家電製品ミニレビュー

初めてでも美味しくできた! 簡単に燻製が作れる無煙ロースター

パナソニックのスモーク&ロースター「けむらん亭」(NF-RT1000)

 ここ数年、自分で燻製作りを楽しむ人がじわじわ増えている。Facebookなどで「燻製作りにハマっています!」「キャンプでスモークサーモンを作りました~」という写真付きの報告を見ると、みんなマメだなあ、スゴいなあ、と思いつつ、面倒くさそうだし、無精な私は一生作ることなどないだろう……と思っていた。

 そんな私がついに、燻製を作るときがやってきた。パナソニックから、燻製もできる業界初のスモーク&ロースター「けむらん亭」が登場したのだ。

メーカー名パナソニック
製品名スモーク&ロースター「けむらん亭」
型番NF-RT1000
購入場所Amazon.co.jp
購入価格27,500円

 燻製を作るとなると、当然のことながら煙でいぶすニオイが周囲に立ち込める。この煙が食材に薫りをつけてくれるわけだが、家中にニオイが染み付いたらたまらないので、燻製は屋外で作ることが多い。

 しかし、この「けむらん亭」は、そもそもが "煙らない"ことがウリのロースター。14層の触媒フィルターが庫内の煙やニオイを浄化するため、通常の焼き物はもちろん、燻製もニオイを気にせず、屋内で作れるという。

扉を引くと、中には焼き網が置いてある
付属の「くんせい容器」と「くんせい網」は燻製調理時に使用
ヒーターは上下に設置
魚や肉を焼くときは「オートメニュー」、燻製を作るときは「くんせい」キーを使用。操作はいたって簡単だ

無煙ロースターとしての実力は十分!

 燻製作りの前に、まずはロースターとしての実力を試すべく、今が旬のサンマを焼いてみることに。サンマは、いつも使用している魚焼きグリルとロースターで同時に焼き、その違いを確かめてみた。

 すると違いは一目瞭然。ロースターで焼いた方が、明らかに丸みを帯びてふっくらしているのだ。水分がキープされているためか、身がしっとりやわらかく、うまみも感じられた。肝心の煙もほとんど漏れておらず、焼き上がって扉を引き出すまで、煙が出ているのを忘れていたほどだ。

 その後、甘塩鮭も焼いてみたところ、違いはさらに大きく、家族が「この鮭、いつものより高級?」と聞いてきたほどだが、もちろんいつもの1切れ120円のもの。ロースターとしての性能は、かなりいいようだ。

新鮮な生サンマを4尾用意し、塩を振ってスタンバイ
2尾は魚焼きグリルへ。いつも通りに焼き上がった
もう2尾は、ロースターへ。オートメニューを選べば自動で時間がセットされる
扉を引き出した瞬間、煙とニオイはしたが、明らかに少ない
手前がロースターで焼いたもの。ふっくらとした厚みをキープしている

いよいよ燻製作りにチャレンジ!

 燻製を作る際は、事前に燻製チップを用意しておく必要がある。燻製チップにも、さまざまな種類があるが、どれを選んだらいいか分からないので、とりあえずAmazonで評判のよかったものを購入した。付属のくんせい容器とくんせい網もここで登場する。

 食材によって多少手順は異なるが、まず作ってみたのが、下ごしらえのいらないプロセスチーズの燻製。くんせい容器にチップを入れ、アルミ箔を敷いたくんせい網にチーズを並べたら、アルミ箔で容器にふたをする。あとは「くんせい」キーを押し、時間を設定するだけだ。

使用したのは、サクラの燻製チップ
くんせい容器に、必要量を入れる。チーズの場合は10~15gだ
くんせい網にアルミ箔を乗せ、その上にチーズを並べる
最後にアルミ箔でしっかりフタをしたら、容器ごと焼き網に乗せる
約15分後、見るからに美味しそうなチーズの燻製が完成した

 出てきたのは、絵に描いたように完璧(?)なチーズの燻製だ。少し溶けてしまったので、時間を置いて固まったところを試食。調理前のチーズとはまったく別物の、こってりしたスモークチーズになっていた。これは、ワイン好きには堪らないおつまみになるだろう。

鮭も鶏のササミも間違いなく、燻製だった

 続いて作ってみたのが、甘塩鮭の燻製だ。これは、一度オートメニューでしっかり焼き、室温で20~30分冷ましてから、燻製調理するという手順を踏むため、少々時間と手間がかかる。しかし燻製を作ろうという人が、これくらいのことで面倒臭がってはいけないのだ(笑)。ちなみに鶏のササミは、塩を振っておくだけで、すぐに燻製調理に入ることができた。

 完成した鮭とササミの燻製は、いずれもふんわりとスモークが香る上品な味わいになった。特に、もともとあっさり味のササミは、スモークのコクが加わることで、より美味しくなっているようだ。ちなみに色が薄い場合は、調理時間を長めにするといいそうだ。

まずはオートメニューで12分ほど焼いた。この状態でも、じゅうぶん美味しい
今度はくんせい網の下側からアルミ箔を巻き付け、その上に鮭を乗せる
燻製調理後は、さらに深みを増した色に
鶏のササミは、色が薄いので、もう少し長めに調理してもいいかも。味はしっかり燻製

焼き物も燻製もできる1台2役が嬉しい

 初めての燻製体験は、新しい食の世界が開けたような印象だった。今回はレシピ通りに作ってみたが、燻製チップの種類や調理時間を変えたり、珍しい食材にチャレンジしたり、さまざまな楽しみ方ができるのだろう。

 もしロースターが燻製専用だったら、使用シーンが限られ、持て余してしまう可能性がある。サイズも、450×355×185㎜(幅×奥行き×高さ)とオーブントースターより大きめで、意外と場所も取るからだ。

 しかし、この製品はそもそも、煙を出さずにふっくら焼き上げるロースターとして優秀な機能を備えている。そういった点で、日常でも特別なときでも活躍する調理家電としてオススメできる1台だ。

田中 真紀子