広がり方は60Wと同じ
【ルミナス:40W】
60Wタイプのものと同様の性質がある

明るさ(55cm直下の照度)

 白熱電球と比較すると暗くなってしまうが、60Wタイプは417Lxあり、電球形蛍光灯との比較ならそれほど変わらない明るさが得られる。40Wタイプでは、250Lx前後のものが多い中、ルミナス40Wタイプは302Lxと、特に明るい結果が得られた。

【白熱電球:60W 800Lx】
光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した
【電球形蛍光灯 475Lx】【ルミナス:60W 417Lx】
LED電球の中では明るさは上位グループに入る

【白熱電球:40W 437Lx】【ルミナス:40W 302Lx】
40Wタイプでは250Lx前後が多い中、明るい部類に入る



 低価格な製品ではあるが、数あるLED電球の中でも引けをとらない明るさが得られており、ここまでの印象は悪くない。ただ、個人的な好みを言わせてもらうと、波打つような継ぎ目のデザインの必要性が全く感じられず、なんだか安っぽい印象を受けた。電球が露出するような器具には、正直に言ってお勧めできない。



【実使用編】

 明るさは他社にひけを取らないが、実際の生活シーンに取り付けたならどうなるか。よりリアルな使用感を見てみよう。なお、密閉器具には使用を控える旨が製品パッケージに記されていたため、浴室での写真は割愛する。

玄関


 60Wタイプでは、白熱電球と並べてしまうと当然暗くなってしまう。しかし、点灯した瞬間からまずまず明るい。光色は鈍く感じられたが、蛍光灯よりも良い印象だった。もし60Wタイプの電球形蛍光灯で満足しているならば違和感なく使用できるだろう。

 40Wタイプは、60Wタイプと同条件で撮影しているため写真では暗く見える。しかし、40WタイプのLED電球の中では明るいほうなので、肉眼では実用範囲内の明るさが得られる印象が得られた。

 まとめれば、60/40Wタイプはどちらも玄関での使用に適していると言える。

【白熱電球:60W】
床面まで光が届き、十分な明るさがある 
【電球形蛍光灯】
比較すると色味が不自然に感じる。また、点灯して明るさが安定するまで時間がかかる 
【ルミナス:60W】
白熱電球に比べれば暗くなるが、電球形蛍光灯とはそれほど変わらない印象

【白熱電球:40W】
玄関としてはもうすこし明るさが欲しい
【ルミナス:40W】
白熱電球と比較するとさすがに暗いが、明るさは実用範囲内

トイレ

 トイレのような狭い空間ならば、どちらも問題ない明るさが得られる。しかし、光色にクセがあり、照らされるものの色がどうしても鈍ってしまう。玄関や廊下のように、すぐに通り過ぎるだけの場所ならさほど気にならなくても、トイレのようにある程度滞在するような場所だと気になるかもしれない。

 なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。

【白熱電球:60W】
明るく気持ちよく過ごせる
【ルミナス:60W】
光色にクセがあり、短時間の滞在でも気になってしまう

【白熱電球:40W】
少し暗いが狭い空間なので、十分に明るく感じる
【ルミナス:40W】
明るさはまずまず。しかし、60Wタイプよりもさらに光色のクセが気になる

リビングルーム

 透過タイプの器具の場合、シェード全体がくまなく光り、器具の持つ印象がほとんど変わらない。他のLED電球同様、上方向への光が弱く、全体的に暗い印象になる。非透過タイプも同様で、反射光の明るさは望めないが、テーブル面の明るさは蛍光灯とさほど変わらない。

 しかし、光色の印象はあまり良くない。全体的に色被り(余計な色が加わること)が起こり、その灯りの下ではどうしても色が悪く見える。くつろぎの空間の灯りとしては少々不満が残るだろう。

 

【白熱電球:60W×2 透過タイプのシェード】
光が部屋全体に行き渡り十分な明るさが得られている 
【電球形蛍光灯×2 透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部、側面へも光が広がる。しかし、照らされた面はLED電球よりも暗い印象で、また色被り(余計な色が加わる こと)によりテーブルなどがくすんで見える
【ルミナス:60W×2 透過タイプのシェード】
テーブルなど、照らされている面の明るさは電球形蛍光灯とあまり変わらない。しかし、色がどうしても悪く見えてしまう。あまり積極的には使いたくない
【白熱電球:60W×2 非透過タイプのシェード】
十分な明るさが得られ、コントラストのある空間になっている
【電球形蛍光灯×2 非透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部へも光が広がるが、透過タイプと同様、色味がいまひとつ 
【ルミナス:60W×2 非透過タイプのシェード】
明るさはそれなりにあるが、やはり光色に難があるため、肉眼で見ると全体的にくすんだ印象となってしまう

食事の風景

 テーブル面の明るさは十分にあるのだが、色被りをおこし、どうしても食べ物や食器がくすんだ印象になってしまう。特に白いものが黄色っぽく見えてしまい、本来は“薄いピンク色”に見えるべきのハムも、余計な色が入ってしまい、おいしそうに見えない。食事のシーンには難あり、という結果になってしまった。

【白熱電球:60W】
全体的においしそうに見える
【電球形蛍光灯】
左右の写真と比較すると、色味のバランスが崩れ、食卓全体がくすんだ印象に見える 
【ルミナス:60W】
明るさはあるのだが、白いお皿がくすんで見え食事全体がおいしそうに見えない。色を気にするシーンには適さない



白熱電球との交換で、元が取れるのは【7カ月後】

 演色性に難はあるものの、明るさはLED電球の中では決して悪くない。そんなルミナスの省エネ性はいかほどであろう。

 そこで実測した消費電力を元に、白熱電球と取り替えて”何年で元が取れるか”を試算した。その結果、ルミナス60Wタイプはなんと7カ月、40Wタイプでも10カ月と、どちらも1年以内には元がとれてしまう結果となった(1日8時間使用と仮定)。LED電球の中でも価格が低く、それでいて消費電力は平均的というところがこの結果につながった。したがって使う場所によっては、とてもオトクなLED電球と言えるだろう。

 注目すべきは、電球形蛍光灯と比較しても20カ月(1年8カ月)で元が取れるところ。他のLED電球は40カ月を超えるものが多いが、比較的早く元が取れる部類に入る。寿命も40,000時間と長寿命なので、その先約13年もの間、新しいLED電球の取替えが要らないのだ。

【ルミナス:60Wタイプ】
従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算
使用期間消費電力
(実測)
1カ月3カ月半年
(6カ月)
7カ月9カ月1年1年8カ月2年4年
ルミナス:60W5W2,004円2,053円2,126円2,150円2,199円2,272円2,467円2,564円3,148円
白熱電球56W370円966円1,932円2,229円2,897円3,792円6,319円7,583円15,166円
電球形蛍光灯10W1,445円1,554円1,719円1,773円1,883円2,047円2,485円2,704円4,018円
※表中の値段は、電球代と電気代をプラスした「維持費」  ※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球には、4カ月ごとに電球代を加算する (切れた電球代の購入費として) ※電気代は1kWh=22円で計算

【ルミナス:40Wタイプ】
従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算
使用期間消費電力
(実測)
1カ月3カ月半年
(6カ月)
9カ月10カ月1年2年4年
ルミナス:40W3W1,995円2,026円2,071円2,117円2,132円2,193円2,345円2,710円
白熱電球37W269円665円1,329円1,994円2,192円2,587円5,174円10,348円


【白熱電球:60W 56W】 【電球形蛍光灯 10W(安定時)】【ルミナス:60W 5W】

【白熱電球:40W 37W】【ルミナス:40W 3W】



廊下や玄関の照明にお勧め。電球形蛍光灯との交換にも

 演色性は今ひとつといったところだが、なんと言ってもその購入しやすい価格は魅力。しかも明るさはLED電球の中でも上位だ。色味が重要な食事のシーンや顔色が気になる場所にはあまりお勧めできないが、滞在時間の短いでは大いに活躍できるだろう。

 また、電球形蛍光灯の取り替えにも良いだろう。1年半強で元が取れてしまうという安さに加え、電球形蛍光灯が苦手とする点灯した瞬間の明るさ、頻繁な点滅にも優れている。しかも、明るさはそこまで大きく変わらない。

 白熱電球の代替として考えれば、2,000円という価格はもちろん高価である。しかし、60Wタイプはたった7カ月と、LED電球の中でも特に早い時期に元が取れることから、オトク感の高いLED電球だ。気軽に廊下や階段、玄関などの電球として取り替えてみてはいかがだろうか。



ドウシシャ 「Luminous」はこんなLED電球

・白熱電球と交換で【7カ月】で元が取れる(1日8時間使用)。電球形蛍光灯との交換にも
・廊下や階段、玄関など、あまり滞在時間の長くない場所にお勧め
・演色性には難あり。食卓など色味が重要な場所には不向き




2010年6月1日 00:00