家電製品ミニレビュー

アイリスオーヤマ「パルス式ソーラーライト GSL-222W」

~大きなソーラーパネルと電池交換可能が特徴のガーデンライト

ソーラーガーデンライトの特徴

「パルス式ソーラーライト GSL-222W」

 自宅の庭やベランダなどを、夜になるとほんのり照らすガーデンライトは、LEDとソーラーパネルの登場で、親しみやすいもの変わった。

 いま主流の製品は、ソーラーパネルとLEDを組合せた製品だ。昼間はソーラーパネルで発電して蓄電池に充電し、夜は溜めておいた電気でLEDを点灯する。コンセントや乾電池などの電源もいらない。

 また、点灯と消灯は内蔵されているセンサーで行なうので、スイッチをON/OFFする操作も必要もない。放っておけば、勝手に点灯し、勝手に消灯してくれるのだ。メンテナンスも操作も必要としない、大変便利な製品になっている。

 構造も簡単なので、価格の下落も激しい。地面に挿すスティック型のガーデンライトだったら、100円ショップでも買える。ただ、こういう安物のガーデンライトは、ソーラーパネルも電池の容量も小さいので、点灯時間が短い。日没から数時間は点灯しているのだが、日付が変わるころには消灯してしまっていることが多い。

 もう少し、しっかりとした明るさがあり、点灯時間の長くて明るいものが欲しいと思って、アイリスオーヤマ「パルス式ソーラーライト GSL-2」シリーズを買ってみた。

 このシリーズには、LEDが2つのGSL-211と4つのGSL-222があり、LED色が白のWと電球色のLがある。今回は明るさを重視して、LEDが4つで光色が白の「GSL-222W」を購入した。

メーカー名アイリスオーヤマ
製品名パルス式ソーラーライト GSL-222W
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格2,480円

製品名はどっち

 到着した製品は、一辺が15cmぐらいの真四角な紙箱に入っていた。箱の外には製品の特徴などが過不足無く書かれている。ショップの店頭で、このパッケージを見れば、用途を間違えるようなことはないだろう。

 パッケージの内容は、ソーラーライト本体と、A4で4ページの取扱説明書、固定用のネジと両面テープと、ごく簡素だ。

外箱は7時間という点灯時間を訴えている
本体の構造説明
特徴の説明。装飾用灯具であり照明器具ではないという注意事項が書かれている
箱を開けた状態

 ちなみに、パッケージに書かれている製品名は「パルス式ソーラーライト」で、取扱説明書に書かれている製品名は「ガーデン用ソーラーライト」となっている。どっちが正しいのかわからない。また、パッケージにも取扱説明書「パルス式」についての説明はなく、どんな方式なのか分からない。アイリスオーヤマは、急成長しているメーカーだが、こういうところはまだツメが甘い感じだ。

大きめのソーラーパネルと電池容量

 箱から、本体を取り出してみる。本体は組立済みで、すぐに使える。

 ソーラーライトの本体は、上が細くなった円筒形をしている。シンプルな形だ。大きさは、ガーデンライトとしては大きめで、底の部分の直径が約13cm、高さが約15cmある。男性の片手にぎりぎり載るぐらいの大きさだ。

ガーデンライト本体
男性の片手にぎりぎり載るぐらいの大きさ
30cm定規との大きさ比較
底面の直径は13cm弱、高さは15cm弱
LEDと電池が入っている本体を開ける
左が本体、右はカバー
フタの部分が本体になっており、カバー部分は単なるケースとなっている
カバーを外したベース部。白い部分も簡単に外せる
ケース側の構造。黒いベースに開いている穴にネジや釘を通して固定する

 本体は樹脂製で、上と下が黒く、中央部透明なカバーになっている。上の黒い部分が本体で、ソーラーパネルと蓄電池、LEDなどが入っている。透明なカバーの部分と下のベース部分には、機構部品は入っていない。

 本体、カバー、ベースの3つの部品は、それぞれねじ込み式になっている。開け閉めや組み立ては簡単で、工具もいらない。

 屋外で使用するガーデンライトなので、水が入りにくい構造だ。連結部分に防水用のOリングは装着されていないが、ねじ込みは深い。取扱説明書には、「水や液体に浸らないようにしてください」とあるので、雨に濡れるぐらいは問題ないようだ。

 防水のため、電源スイッチも、フタを開けた内側に用意されている。一見、使いにくそうに見えるが、このソーラーライトは、周囲の明るさをセンサーで見ており、暗くなったら自動点灯し、明るくなったら自動消灯する。つまり、使い始めに電源スイッチをONにしたら、ほとんどONにしたままで使う製品なので、あまり不便は感じない。

電源スイッチは本体にある。手前の黒いスイッチがそれ
電源スイッチを入れ、LEDが点灯した状態

 フタの部分にあるソーラーパネルは、だいたい6cm四方ある。ソーラーライトとしては、かなり大きめだ。このソーラーパネルで発電した電気を、本体内にある単三形のニッケルカドミウム電池に充電する。ニッケルカドミウム電池の容量は、GSL-211が600mAh、GSL-222が900mAhとなっている。満充電時の点灯時間は約7時間とされている。この電池容量もガーデンライトとしては大きい。

 なお、周囲の明るさを見る明暗センサーは、ソーラーパネルの横に設置されている。

天面にソーラーパネルがある
ソーラーパネルの脇に明るさセンサーがある

使う前に満受電する

 さて、さっそくスイッチを入れたいところだが、取扱説明書では、ソーラーライトを使いはじめるときは、バッテリーを満充電することが推奨されている。

 方法は簡単で、ソーラーライトの電源をOFFにしたままで、日当たりのいい場所に置いておく。つまり、太陽電池で充電した電気を使わずに貯めるのだ。満充電になる目安は、夏季で2日間、冬季で6日間とされている。

 ちなみに、取扱説明書によれば、ソーラーパネルの発電効率は、晴れの日に対して、曇りの日は1/3、雨の日は1/10になると書かれている。天候によっては、充電する日数を長めにした方が良いだろう。

 ただし、自分で試した限りでは、満充電に対して、あまり神経質になる必要はない。日当たりのいい場所に設置する場合は、そのまま使い始めても特に問題はなかった。いきなり使い始めてみて、点灯時間が極端に短いなどの症状がある場合に、何日か電源スイッチをOFFにして、満充電するという使い方でも問題はないようだ。

ベランダで試してみる

 では、実際に試してみよう。我家は一戸建てではなくマンションなので、ベランダに設置してみた。

点灯した状態
LEDは二重にカバーされているのでまぶしさはない

 使い始めに満充電にする作業はしなかったが、南向きで日当たりが良いベランダなので、数日経つと日没に点灯し、夜中過ぎまでそのまま点灯するようになった。点灯時間は、カタログ値の7時間はあるし、充電状態が良いと8時間を越えることもあった。

 点灯している様子は、まぶしさがなく、しかしカバーの凹凸のおかげでプリズムのようなキラキラ感も出て、存在感がある。また、光の方向も上方向を照らさないのでまぶしさがない。だいたい、光の7割が真横に、3割が下方向に向かっている感じだ。

 そういう、ガーデンライトらしい照明方法なので、明るさは4個のLEDという仕様から予想していたほどではない。

 そもそもガーデンライトが、周囲を明るく照らすというより、自分自身の存在を示して周囲も照らすという装飾性を含む明かりなので、これで正解なのだろう。とはいえ、暗い場所であれば50cmから1mぐらいの範囲は照らせる。今の季節は、ベランダに花がない時期なので、ガーデンライトぽい写真が撮れなかったが、照明範囲の感じは分かってもらえると思う。

普段は、このように発泡スチロール製のプランター脇に置いている。意外と下方向を照らしてくれないのがわかる。左側の100円ガーデンライトは、すでに電池を使いきって消灯している
ベランダで点灯した状態。真横と下方向を照らしているのがわかる
エアコンの室外機の上に置いてみた
室内で使用するなら、こういう高窓のように日当たりにいい場所でないと充電が間に合わない

 室内でも試してみたが、やはり直射日光があたらない場所では、充電が足りないらしく、だんだん点灯時間が短くなってくる。実用的に使えたのは、東向きにある高窓に置いたときだ。この場所は、午前中は日光が当たる場所なので、十分に充電できるようだ。

非常灯として使う

 この製品を買う際に、Amazonや楽天市場のレビューを読んでみると、ガーデンライトよりも、防災用品として非常時の明かりに使っている人が多いことに気がついた。ある程度、屋外で充電しておいて、停電したり、夜になったら室内で常夜灯代わりに使っている人が多いようなのだ。

 実際に、その使い方を試してみたが、明るさと点灯時間がネックになる。明るさの面では、常夜灯ぐらいの明るさはあるが、非常灯として使うには物足りない。部屋全体を照らすには明るさが足りず、洗面台のような狭い場所で使うのが実用的だ。それ1つで、6畳間ぐらいは照らせる、最近のLEDランタンに比べると、やはり暗い。

洗面台に持ち込んだところ。最近の小型LEDランタンに比べると明るくないが、一応、使える
卓上に置いたところ。マウスやキーボードの位置がわかるぐらいの明るさ

 もう1つの問題は点灯時間だ。暗い場所で長時間点灯して電池を消耗すると、翌日の昼間の充電では回復しきれないことが多い。つまり、初日は5~7時間ぐらい点灯しているのだが、翌日は3時間ぐらいしか点灯しないということがある。満充電にするには、夏季で2日間、冬季で6日間かかるので、アテにしているときに、電池切れになっている可能性がある。

 また、この製品は、電源スイッチで明かりをON/OFFするよりも、明暗センサーで周囲の明るさを判断して自動点灯/自動消灯するという使い方をする製品なので、電源スイッチがケースの内側にある。つまり、電源スイッチをON/OFFするたびにフタを開け閉めする手間がかかる。

 結論を言うと、最初から防災用品として買うのであれば使えなくはないが、明るさや点灯時間、使いやすさの点でLEDランタンを買ったほうがずっと良いと思う。

ほんのりと照らしたい場所に

こういう段差のある場所に、ちょこっと置くには便利だ

 4個のLEDということで期待が大きかったこともあって、明るさについては、ちょっときびしめに書いてしまったが、この製品自体はガーデンライトとしては明るい部類に入る製品であることは間違いない。使い捨ての100円ガーデンライトと比べると、段違いに明るい。

 例えば、一戸建ての家で使う場合、玄関の脇に何段か段差があるような場所に置くには最適だと思う。固定方法は両面テープかネジなので、タイル部分に両面テープで固定すると良いだろう。

 また、明るさを重視しないのであれば、LEDの数が少ない代わりに直径が2cm細くなる「GSL-211」の方が邪魔にならないし、雰囲気を重視するのであれば電球色の「L」モデルを選んでも良いだろう。

 なお、この製品には、内蔵のニッケルカドミウム電池が交換できるという大きな特徴がある。ガーデンライトは、毎日充放電を繰り返しているが、ニッケルカドミウム電池は、約500回の充放電で寿命となる。いったん、ネジなどで固定したガーデンライト全体を取り替えるのは、面倒な作業だが、この製品であれば、電池だけを交換することができる。交換用の電池「GSL-900H」は2本入りで600円前後なので、買い直すよりもコストもかからない。

 使い捨てではなく、長く使えるガーデンライトとして推薦する。

本体を開けた状態。手前が充電池、向こう側がLEDの制御基板
電池は2個入るスペースがあるが、片方しか配線されていない。両方使えるようにした強力バージョンも出してほしい

伊達 浩二