家電製品ミニレビュー
東芝「超音波洗浄器 MyFresh TKS-210」
東芝エルイートレーディング「TKS-210」 |
メガネや腕時計、アクセサリーなどを洗うための道具として超音波洗浄器がある。メガネをかけている人は、メガネ屋のカウンターや店頭で見たことがあるかもしれない。
超音波洗浄器の特徴は、小さなブラシなどでも届かない微細な部分にも泡が届いて洗ってくれることだ。細かな加工がされた金属の表面や、メガネのフレームの鼻パッドを支える部分などは、超音波洗浄器が得意とするところだ。
超音波洗浄器を使うにはまず、洗浄槽に水を入れてから、洗いたい物を入れる。しかし、今回選んだ東芝の超音波洗浄器「MyFresh(マイフレッシュ) TKS-210」は、この洗浄槽が本体から取り外せるというものだ。
なぜ取り外しの効く洗浄槽を選んだかというと、家庭用の超音波洗浄器は、これまでに何機種か試したが、洗浄槽に水を入れるのが実は難しかった。いろいろな機械が内蔵された本体は持ち上げると重たいし、本体から生えた電源コードも邪魔になる。
洗浄が終わった後で水をこぼさないように運び、洗面台に捨てることは、さらに難しい。何回かに1回は、重い本体をうまく傾けることができず、洗浄槽から捨てる水が思わぬ方向に飛び出してしまう。そして、洗浄器本体を濡らしてしまい、慌ててタオルなどで拭くことになってしまうのだ。
だが、洗浄槽が別になっていれば、水を注ぐときも濡れてかまわない場所でできるし、水を捨てるときも軽い洗浄槽だけならば、思うように操作できるだろう、と思ったのだ。
メーカー | 東芝エルイートレーディング |
製品名 | TKS-210 |
価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 5,928円 |
■ちょっと大きめだが使いやすい本体
到着した本体は、写真から想像していたよりもちょっと大きかった。数値で言うと、195×200×150mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは1.25kgある。
本体がちょっと大きめな理由は、洗浄槽がCDやDVDを入れて洗えるように、たっぷりとした大きさがあるからだ。CDとDVDの直径は12cmあるので、本体の幅が20cm、奥行きが15cmあるわけだ。洗浄槽の深さも4cm強ある。
本体のほかに、洗浄カゴやCD/DVD用のスタンド、アクセサリーホルダーが付属する | 本体が2つに分かれるのが特徴 | 本体の全景。電源はACアダプタではなく、電源コードが直接生えている |
本体側のコネクタ。コネクタの左右の穴は洗浄槽の足が入る | 洗浄槽側のプラグ | 操作部分はボタンが3つだけ。電源を入れ、設定で時間を決め、スタートを押すと洗浄が始まる |
さっそく使ってみよう。本体から洗浄槽を外し、水を入れる。水位は「MAX」と書かれた目盛りのところまで入れる。水の深さは3.5cmあり、水量も750ccとたっぷり入る。洗浄槽にはフタが付いているので、水を入れて持ち運ぶときも、普通に持っていればこぼすことはない。この機種から、フタにくぼみが設けられ、つまみやすくなっている。
洗浄槽を本体にはめる。本体と洗浄槽の間は、電源プラグのような2本の電極でつながっている。意識して位置を合わせる必要はなく、電極はすんなりとはまる。ただし、本体と洗浄槽は、軽く繋がっているいるだけなので、持ち歩くときはしっかりと本体を持つように注意が必要だ。
樹脂製の洗浄カゴに洗う品物を入れて、洗浄槽に入れ、フタを閉める。カゴ以外にも、CD/DVD用のスタンドや、腕時計を固定するためのアクセサリーホルダーもあるので、洗う物に応じて使い分ける。
電源コードのプラグをコンセントに入れ、「電源ボタン」を入れる。この状態で、タイマー表示に「180」と表示される。これは180秒、つまり3分を示す。この洗浄器には、洗浄の強さの強弱はなく、洗浄する時間の長短で、洗浄の強さを調節する。
「設定ボタン」を押すと、タイマーは「60/120/180/240/300秒」の5つを順番に表示する。つまり、洗浄時間は「1/2/3/4/5分」から選べる。以前のモデルでは、「90/180/280/380/480秒」の5段階だったのが、分単位になったわけだが、表示は秒のままだ。できれば、表示も分単位になった方がわかりやすいだろう。
洗浄槽の深さは約4cmほど | 洗浄槽だけ持って行けるので水汲みがしやすい |
重い機構部分が本体に残るので、洗浄槽は水が入っていても軽く感じる | タイマーの初期設定は180秒(3分)、5段階で調整できる | なお、水を捨てるのも片手でできるほどだ |
「スタートボタン」を押すと、ヴーという、かすかな音がして、洗浄が始まる。超音波洗浄の原理としては、水を超音波で振動させることで、水中に小さな気泡が発生し、この気泡がはじけるショックで汚れが剥がれ落ちるというものだ。この泡のことをキャビテーションというそうだ。
フタを開けてみると、水面がわずかに波立っているのがわかる。しかし、振動自体は小さく、本体を置いたテーブルが揺れるようなことはない。なお、この製品の超音波周波数は42kHzに固定されている。
フタを開けて動作しているところ。微かな波と音がする |
3分間洗ったメガネを取り出してみると、全体にすっきりした感じになっている。特に、レンズを支えるフレームの部分と、鼻当てを支える細かい部品の当たりがきれいになっている。また、レンズからホコリが取れるので、視界から薄膜が1枚とれたような印象だ。
洗浄中は、水面が波打っている | 洗浄槽が大きいので男性用の大ぶりなメガネも洗える | 洗浄後のメガネ。細かい部分がきれいになるのは超音波洗浄器の利点だ |
次に、細かい細工のある金属製の簪(かんざし)を洗ってみた。これは妻の持ち物だが、細かい飾りの部分が煤けた感じになっていた。細工の部分は繊細で洗いにくいので、超音波洗浄器向きではないかと思ったのだ。
3分間洗ってみたところ、もう一息な感じだったので、さらに5分洗ってみた。その結果、蝶を象った細かい細工の部分や、それに珠をつないでいる輪の部分が一見してわかるほどきれいになった。一方、金属製の平たい薄板の表面の汚れはそのままだ。
洗う前のかんざし | 花弁など細かい部分の汚れが目立つ | 洗った直後のかんざし |
洗浄後のかんざし | 花弁や蝶の部分がすっきりした |
蝶の羽根のように細かい部分ほどきれいになりやすい | 平たい板の部分もきれいにはなるが、ピカピカにはならない |
どうも超音波洗浄器は、細かい凹凸や、曲がっている部分が多い鎖のようなものが得意で、平たい板の表面などは効果が薄いようだ。
続いて、ネックレスとCD/DVD、さらに平たい表面の例として硬貨を洗ってみた。
ネックレスは石をつなぐ鎖の部分がとくにきれいになる。CD/DVDについては、うっかりつけてしまった指紋がよく落ちる。しかし、硬貨については、あまり汚れが落ちた感じがしない。洗剤とたわしでこすった方がきれいになるぐらいだ。
洗う前のネックレス | 洗ったあとのネックレス。珠に透明感が出ている |
洗浄槽が大きく、CD/DVDが洗えるのも特徴だ | CD/DVDは、間にスペーサーを入れて2枚重ねの状態で洗える |
腕時計本体を洗うと問題が出ることがあるため、濡らさずに金属ベルトだけ洗えるアクセサリーホルダーが付属する | 5分間洗ったあとの硬貨。10円玉や5円玉を見ると洗浄効果に限界があるのがわかる |
逆に、超音波洗浄器が有効だったのが、部分入れ歯だ。特に隣の歯にかけるブリッジの金属部分がすっきりとする。入れ歯洗浄剤を使った時のような香料によるスッキリ感は無いが、その分、装着感が少なく自然な感じだ。
ちなみに、かなり汚れた品物も洗ってみたが、洗浄している際に、目に見えて水に汚れが浮き出てくるというようなことはなかった。2~3個洗っていると、なんとなく水が汚れている感じがして、水を交換して、その汚れ方がわかるという感じだ。
■メガネやアクセサリーに有効
パッケージ外箱の背面に大きく洗浄できない製品の注意が書かれている |
取扱説明書には、この超音波洗浄器で洗える物と洗えない物が明記されているので、最後にそれを写しておこう。
【洗える物】CD/DVD、電気カミソリの刃、くしなどのプラスチック類、メガネ、入れ歯、日用小物、腕時計の金属バンド、貴金属アクセサリー(ネックレス、ピアス、指輪など)
【洗えない物】宝石類(真珠、エメラルド、オパールなど)、メッキや接着された貴金属類、腕時計本体、べっ甲
また、洗えるとされている物でも、傷のあるメガネレンズやCD/DVDも傷が大きくなるので洗ってはいけないなどの制限もある。たとえば、古いメガネを洗うと、ツルの樹脂の部分が真っ白になることがある。傷が広がって白くなったように見えるのだそうだ。
以上でわかるように、超音波洗浄器は万能というわけではない。しかし、メガネ、ネックレス、入れ歯などを洗う器具としては、他に代えられない効果がある。
また、今回の製品では、洗浄槽が分離できるという構造によって、とても使いやすい製品に仕上がっていた。必ず洗浄時に水を使う製品だけに、その取り扱いが簡単なのはありがたい。使いやすさという点では群を抜いている。タイマーの時間表示が秒数でなく分単位の方がわかりやすいとか、本体を固定できるようにしたい、ぐらいしか改良点が思いつかない。
さらに、CD/DVDが2枚重ねできるスタンドや、腕時計本体を濡らさずに金属ベルトの部分だけを洗浄するアクセサリーホルダーなどの部品も便利だ。こういう小道具は、実際に洗浄器を使っていないと思いつかないだろう。また、フタにへこみを入れて、ツマミを付けるなど、細かい改良が続けられているのもありがたい。設計者本人が、より使いやすい製品にしようと心掛けているところに好感が持てる。
洗浄力についても、乾電池駆動の簡易型の製品とは比較にならない強力さだ。超音波洗浄器の原理上、どうしても得手不得手はあるものの、レンズや細かい金属部分などの得意な分野については安心して任せられる実力がある。
実売で約6,000円という価格は、高いか安いか微妙なところだが、私のメガネのように、常にきれいに洗いたい物があるという人には、購入を考えても良いと思う。CD/DVDやアクセサリーのコレクターであれば、メンテナンス用品として高いとは感じないだろう。
2011年10月4日 00:00