家電製品ミニレビュー
ネスプレッソ「PIXIE(ピクシー)」
■幅11cmのエスプレッソマシーン
ネスプレッソ「PIXIE(ピクシー)」 |
エスプレッソいうと、専門店に行かないと飲めないような本格的なイメージがあるが、最近では、家庭でもエスプレッソを手軽に楽しめる製品が次々に登場している。今回紹介するネスプレッソ「PIXIE(ピクシー)」も、そんな製品の1つだ。
ネスプレッソというと、エスプレッソメーカーの老舗で、知られるメーカーで、PIXIE以外にもミルクを泡立てる機能や、給湯機能などを備えた本格的な製品も用意するが、今回紹介するPIXIEは、ラインナップ中ではエントリーモデルに当たる製品だ。
メーカー | ネスプレッソ |
製品名 | PIXIE |
希望小売価格 | 19,740円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 16,632円 |
基本的な機能はエスプレッソとルンゴ(エスプレッソより抽出量が多いもの。エスプレッソの抽出量は40cc程度だが、それを100~110cc程度まで“長め”に抽出したものを指す)の抽出で、スチームミルクなどの機能は付いていない。
何より大きな特徴は、その本体サイズ。本体幅11cmで“ネスプレッソ史上最小”の大きさだという。エスプレッソマシーンというと、大きくて、なんだかゴツイ製品を思い浮かべるが、PIXIEはサイズもデザインもかわいらしい。本体カラーはレッドやチタン、ブルーなど全6色を揃えており、インテリアに合わせて好きな色を選べる。今回はイエローを選んだ。
製品パッケージ | 本体正面 | 本体上部 |
本体側面 | 本体背面 | ティッシュケースと並べておいたところ。本体幅11cmで、置く場所を選ばない |
ドリップコーヒー用のコーヒーメーカー(右)と比べたところ | 奥行きもそれほど変わらない |
■コンパクトでも味は本格的
サイズが小さい、エントリーモデルと聞くと「肝心の味はどうなの?」と不安に思う人もいるかもしれないが、そこはネスプレッソならではのシステムがしっかりカバーしてくれる。
というのも、ネスプレッソが扱うエスプレッソマシーンでは、専用のカプセルを使って、エスプレッソの抽出を行なっているのだ。エスプレッソを淹れるには、エスプレッソ専用の粉をフィルターに直接詰める、カフェポッドを呼ばれる粉を丸いパックに入れたものを使うなどいくつかの方法があるが、ネスプレッソでは、1杯ごとのコーヒー粉が入ったカプセルを使っている。
カプセルの良いところは、まず完全密閉性なので、粉の風味を損ねないという点、もう1つは使い捨てで使えるので、準備や片づけが簡単な点などが挙げられる。一方、弱点としてはカプセル1個70円程と、ランニングコストがかかる点、また購入経路が限られるところだろう。
ネスプレッソでは、自社製品専用のカプセルを用意し、インターネットや電話などを通じて、ユーザーが直接購入する方法を採用している。製品の配達は郵送になるため、注文からカプセルが届くまでに時間がかかる、注文の手間がかかるなどの面倒がある。その一方、電話口のオペレーターとして、コーヒーのスペシャリストを用意しているので、自分の好みの豆や、季節にあった豆を薦めてもらえるという楽しみもある。
購入時、本体には「お試し用」として10カプセルが付属する | カプセルを購入するためのガイドブック | カプセルは手のひらに乗るサイズ |
また、メーカーが自信を持って選んだコーヒー粉なので、味はさすがにおいしい。個別に密閉されているので、いつでも新鮮な味と香りが楽しめる。つまり、本体サイズが小さくても上位機種と同じ味を楽しめるというわけだ。
■抽出まではわずか25秒
PIXIEは、単機能の製品なので、使い方もとても簡単だ。事前に、本体背面の給水タンクに水を入れておけば、全ての作業を含めても約50秒程度で、表面にクレマ(泡)が立った本格的なエスプレッソが完成してしまう。
まずは、本体手前のハンドルを上げて、カプセルをセットしたら、電源スイッチを入れる。すると、ヒーター加熱中の合図として、本体上部の「エスプレッソ」「ルンゴ」ボタンが約25秒間点滅する。点滅が終わったら、「エスプレッソ」「ルンゴ」どちらかのボタンを押すと、抽出が始まる。
本体背面の給水タンクは取り外し可能。使用時は水を入れて本体にセットする | 本体手前のハンドルを上げると、抽出口が前に出て、上にカプセルをセットするスペースが現れる | カプセルをセットしたところ |
本体電源を入れると、上部の「エスプレッソ」(左)「ルンゴ」(右)ボタンが点滅する | ハンドルを手前に下げて、抽出口前にカップを置く | 点滅が終わったら「エスプレッソ」か「ルンゴ」いずれかのボタンを押すと、抽出が始まる |
抽出後のカプセルは、本体手前のハンドルを上げると、下に設けられているボックスに落ちる仕組みだ。
抽出後のカプセルは下のボックスに落ちる | 抽出後のカプセルには表面に細かい穴が空いている |
必要最低限の構造にしているため、複雑なところはまったくなく、初めてでも、迷うことなく使える。給水タンクに水さえ入れておけば、朝起きて、1分以内には濃いエスプレッソが飲めるのだ。
肝心の味については、使用するカプセルの種類によっても違うが、私の印象としては、エスプレッソとしては苦味が少なく、すっきりと飲める印象だ。朝起きてからの一杯や、食後の一杯としても、飲みやすい。
カプセルの種類によって色や風味、味も違う |
なお、繰り返しになるが、PIXIEはエスプレッソ/ルンゴ専用の機器となる。ネスプレッソのカプセルを使ってしか抽出できないし、レギュラーコーヒーなどを淹れることもできない。ネスプレッソでは、様々な種類のコーヒー粉を用意してはいるが、自分好みの豆などがある人は、事前に確認した方がいいだろう。
■手入れに手間がかからないから毎日使い続けられる
使い続けて1カ月以上経つが、満足度は非常に高い。本格的な味はもとより、使い方も簡単で手入れに手間がかからない点も気に入っている。日常的な手入れとしては、給水タンクと受け皿部分の水洗い程度。カプセル式なので、粉が飛び散ったりすることもなく、抽出量も一定なので、ほとんど汚れることがない。
「面倒くさそう」というイメージがあったエスプレッソがこれだけ手軽に淹れられるとは、これまで全く知らなかった。もともとレギュラーコーヒー派だった私が、エスプレッソの魅力にすっかり取りつかれてしまったほどだ。コーヒーやエスプレッソの世界はとても奥が深く、素人がなかなか入っていけない印象があるが、カプセル式なら、手軽に色々な豆が楽しめるのも楽しい。
一杯単位の抽出や、本体サイズを考えると、1人暮らしの人に特にお勧めしたい。ランニングコストや本体価格は安いとは言えないが、「いつもがんばっているんだから、そのくらいの贅沢はいいでしょ」と考えられる範囲。コーヒー好きな私にとって、フレッシュな粉を使った本格的なエスプレッソが自宅で飲めるというのは、それくらい幸せなことだ。
2011年10月5日 00:00