家電製品ミニレビュー

テスコム「マイナスイオン スチームアイロン IPM820」

~人生初のカールに挑戦
by すずまり
テスコム「マイナスイオン スチームアイロン IPM820」

 「すずまりさん、ヘアアイロンなんかに興味はありますか?」

 全てはそんな問いかけからスタートした。ワケあって髪を伸ばしていたので、ヘアケアアイテムにはちょうどよいターゲットだったようだ。世間の華やかな女性たちはみなクルクルとボリューム満点のヘアスタイルで誇らしげだ。どうやらあんな感じのものができあがるモノらしい。しかしここで大きな問題が。実はブラシとドライヤーでブローをしていた時期もあったが(それも高校時代に遡る)、カール用のコテやヘアアイロンは全く使ったことがなかったのである。コテなどは美容院で使われることはあっても、この年まで自分で買って活用したことは一度もない。

 おそるおそる試してみるとこれが大騒ぎ。うっかり指で触れて熱さにびっくりしたり、顔のそばまで巻きすぎて、コテが頬に触れてヤケドしたり、髪があらぬ方向へ曲がったりと踏んだり蹴ったり。世のギャルたちはどれだけ器用でマメなのかと驚愕させられた次第である。見かねた編集部のA嬢が、途中で「すずまりさん……無理そうなら私やりますから……」と言い出す始末。

 くっ……悔しい!! 「絶対大丈夫ですっ!」と意地を張ったものの、美は1日して成らず。長期間の訓練を要するレビューになろうとは誰が想像したであろうか。

「IPM820」はマイナスイオンとスチームに対応し、温度調整機能がついた2wayタイプ

 今回使用したヘアアイロンはTESCOMの「マイナスイオン スチームアイロン IPM820」である。ストレーターとコテが一体になっており、左右の切替ボタンを押すことで、カールとストレートがこれ1台でできるという2wayタイプだ。アイロン径は38mmで、流行のゆる巻きができるサイズ。温度調節は90℃(温度レベル1)~140℃(温度レベル26)まで 26段階で切り替えられる。スイッチを入れた時点では130℃(温度レベル21)になっている。


メーカーテスコム
製品名マイナスイオン スチームアイロン IPM820
希望小売価格10,500円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格4,323円


右から本体、キャップ、ヘアーバンド切替ボタン右はカール用切替ボタン右を押し込むことでクリップが開く
切替ボタン左はストレート用切替ボタン左を押し込むと、ストレートアイロン部が開くストレートアイロン部にはスチーム吹出し口が、反対側にはマイナスイオン吹出し口が4つ並んでいる
電源ボタンを2秒間長押しすると、温度レベル21からスタートする電源ボタンと通電ランプアイロン先端部と水タンク

 アイロン面からはキューティクルを保護するというマイナスイオンを放出するだけでなく、スチームが放出できる点も特徴だ。ボディ先端に水タンクを備え、レベルを21~26に設定してから押すとスチームが出る仕組みなのだ。

 スイッチを入れてから使用できるようになるまでの時間は、温度レベル21で約3分。実測で温度レベル26(最高温度140℃)の場合、約5分半だった。使えるようになるとアラームで知らせてくれるほか、スイッチを入れてから30分が経過すると再びアラームが鳴り、自動的に電源がOFFになる安全機能も用意されている。

スチーム用水タンクとキャップ水タンクに水道水を入れた様子。1回の使用でなくなることはまずないだろう水タンクを押すとスチームが出る

 取扱説明書の他に、水タンクに装着するフエルト付きの交換用キャップと、ヘアーバンドが付属している。ヘアーバンドは髪をまとめるためではなく、操作を誤ってうっかり顔や首につけてヤケドしないようにするためのものだ。レッスン用DVDなどは付属していない。


切替スイッチとスチームの様子。スチームは連続して使おうとすると音が聞こえなかったりするが、実際は出ているとのこと

ストレートとカールがこれ1台で。しかも仕上がりつややか

 使うには、あらかじめ髪に保護用のミストなどをスプレーしてなじませておくとよい。ストレートにはストレートもしくは寝癖直し用、カールにはカール専用のスプレーがあるので、ヘアアイロンのスイッチを入れたら髪全体にスプレーし、よく乾かしておく。準備ができたらイメージする仕上がりにあわせて髪をダッカールでブロッキングし、後ろの毛束から適量取ってストレートまたはカールを作っていく。全体が仕上がったら、ヘアワックスや固定用のスプレーなどで仕上げるという手順となる。

 筆者の場合、もとがクセ毛。伸ばしたまま放置すると毛先が好き放題に跳ねたりうねったりするタイプである。ゆえに根元から耳当たりまで縮毛矯正によるストレート、耳から下はデジタルパーマを当てている。これをストレート、またはゆるまきのカールに仕上げるわけだ。美容院で確認したところ、デジタルパーマにアイロンを当てても全く問題ないそうだ。洗髪すればすぐ元通りになるのでご安心いただきたい。

内巻き、外巻きを交互に繰り返してできたスタイル(まだ仕上げのワックスやスプレーは使っていない)カール用のスプレーを使っていないため、あまり強いカールは維持できていない左右対称に仕上げているつもりなのに利き手の都合かどうも崩れてしまう。まだまだ後ろも苦手だカール用のスプレーを使うと毛先のカールがよく出る

 「IPM820」の最高温度は140℃。ヘアアイロンとしては、あまり高いとは言えないが、スチームを使うことでしっかりクセがつくだけでなく、仕上がりのツヤもよくなるようだ。ただしストレートの場合「サロンの仕上がり」とまではいかないようである。もとのデジタルパーマも影響してか、一度通すだけでサラサラにというわけにはゆかず、何度かアイロンを当てる必要があった。このあたりの仕上がり具合は、個人の髪質やテクニックの違いなども大きく影響しそうなので、参考程度にとどめておいていただければ幸いだ。

 ストレートとカールができる2wayタイプゆえに、根元からいったんクセを伸ばしてからカールを作るという一連の操作を1台でまかなえる。別々に用意しなくてもいいので非常に便利だと感じた。さらに1本でイオンとスチームに対応し、温度も変えられるというのはかなりお得だ。立ち上がり時間が5分半というのは時間がかかると思われるかもしれないが、スイッチを入れてから髪全体にスプレーし、ブロッキングをしているうちに使えるようになるため、あまり気にすることはないだろう。

 そんなわけで、寝癖やあまり強くないクセ毛をストレートに伸ばしたり、さらにカールを加えてニュアンスを出すには便利な製品だといえる。ただし、それはヘアアイロンを使い慣れた人の話だ。

初心者はまずスイッチを入れずに練習するべし

 筆者にとっては大いなる挑戦といっても過言ではなかった。

 毎日やっても髪は大丈夫なのか? 何が必要なのか? 温度は何度にしたらいいのか? どうやって巻いたらいいのか? 巻いたらどれくらい待てばいいのか? 巻いた後はどうしたらいいのか? 全てに疑問符がついてしまった。

 そこでYouTubeで解説動画を探して眺め、書店でヘアアレンジの本を探し、さらにレクチャーDVDを探し求め、髪をブロッキングするためのダッカール(大きなクリップ)、毛束を整えるコーム(櫛)、クセ直しやカール用のミスト、仕上げ用のワックスとスプレーをそろえて再スタートすることとなった。

 本製品でヘアアレンジデビューをお考えの方がいらしたら、まずはスイッチを入れずに操作方法から練習することをお勧めする。扱いに慣れないうちから高温で試すと冒頭のようなヤケドをすることにもなって危険だ。

 特にコテの場合、クリップを上に向けるか下にして挟むかによって巻く向きが変わる。クリップを下にして挟むと外巻き、上にして挟むと内巻きになる。これを知らないとカールの向きに失敗して、毛先がレの字に曲がってしまったりする。頭で分かっていても、鏡を見ながら自分の髪でやってみると挟む距離感や向きなどでまた難しく感じる。ゆえに、スムーズな動作ができるまで、スイッチを入れずに自分の髪を挟んで巻く練習を繰り返し、低い温度から試すといいだろう。


練習例

 一度に扱う毛束も少なめがお勧め。多すぎると熱が周り切らず、中途半端な仕上がりになることが多いからだ。幅としては3cm程度を目安にしてみよう。キープ時間は、設定温度、クセのつきやすさ、毛束の量によって変わるが、1回5秒を目安に調整するといいだろう。気になる設定温度だが、知人に聞いたところほとんどの方が最高温度で使っているようだ。やはり高温になるほどクセがつけやすく、ストレートにしやすいからのようだ。ただし長時間当てると髪を焦がすこともあるので注意が必要だ。髪質に合わせて調整しながらベストな温度を選ぼう。

クリップでまとめてしばらくしてから下ろした髪。ボサボサでだらしない印象だ寝癖直し用のスプレーをしたあと、大きめのダッカールでブロッキング。ヘアーバンドも忘れずに左半分だけストレートにしてみた
全体をストレートにした状態改めて髪をブロッキングし、今度はカールに挑戦ゆるやかなウエーブができあがった

 さらに上達するにはどんな髪型に仕上げたいかをあらかじめイメージしておくことだ。何事もそうだが、ゴールが決まらねば何を成すべきか決まらないものだ。ヘアアイロンもまさにそうだった。ビギナーの筆者は自分に似合うスタイルというものがそもそも見当もつかない状態だったのだが、何度か試しているうちになんとなく見えてきた。すると、そのスタイルにするために、どの部分をどう巻けばいいのかがわかってくるのである。(スタイルにやや昭和の香りがするのは残念だが)

 あとは慣れだろう。筆者の場合いまだに挟む位置や距離感に惑いがあるが、当初もたもたと30分かかっていたカールが10分でできるようになった。まだミディアムの髪に38mmは太すぎるのではという懸念もあったが、大分まとめやすくなってきた。

ヤケド防止用のヘアーバンド

 難点があるとすれば、巻いている最中に切替スイッチや温度変更スイッチを押してしまうことだ。グリップしたときに触れにくい配置にしてもらえたら嬉しい。スチームの出方にもムラがあるようで、よく出る日と全く出てくれない日があった。中のフエルト部分が影響していそうなのだが、コンスタントに押せば必ず出る仕組みを期待したい。

 また、ヘアーバンドが緩く、首から離れてしまうことがある。ブロッキングした後で思い出して巻こうとするとかなり伸ばさなくてはいけない。最初から輪になっているよりは、巻いてからマジックテープで固定できるとありがたい。

 最初はどうなるかと思って始めた今回のレビューだが、なんとか巻き髪をマスターできるようになってきた。当初想像していた髪のダメージもなさそうだ。無理のない温度、マイナスイオン、スチームのおかげかもしれない。髪をいたわりながらヘアスタイルのマンネリ化を防ぎたい方に「IPM820」はぜひお勧めだ。





2009年12月10日 00:00