家電製品ミニレビュー

ELPA「ESL-102BT」

~乾電池で使えるLEDセンサーライト
by 伊達 浩二
ELPA「ESL-102BT」

 東日本大震災の直後、東京の街は暗くなった。そして、私が住んでいる街で増えたのがセンサーライトだ。

 道路に面した雑居ビルの入口や、マンションの通用口に近寄ると、「ピカッ! 」という感じで、強い光に照らされることが、とても多くなった。つまり、裏通りの細い道に備えられた街灯が消されることが増えたため、防犯も兼ねてセンサーライトを装備する建物が増えたのだ。

 そこで今回、我が家のベランダにも、センサーライトを導入しようということになった。実際には、我が家のベランダは自宅専用の独立した構造なので、防犯目的というよりも、夜に洗濯物を干したりするときの作業用だ。

 ただし、設置にはできるだけ手間をかけたくないので、乾電池で動くセンサーライトELPA(朝日電器)の「ESL-102BT」を選んだ。

 


メーカーELPA(朝日電器)
製品名ESL-102BT
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格2,849円

 

小さな本体をステンレスバンドで固定

 ESL-102BTは、光源に1Wの高輝度白色LEDを搭載したセンサーライトだ。光源のLEDは1個タイプと2個タイプがあったが、2個タイプにした。こういう屋外設置型のセンサーライトで、光源がLEDの製品を初めて使うので、少しでも明るいほうにしておこうという判断だ。

 到着した製品の箱は、予想外に小さく、以前に購入したソーラー式センサーライトの半分ぐらいの大きさしかない。取り出した本体もごく小さいものだった。

 パッケージの内容も、本体を除くと、取り付け用のネジ2本、コンクリート壁用のスリープ2個、センサーの感度を調整するマスキングカバー、紙1枚の取り扱い説明書というシンプルさだ。

パッケージ外観。コンセントがない場所に設置できるのが最大の特徴パッケージ背面
パッケージの内容。左がネジ類、右は紙1枚の取扱説明書付属品のネジとコンクリートスリープ。マスキングカバーはセンサーの感度が高すぎるときの調節用カバーだ

 本体には、半円状のライト部分が2つ付いている。奥をよく見てみると、LEDチップが見える。ライトの間に位置する白い半球部分ががセンサーで、そこから生えている黒いツマミで明るさを調整する。さらに下のツメが、電池ボックスのふたを止めている。

LED部分をアップにしてみると、奥にチップが見える本体を下から見た状態本体側面。実際には、右手方向が上になるように取り付ける
奥がLEDを一番下に向けた状態。手前が一番上に向けた状態本体底面。単三乾電池4本分の面積しかない白い半球がセンサー。そこから生えている黒いツマミが明るさの調整用。さらに下のツメが電池ボックスのふたを止めている

 電源には、アルカリ乾電池4本を使う。乾電池を入れる際は、乾電池ボックス部分のツメは固いので、マイナスドライバーを用意したい。下手に自分の爪を使うと、痛めかねないほど固いのだ。

 乾電池をセットした状態で、試しに暗い場所でLEDを点灯してみた。明るさは、思ったほどまぶしくない。

本体のツメをマイナスドライバーなどでつつくと、電池ケース部分が開く電池ケース部分。電池を入れる方向はわかりやすい乾電池をセットし、周囲を暗くしてLEDを点灯してみた。思ったほどまぶしくない

 設置方法は、基本的に壁面にネジ止めする。しかし、壁に穴を開けたくなかったので、本体と一緒に取り付け金具類のオプションも購入した。「クランプセット ESL-CS」(購入価格300円)と「ステンレスバンド ESL-SB」(同530円)だ。

 クランプは四角い柱に簡単にかっちり止めるのに向いている。ステンレスバンドは四角に加えて丸い柱でも使用できるが、工具として軍手とニッパーが必要になるので、必ず用意したい。丸い排水パイプに止めるので、ステンレスバンドを使った。

標準の取り付け方法は壁にネジだが、別売オプションで、クランプとステンレスバンドが用意されるステンレスバンドの長さにはかなり余裕がある。不要な部分は切断するのでニッパーは必須だ

 以下、ステンレスバンドを使う作業を行なう際ので、必ず軍手を使う。ステンレスバンドで、怪我をする恐れがあるからだ。

 まず、センサーライト本体の溝に、ステンレスバンドを通す。次に、センサーライト本体を排水パイプに押しつけながら、ステンレスバンドでパイプを一巻きする。バンドのバックルの部分に先端を通すと、仮止めされる。この時点で、ベルトの長すぎる部分はニッパーなどで切断する。そして、バックルの金具を何度か動かすと、自動的にベルトが締まる。

 ここで1つ失敗してしまった。バックルの金具を何度も動かしすぎてしまい、どんどんベルトが締まってしまったのだ。最後は、ベルトがきつくなりすぎてバックルを締めることができなかった。とりあえずセンサーライトの固定には問題はないのだが、万が一にも緩んでしまうと危険なので、もう1つ取り寄せるはめになってしまった。ステンレスバンドを締めるときには、最後に金具を締める動作1回分の余裕を持たせるように気をつけたい。

ステンレスバンドを本体の穴に通すステンレスバンドを通し、仮止めした状態。この状態で金具を動かすとバンドが締まるラチェット動作をやりすぎて、金具が閉まらなくなってしまった状態。バンドがきつく締まりすぎているのがわかる

 このLEDセンサーライトの電源は乾電池4本なので、AC100V電源やソーラーパネルの配線が必要なく、取り付けは以上で終了だ。ステンレスバンドを締めすぎてしまったことを除けば、とても簡単だった。

明るさは微妙だが、センサー感度は高い

 夜を待って、実際に使ってみた。センサー部分は、左右に60度ずつ回転するので、人が来る方向に向けて調整する。センサーは感度が高く、数m先からちゃんと人を認識する。

 また、2つのLEDは思っていた以上に角度が変えられる。2つを同じ方向に向けるだけではなく、ハの字型に開いて、あっちとこっちを照らすこともできる。逆に、水平より上の方向を照らすことはできない。天井を照らすような用途には使えないということだ。

センサー部分は、左右に60度まで方向を変えられる2つのLEDを同じ方向に向けた状態2つのLED部分の間隔を、最大限広げた状態

 乾電池式なので、電池の寿命が気になるところだが、持ちは良いようだ。数週間使ってみても、電池切れになることはなかった。一応、取扱説明書には1日に5回点灯させた場合で約5カ月と書かれていた。

 ただ、電池寿命は使い方に大きく左右される。一度、洗濯物を下げたハンガーがセンサーの範囲内に入っており、風でくるくると回転していたことがあった。LEDが点いては消え、消えては点いてしまう状態で、翌日には電池切れになっていた。設置する場所を決めるときには、センサーの範囲内にずっと動くモノがないように注意が必要だ。

 残念に感じたのはは、照明の明るさだ。たとえば、人が来る方向に向けて、防犯のために威嚇するような用途には向かない。「ピカッ」とくる迫力がないのだ。また、照射角が狭く、近い位置だと狭い範囲しか照らしてくれない。本来の目的であるベランダでの夜間作業灯としても、心もとない明るさだ。

実際に夜間にLEDを正面から見ても、まぶしさを感じないぐらいの明るさだ光は拡散せず、狭い角度を照らすので、周囲が明るくならない。かなりスポット的な灯りと思った方が良い左側が一番下に向けた状態。右側が一番上に向けた状態でほぼ横を向いている。上方を照らすことはできない

 また、照明時間は調節できず、10秒間に固定されている。たぶん、電池を消耗させないようにという配慮だろう。この時間制限により、ずっと照らしているという使い方はできない。パッと照らして消え、またセンサーが人を関知して点灯するというのを繰り返すことが多い。

電源に縛られない設置場所が利点

 乾電池式のLEDセンサーライトということで、期待半分、心配半分という気持ちだったのだが、やはり明るさだけ見ると通常の製品には及ばない。防犯用途や、その場所を明るく照らすという用途であれば、コンセントから給電する、もっと強力なタイプの製品を選んだ方が良い。

 しかし、本体が小さく設置しやすいことや、電池の持ちが良いことなどは捨てがたい。現状でも、物置の中とか、家と家との間など、電源がなくて、あまり広くない場所には向いている。照明方向の自由度は高いので、廊下や階段などで足もとを照らす補助照明にも使えるだろう。

 LEDは発展途上の光源なので、もう少し経つと、もっと明るく効率の良い製品が出てくるだろう。もう1~2年経ったら、どんな製品が出てくるか楽しみにしていたい。






2011年10月3日 00:00