コヤマタカヒロの男の料理道具!
焼き肉でも煙が全く出ない! 個性派グリルロースター
by コヤマタカヒロ(2015/3/2 07:00)
自宅で焼き肉をするときに活躍するのがホットプレート。魚を焼くときは、魚焼きグリルやスチームオーブンレンジを使う。そして最近流行のノンフライ調理や、カリッと揚げ物を再温めできるのがノンフライヤーやコンベクションオーブンだ。
これらの機能をすべて備えながら、全く違う仕組みで料理できる調理機器がある。それが以前から気になっていた「ザイグルシンプル」だ。早速、いろんな料理に挑戦してみた。
メーカー名 | ザイグル |
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製品名 | ザイグルシンプル |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 15,800円 |
そもそもザイグルとは、韓国のメーカーザイグル社が開発した、遠赤外線を利用するグリルロースターである。
特徴は、本体上部に赤外線ヒーターを搭載し、食材に直接赤外線を当てるとともに、食材を置くプレートそのものも赤外線で加熱すること。食材を上下から焼くことができる。さらに、プレートを加熱しすぎないため、煙が出たり油がはねたりしないのだ。
今回利用する「ザイグルシンプル」は、シリーズの中でもより低価格で、手軽に使えるようになったモデル。構造は非常に簡単で、スタンドとヒーター部が一体化したザイグルシンプル本体と、プレートで構成されている。使用時のサイズは370×442×300mm(幅×奥行き×高さ)、質量は2.5kg。
本体下部のスタンド部に穴が空いており、プレートはその穴にはめて使う仕組み。プレート上で焼けた食材から出た油は、本体下部の油受け皿に溜まる構造となっている。
プレートは置いているだけで、ねじ切りなどによる固定はなく、使用中も回転させることができる。ただし、非常に熱くなることには注意したい。
本当に煙が出ない! 自宅焼き肉でザイグルの特徴を体感!
早速、ザイグルを使った晩ご飯を楽しもう。最初に試したのは焼き肉だ。ヒーター部にあるダイヤルを回して、プレートを予熱する。
1分ほどしたら、まずは火が通りにくい鶏もも肉を皮面を下にしてセット。しばらく焼いたら裏返す。鶏肉を焼いている間に、豚バラ肉や牛肉も並べて焼肉をスタートする。
この時点でザイグルの特徴を体感できた。いわゆるホットプレートの場合、肉を置いた時点で「ジュージュー」という音がして、煙も舞い上がる。しかし、ザイグルではこれがほとんどない(置いた瞬間にちょっとだけ音がすることはある)。
これは肉を焼くための主な火元が上部の赤外線ロースターであり、下部のプレートがあくまで補助だからだ。このため、プレートの温度が必要以上に高くなりにくく、肉から出た水分や油などが蒸発しないため、蒸気が発生しにくいのだ。
ダイニングテーブルで行なう自宅焼き肉としては、これは大きなメリットだ。普段、ホットプレートで焼き肉をするときは、キッチンにある換気扇を「強」で回し、さらに窓も開けて、煙対策を行なっている。さらに、焼き肉が終わった後は、床上の油を拭き取ることが欠かせなかった。これらの作業が面倒で、自宅焼き肉の機会も減っていた。
しかし、ザイグルなら煙と、油飛びという自宅焼き肉の大きな欠点がない。煙が出ないため、焼き肉が終わったあとににおいが残ることもなかった。その反面、小さな欠点がある。先の「ジュージュー」という音、肉の焦げるにおい。これがないため、残念ながら焼き肉をしている感覚が若干薄いのだ。
また、肉も焦げが付きにくい。そこで、高さ調節アダプターを使って、プレートの位置をアップしてみた。すると、熱源に近づいたため、油はねがわずかに発生するようにはなったが、その分、適度に肉に焦げ目も付くなど、美味しそうにできた。
マニュアルには、素早く焼きたいときなどに「高さ調節アダプター」を使うと記載されているが、ヒーター部のダイヤルは1~5まで火力が調節できるようになっている。このため、焼き肉のような料理では常にアダプターを装着し、ダイヤルで火力を変えるといいように感じた。
プレートを使う上で気になったのは、プレートの外側、本体周囲が広く熱くなることだ。やけどするほどではないが、電気ストーブに近づいたときのような熱さは感じた。また、ホットプレートのように周囲を囲まれていないため、小さな子どものいる家庭では使いづらそうだ。
話題のノンフライ調理もバッチリ! 焼き野菜もウマい
今や最新の調理家電では対応していないと売れないんじゃないか、と勘ぐってしまうほど、多くの製品で重要なキーワードとなっている「ノンフライ」。今回使用した「ザイグルシンプル」でももちろん対応している。
多くのノンフライ調理器が、熱風で食材を焼きあげるのに対して、「ザイグルシンプル」では、遠赤外線による熱だけで加熱する仕組みだ。このため、調理中に音がしないのがメリットといえる。
ここでは実際に唐揚げを作ってみた。用意したのは市販の唐揚げ粉をまぶしただけの鶏肉だ。それをプレートの上に並べるだけ。特別な操作などは一切必要なかった。途中で一度、裏返しただけで、トータル7~8分で適度に焦げのついたノンフライ唐揚げができた。
「ザイグルシンプル」で作ったノンフライ唐揚げは表面がカリッとしていて、中もジューシー。非常に満足できる出来だった。完成までの時間も早く、これなら日常的に使えそうだ。
また、焼き野菜を作るのも非常に簡単。特に何かをすることもなく、プレートの上に切った野菜を置いていくだけだ。このとき、焦げ目を付けたいなら、プレートの位置を高くしておくといい。焼きなす、パプリカともに適度に焦げながらも中はジューシーにできあがった。焼き上がった野菜には、オリーブオイルとポン酢をかけて食したが、間違いのない味だった。
「ザイグルシンプル」のプレートは、表面がコーティングされており、食材がこびりつきにくくなっているため、ノンフライ唐揚げなどを作ったあと、キッチンペーパーなどさっと拭けばすぐに次のおかずも調理できる。唐揚げの付け合わせに焼き野菜を用意するなんてこともできるのだ。
焼き魚やおもちの調理ができるのに驚き
「ザイグルシンプル」なら、焼き肉以外にもいろんな食材の調理ができる。
たとえば干物を焼くこともできた。大好物の鯖の文化干しは、両面が一度にしっかり焼けた。コンロに付いている魚焼きグリルのように、全体の焼け具合が見えないなんてこともなく、腹の部分で脂がプチプチと出ているのを見ながら調理できる。
大きめの切り身も同時に2、3匹は焼くことができる。ただし、サンマなど、脂の多い魚は、事前に切り目を入れておかないと、脂がはじけることがあるようだ。
続いて筆者宅で大活躍したのがおもちだ。
正月だけでなく一年中、おもちを食べる習慣のある筆者宅では、トースターがおもちを焼くのに大活躍している。しかし、「ザイグルシンプル」でおもちを焼いてみたところ、非常に早く焼くことができた。
いわゆるパックの切り餅は余熱後なら、片面約2分ずつで、両面にしっかりと焦げ目を付けることができた。これも、オーブントースターでジリジリ焼き、膨らんだら、急いでドアを開けて裏返すのと比べると手早くできた。
気になったのはプレートが斜めになっているため、焼きはじめはちょっと滑ることぐらいだろうか。これも置いてすぐだけのことで、菜箸などで戻せばすむため、たいした問題ではない。
このほか「ザイグルシンプル」では、揚げ物などの惣菜の温め直しもできる。レンジとは異なり、熱で温めるため衣がパリっと仕上がるのがメリット。3分ほど置いておくだけで、しっかりと温められた。
逆に残念だったのは焼きチーズだ。ひょうたんのような形をしたカチョカバロというチーズをスライスして、ホットプレートで焼いて食べるのが好きなので、「ザイグルシンプル」でも是非! と思い、満を持して試した。だが、プレートに接している面が焼けるとすぐに上部が滑ってしまい、安定して焼くことができなかった。
使い勝手もよく電気代も許容範囲、置き場所が確保できるならアリ!
ホットプレートとして、ノンフライ調理器として、オーブントースター代わりに、と多彩な使い方ができる「ザイグルシンプル」。実売価格も1万円前半と、非常にお買い得だといえる。
メンテナンス性も決して低くない。プレート部は簡単に取り外すことができ、さっと洗える。さらに連続で調理したいときは、キッチンペーパーなどで拭くだけでも大半の汚れは取ることができるのだ。
また、電源を落としたあとは、ほんの10分もすればプレートは素手で持てる温度にまで低下する。このため、ホットプレートを使った後にありがちな、しばらくは片付けができないといったこともない。
気になる電気代だが、「ザイグルシンプル」の消費電力は最大1,200W。最大連続運転時間である30分間、最大熱量で使った場合の電気代は約13.4円だった(東京都第2段階料金25円91銭で換算)。IHコンロやホットプレートなどを使った場合の電気代とそれほど変わらず、特別消費電力が高いということもない。
一番の課題となるのが、置き場所だ。プレートは取り外せるが、「ザイグルシンプル」本体は分離することができない。このため、使っていないときでも、ほぼそのままのサイズが収納に必要なのだ。キッチンにこのスペースが確保できるなら、「ザイグルシンプル」はおすすめできる商品だ。
焼き肉のイメージが強い「ザイグルシンプル」だが、おもちを焼いたり、ノンフライ調理をしたり、魚を焼くといった日常的な調理に役立つ点が特に魅力的に感じられた。
本体の周りまで熱くなることによる安全性や未使用時の置き場所など、利用者を選ぶ商品ではあるが、食材を美味しく調理できる製品であることは間違いなしだ。