家電製品ミニレビュー

色々作れる! 1万円以下のノンフライオーブン

 油を使わずに揚げ物調理ができる「ノンフライオーブン」が人気だ。ノンフライオーブンは、ヒーターの熱をファンで強制的に循環させ、食材を高温で包み込み効率良く焼き上げる。フィリップスのノンフライヤーが注目を集めるとともに、価格帯の手頃なものにも「ノンフライ」を銘打ったものが多数登場している。その中から、今回はツインバード工業の「ノンフライオーブン TS-D067」(以下、TS-D067)を紹介しよう。

ツインバード工業「ノンフライオーブン TS-D067」
TS-D067で作った、油を使わないノンフライから揚げ
メーカー名ツインバード工業
製品名ノンフライオーブン TS-D067
購入場所Amazon.co.jp
購入価格9,972円
開梱した様子。本体に天板と焼き網、30品目のレシピも付属する

 特徴は、油なし調理ができるノンフライヤーとしてはもちろん、オーブン、さらにオーブントースターとして、1台で複数の調理方法が選べることだ。操作はキーを押すだけで、温度設定は10℃刻み、タイマーは30秒刻みで簡単にできる。

 本体の大きさは340×400×225mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約5kg。本体後方にファンが付いているぶん奥行きはあるが、かなりコンパクトな印象だ。ドアガラスはミラー仕上げで、操作部がドアの下部にスッキリと収まっている。コードの長さは約1.4mだ。

 庫内の広さは、280×270×90mm(同)。付属する網の広さは、280×240mm(幅×奥行き)で、1度に食パンが4枚並べられる。天板は280×237mm(同)。調理に応じてそれぞれを使い分ける。30種類掲載されたレシピ集も付属している。

ドアガラスはミラー仕上げ。なかなかスタイリッシュだ
本体のサイズは340×400×225mm(同)で、重さは約5kg。後方にファンがあるので奥行きはある。幅と高さはオーブントースター並にコンパクト
庫内の広さは、280×270×90mm(同)。オーブンとしてはかなり狭い(上)。脚裏に滑り止めがあるので安定して置ける
付属する焼き網と天板。焼き網のサイズは280×240mm(同)。天板は280×237mm(同)
調理に応じて焼き網、天板を使い分ける。取扱説明書には調理に応じた焼き網と天板の使用例が記載してある

 ヒーターは上下に2本ずつの合計4本。庫内の最後部にファンがあり、ヒーターの熱を庫内に循環させる。いわゆるコンパクトな「コンベクション」オーブンと言えるだろう。

 操作は簡単だ。電源を入れ、「モード切替キー」を押して、「自動トースト」、「ノンフライ」、「オーブン」のいずれかに切り替える。選んだモードに応じて、温度や時間などを設定する。設定状況が、ドアガラス上にハッキリと表示されるのでわかりやすい。設定が済んだら「スタート」キーを押すと調理が始まる。

 調理中は庫内灯が点灯するので、様子がハッキリとわかる。なお、ヒーターは赤く光らないセラミックタイプのものだ。

ヒーターは上下に2本ずつある。庫内の最後部にヒーターの熱を強制的に循環させるファンがある
操作パネルは、ドアの下に配置されている。各モードに応じた設定はキーを押すだけだ。設定状況がドアガラス上に表示され、わかりやすい
庫内灯があるので、調理中の様子がハッキリとみえる

ノンフライから揚げは美味しい!

 TS-D067のウリでもあるノンフライモードで、付属のレシピ通りに300gの鶏もも肉を使って「から揚げ」に挑戦した。

 天板の上に、油を軽く塗った焼き網をのせ、下準備したもも肉を並べる。300gの肉を一口大に切リ分けた12個全て、網の上に1度に乗せられた。レシピ通りに温度を230℃に設定し、まず片面を10分間調理する。温度設定もボタンを押すだけなので、わかりやすい。

 スタートボタンを押すと調理が始まり、ファンが回リ始める。ブーンというモーター音はするが、ほとんど気にならないぐらい静か。

レシピのから揚げ。約2人前のから揚げが一度に作れる
下準備した12個のもも肉を並べた様子。もう少し多めに乗せられそうだ(上)。10分調理したら、裏返す

 次第にジュージューという音と共に、から揚げの良い香りが漂い始めた。調理中、本体から煙は出てこないが、肉を返す為にドアを開けた時に、蒸気と共に焦げた油の煙も結構な勢いで立ち上る。換気扇の近くで調理するほうがいいだろう。

 材料を返してさらに10分調理し、合計20分でレシピ通りのから揚げが出来上がった。油を使っていないのに、衣はカリッときつね色で、中はジューシー。肉も柔らかな、とても美味しいから揚げができた! 12個全て、しっかり火が通っていた。

 ノンフライなので、揚げ油の始末は要らない。だが、天板には鶏肉からかなりの量の油が落ちる。天板はコーティングされていないので、アルミホイルで覆った方が後始末はよりラクになるだろう。

片面10分ずつ、合計20分でから揚げが出来上がった
衣はカリッときつね色で、中はジューシー。美味しい!
鶏肉の油がかなり落ちていた。天板がもっとも汚れるので、アルミホイルで覆った方が後始末がラクだろう

 特に気に入ったのは、油で揚げる時のように火の前に居なくて済む事だ。肉を返す手間はあるが、それ以外は放っておけるので、他の料理を同時進行で進められるのが良い。その分、確実に調理全体の時間が短縮できる。油が周囲に飛び散らないのも良い。

揚げ物の温め直しも

保存しておいたメンチカツとかき揚げを温めなおした(上)。調理後、どちらも表面はカリッとサクサク、中はアツアツに風味よく仕上がった

 揚げ物の温めなおしにもTS-D067は重宝する。今回は冷蔵庫で保存しておいたお惣菜の、厚みのあるメンチカツと、かき揚げを温めなおした。

 どちらも一度に天板に載せ、ノンフライモードを選択し、140℃で15分間調理するだけで、衣はサクサク、中はアツアツに仕上がった。もちろん、作りたてというわけにはいかないが、食感も含め、美味しくいただけた。

温めなおしたメンチカツの様子。衣がサクサクだ

 これまで揚げ物の温めなおしには、電子レンジやオーブントースターを利用してきた。だが仕上がりの満足度は低かった。中までアツアツになっても、衣がベシャベシャ(電子レンジ)だったり、衣がカリッと仕上がっても中はぬるかったり(オーブントースター)したからだ。

 それに対して、ノンフライでの温め直しは食感もキープしながら、中までしっかり温められる。多少調理時間はかかるが、電子レンジやオーブントースターでは味わえない仕上がりが得られた。

スポンジケーキもOKのオーブンモード

 ファンを使わないオーブン料理も楽しめる。オーブンとしては庫内が狭く、高さも90mmなので、温度ムラが心配だ。だが、スポンジケーキもレシピにも掲載されていたので、こちらも試してみた。

 レシピどおりに生地を作り、140℃に温度設定をして40分間焼いたところ、しっとり、ふっくらの、堂々たるスポンジケーキが焼きあがったのはちょっとした驚きだった。一般的なオーブンでは必要な、予熱も要らない。

 とはいうものの、焼いている最中に生地が約70mmの高さまで膨らんだため、庫内奥にある上ヒーターの真下だけ派手に焦げてしまった。さらに、冷ますとヒーターから最も遠くなる中央が少し凹んでしまった。焼きムラの無い完璧な仕上がり、というわけにはいかなかった。

スポンジケーキもレシピ集に掲載されていた。レシピに沿って挑戦した
直径18cm、高さ5.5cmのケーキ型に生地を入れ焼いた(上)。レシピ通りに40分で完成した。しっかり膨らんでいる
庫内奥、上ヒーターの真下は焦げ付いてしまった(上)。完全に冷ましたスポンジケーキは中央が少しくぼんだ。デコレーションケーキに使うなら、膨らみは切り落とすので、焼きムラは問題なかった

 それでも、デコレーションケーキにするなら問題はなかった。クリームを塗る為に、膨らんだ上部はどうせ切り落としてしまうからだ。最終的に、見た目も味も上々のデコレーションケーキが完成した。

 庫内の広さに限りがあるので、鳥の丸焼きや、鍋やフライパンごと入れて調理するような本格的なオーブン料理はさすがにできない。それでも、10℃刻みの温度設定もラクにできるので、お菓子作りや、シンプルなオーブン料理に十分活用できるだろう。ロールパンなどの温めにも向く。

短時間で食パン4枚が一度に焼ける自動トースト

一度にトーストが4枚、短時間で焼ける。表面は焼きムラも少なく、とても美味しく仕上がった(上)。オーブントースターのように、トーストの裏面には網目模様がつく

 トーストはとてもキレイに美味しく焼ける。自動トーストの設定は簡単で、4段階の焼き色と、1~4の枚数を選ぶだけで、調理時間は庫内温度に合わせて自動的に調節してくれる。

 8枚切りの食パンを4枚、焼き色4ならば、5分ほどで焼き上がった。上下に2本ずつヒーターがあるので、一般的なオーブントースターよりも早くキレイに仕上がる印象だ。焼き色はほぼ均等に付き、周りはパリっと、中はモッチリの美味しいトーストだ。

 続けて焼いても、焼き色が安定しているのは便利だ。調理時間を自動的に加減してくれるので、庫内が熱くなっていても任せられる安心感がある。もちろん、食材を乗せたピザトーストなどにも応用できる。

 消費電力はどのモードでも最大で1,170W前後だった。オーブンの消費電力としては低めなので、一般的なオーブンよりも調理時間がかかる。一方、トースターとしては高めなので、仕上がりは早い印象だ。

 手入れはさほど難しくないだろう。パンくずは本体底のくず受けを手前に引き出せば簡単にできる。ノンフライ、オーブン料理後は、庫内は油等でどうしても汚れがついてしまう。凸凹が少なめなので、使用後はサッと拭き取っておくといいだろう。ヒーターはほとんど汚れが目立たなかった。

最大消費電力は1,170Wだった
手入れの様子。本体底のくず受けは簡単に外せる。庫内はコーティングされていないので、飛び散った油などは拭いておく

毎日手軽に使えるノンフライオーブン

30品目のレシピの内容。レパートリーが増えそうだ

 一度に調理できる量は、せいぜい2人分と少人数向けではあるが、美味しいノンフライのヘルシーな揚げ物はもちろん、簡単なオーブン料理も楽しめる。調理済みのフライなども美味しく温められ、トーストの仕上がりも早くて美味しい。いろいろできるのに価格は1万円程度、というのも魅力的だ。

 オーブントースターを置くほどのスペースしかないけれど、出来立ての美味しいからあげが食べたい! たまにはお菓子も焼いてみたい! トーストも焼きたい! そんな要望に1台で応えてくれる、朝から晩まで毎日活用できるノンフライオーブンだ。

藤原 大蔵