家電製品ミニレビュー
パナソニック「ナノケア EH-NA93」
パナソニック「ナノケア EH-NA93」 |
最近、若い女性アイドルたちの活躍が目覚ましい。TV越しにキラキラと輝く彼女達に共通しているのは、髪がツヤツヤと美しいことだ。
現実には、アイドル並にツヤツヤの髪とまではいかなくても、なるべくならパサつきやダメージを抑えて、髪をいたわりたいもの。特に自分は髪が長く、傷んでいるので、乾かすのに時間がかかる。
そこで今回は、髪のダメージを抑えながら乾かせるパナソニックの「ナノケア EH-NA93」を取り上げたい。このドライヤーを買ったのは、「風量が多く、長くて傷んだ髪でも早く乾かせるから」という理由はもちろんだが、昨年までのモデルには無い「スカルプ(地肌)ケアモード」にも興味を惹かれたからだ。
メーカー | パナソニック |
製品名 | ナノケア EH-NA93 |
価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 12,780円 |
スカルプケアモードについては後述するとして、まずはじめにスペックを確認しておこう。ナノケア EH-NA93は、パナソニックのドライヤーの最上位モデルに当たる製品だ。本体サイズは、207×92×228mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約585gとなる。
EH-NA93の本体は、普通のドライヤーに比べると、とにかくデカイ。そして重い。だが使ってみると、大風量で早く髪が乾くので使う時間が短く、意外と腕の疲れは感じないのだ。
最大風量は約1.3m/分で、消費電力は、最大1,200W。電源コードの長さは1.7mで、電源はAC100Vとなる。カラーは今回使用したホワイトのほかに、ゴールド調とピンクが用意されている。
シンプルな製品パッケージ | セット一式 |
髪をセットする際に使用する「セットノズル」が同梱されている | セットノズルを取り付けたところ | 吸い込み口のある本体背面 |
運転モードは温風の「HOT」、冷風の「COOL」、そして約60℃の「SCALP(スカルプ)」の3段階がある。風量ボタンはスライド式で、OFFスイッチのほか、髪型をセットする時用の「SET」と、好みの風量に合わせて「DRY」と「TURBO」から選べる。
運転モードは「HOT/COOL/SCALP」の3段階 | 風量ボタンでは「SET/DRY/TURBO」から風量を選べる |
スペックを確認したところで、ドライヤーの運転スイッチを入れる。すると吹出口の上部の青いランプが光る。この青いランプは、ナノケアシリーズの最大の特徴である、同社独自のイオン技術「ナノイーイオン」が発生していることを示している。
吹出口の様子。上部には、3種のイオンの電極を備える | スイッチを入れると、吹出口の上部の青いランプが光る | 髪を乾かしていく |
ナノイーイオンとは、空気中の水分に電圧をかけて生成される、同社独自のイオン技術で、カビの成長やカビアレル物質を抑制するなどの効果があるとされている。
EH-NA93では、風の吹出口の上に、3種のイオンの電極を備えている。ここから目には見えないナノイーイオンや、亜鉛電極から発生されるミネラルマイナスイオンとプラチナ電極から発生されるプラチナマイナスイオンが出てくる。これらのイオンはマイナスの電気を帯びており、髪を弱酸性に保ち、ダメージから強くする効果があるのだという。また、髪の水分バランスを整えてうねりを抑制したり、キューティクルを整えてツヤのある髪に導いたりといった効果も期待できるとしている。
実はこのナノイーイオンの水分量は、昨年モデルよりも約1.5倍に増え、潤い効果も高まったという。ナノイーイオンの効果については、パナソニックのホームページに詳しいので、参考にしていただきたい。
運転音はどうかというと、風量を最大にしたTURBOの状態だと、テレビや音楽の音声が聞き取れないほどの音がする。ただし、高音のキーンという耳障りなモーター音ではなく、比較的低音の「ブーン」という音だ。自分は昔からパワフルタイプのドライヤーを使ってきたので、ドライヤーの轟音には慣れているほうだからか、この風量にしてこの音量は、むしろかなり抑えられていると感じた。
■約60℃の風で地肌をやさしく乾かす「スカルプモード」
髪が7割ほど乾いたら、いよいよナノイー搭載ならではの機能、「スカルプモード」のスイッチを入れる。
近年、健康な髪を育むためには、頭皮(スカルプ)のメンテナンスが大切だと言われている。おいしい野菜づくりには良質の土壌が欠かせないように、頭皮が荒れていたのでは健やかな髪は育ってくれない。そこでスカルプモードでは、熱すぎない60℃の温風を頭皮の近くに当てる。水分をたっぷり含んだナノイーが頭皮に当たることで、頭皮の水分バランスを整え、乾燥やベタつきを防ぎながら乾かせるという。
実際に頭皮の近くに60℃の温風を当てると、頭皮と髪のすき間を風がスースーと吹いていって気持ちいい。特に風が熱いとは思わなかった。根元をしっかり乾かせるので、夏場でもムレたりしない。
スカルプモードでだいたい頭皮が乾いたら、最後の仕上げにサッと温風で全体を乾かすことが推奨されている。室温25℃、湿度45%の部屋で、自分の傷んだ長い髪は、全部乾くまでに4分8秒かかった。おそらくほとんどの読者の方は、これより早く乾くのではないだろうか。
ちなみに、このドライヤーの風の吹き出し方にも、ナノケアならではのこだわりがある。「温冷ツインブロー」といって、温風の周りから冷風が出る仕組みを採用しているため、ドライヤーを上下左右に動かすことで、温風後に冷風が当たり、毛流れを整えたり、滑らかな艶を出す効果があるのだという。
モード選択ボタンを繰り返し押して、スカルプモードにスイッチを入れる | スカルプモードで吹出口を頭皮に近づけて乾かす | 温風の周りから冷風が出る「温冷ツインブロー」 |
風量をSET→DRY→TURBOと切り換えた様子 |
■ナノケアなしでは髪がバサバサ、かさばっても旅のお供にしたい
では、使用感はどうかというと、毎日使ううちに変化ははっきり現れた。まず、普通のドライヤーで乾かした時よりも、明らかに髪がしっとりとまとまりやすくなったのだ。特に旅先でホテルや旅館に備え付けのドライヤーを使った時に効果を実感した。久しぶりにナノケアではないドライヤーを使うと、あまりにも髪がパサパサに乾き、毛先なんてホウキのようになるのだ。自分の髪の痛みのひどさに愕然とするが、そこで改めて、普段いかにナノイーに守られているか、気づくわけである。
ほかにも、ナノケアを使うようになって、髪を乾かしたあとにいつも付けている洗い流さないトリートメントの量が、以前より少量で足りるようになった。おそらく、ナノイーの潤い効果で、髪の水分を奪いすぎずに髪を乾かすから、下手にあとから水分を補う必要がないのだ。
髪もまとまりやすくなったので、出掛ける前に髪をとかしたり、ワックスを付ける時間が短くなった。ナノケアを使わないと、一瞬にしてあのおぞましい「ホウキヘア」に戻ってしまうので、今では、文字通り手放せない存在になっている。荷物がかさばるのは承知の上で、旅先でもどこへでもナノケアを持って行くほどだ。
手入れの面も簡単だ。風の吸い込み口には、ホコリなどを簡単にティッシュで拭き取れる「お掃除ラクラクフィルター」を備える。フラットな形でホコリがひっかかりにくいのか、使用開始から半年近く経った今も、目だったホコリは付着していない。
本体の吹出口とナノイーイオンの吹出口は月1回程度、綿棒で手入れすることが推奨されている。
自分は以前から、髪の痛みを抑えながらしっかり乾かしてくれるパナソニックのナノケアシリーズを使っていたが、以前の機種では、専用のブラシで手入れするよう推奨されていたり、フィルターを外して吸込口の掃除をしなければならなかった。EH-NA93ではそのあたりの使い勝手も向上している。
一方で気になる点としては、まずドライヤーから出てくるニオイが挙げられる。運転していると、病院の待合室のような独特のニオイがする。これはナノイーイオンに伴うもので、普通のドライヤーにはない。
個人的には嫌いなニオイではないが、ニオイに敏感な方は一度店頭で試してから購入することをオススメする。
また、ちょっと使いにくいのがモード選択ボタンだ。風温のHOT/COOLやスカルプケアモードを選ぶ際、いちいち乾かすのを一瞬中断して、本体の横面のボタンを見て押さねばならない。風量調節ボタンのように、グリップ部にモード選択ボタンがあれば、乾かしながら押せて便利なのになぁ、と思う。
■早く乾かしたい、でもなるべく髪を痛めたくない
ドライヤーを髪型のセットに使う人もいるが、自分はもっぱら髪を乾かす時にしか使わないので、ドライヤー選びのキモは、いかに早く、いかに髪を傷めずに、洗いざらしの髪を乾かせるか、ということになる。
これまで色んなドライヤーを試してきたが、高温で風量の少ないドライヤーは、だらだらと時間ばかりかかってなかなか乾かないし、髪がパサパサになってしまった。逆に、やや風の温度が低くても、大風量なら、時間もかからずちゃんと乾くのだと、今回のスカルプモードで実感した。
頭皮ケアといっても、実際はほとんど普通のドライヤーと同じように使うだけで、「早く乾かしたい、でもなるべく髪を痛めたくない……」というワガママに応えてくれるドライヤーなのだ。
これからの季節、空気が乾燥し、髪や肌の乾燥が気になり始める時期だ。髪の痛みが気になる方で、特に早く乾かしたい、という方にぜひ試してほしい。
2011年10月6日 00:00