家電製品ミニレビュー

フルメタルボディの存在感が際立つDCモーター扇風機

阪和「DCモーター メタル リビングファン 12インチ DVL-5012LF」

 DC(直流)モーターを搭載した「省エネタイプ」の扇風機が今年も熱い。その中から今回は、阪和の「DCモーター メタル リビングファン 12インチ DVL-5012LF」を紹介しよう。

 DVL-5012LFは、阪和が展開する扇風機のブランド「Devetal(ディヴェタル)」のラインナップの一つだ。Devetalシリーズの最も特徴的な点は、美しい輝きを放つフルメタルボディにある。樹脂製で白色を基調とした多くの扇風機と比べると、羽根以外、全身金属を纏い、硬質な輝きを放つ姿は、売り場でもひと際目を引く。

メーカー名阪和
製品名DCモーター メタル リビングファン 12インチ
品番DVL-5012LF
希望小売価格15,552円(税込)
購入場所Amazon.co.jp
購入価格15,500円(税込)

 個性的な姿ながら、省エネ性能の高いDCモーターを搭載した扇風機らしく、空気が動くような柔らかな微風から、吹き抜けるような強風まで、細かく8段階の風量調節ができる。さらに、風量にリズミカルな強弱がつく、2つの「リズムモード」と「おやすみモード」運転もできる。

 カラーは「ポリッシュ」のシルバーと「ガンメタル」のブラック、2色が用意されている。今回はポリッシュを使用した。

組み立ては一瞬

 DVL-5012LFは、他の扇風機と同様に、分解された状態で箱に入っている。だが、組み立ては簡単で、あっという間に終わる。ベースに延長管を「カチンッ」と差し込み、次に、羽根が最初から取り付けてあるファン部を延長管に「カチンッ」と差し込む。あとは、ACアダプターのプラグを本体に差し込み、アダプターをコンセントにつなげばもうオシマイ。

 組み立て後の本体サイズは、350×350×970mm(幅×奥行き×高さ)で、背が高めのリビングファンになる。重さは約5.4kgだ。DVL-5012LFは高さが調節できないかわりに、延長管を使わずにベースに直接ファン部を取り付ければ、高さは590mmのコンパクトファンとしても使える。

開梱した様子。左上からベース、ファン部。中段左からACアダプター、リモコン、アロマパッド。延長管
延長管をベースに差し込む(左)と、カチンッと音が鳴って固定される(中)。あとは、ACアダプターを接続してコンセントに挿せば準備完了。コードの長さは約1.8mだ
高さは、延長管を使うと970mm(左)、使わないと590mm

 羽根は、直径30cmの樹脂製5枚羽根で、色は透明なスモークグレイだ。羽根を覆うガードの大きさは345×65mm(直径×厚み)で、モーター部の奥行きは120mmとDCモーター搭載らしくコンパクト。後ろ姿も手抜かりなく、きっちりフルメタルだ。どの角度から見ても、徹底してスタイリッシュでシャープな印象だ。

羽根は樹脂製の5枚羽。スモークグレイ色の透明な羽根だ(前ガードを取り外して撮影した)
後ろ姿もフルメタル。モーター部もスッキリしており、幅広な側面のガードも個性的だ
ベースは高さ38mm、直径350mmのシンプルな円筒形

 リビングファンなら、椅子やソファの生活にちょうど良い高さだ。延長管を使わなければ、コンパクトになるので、床に座る生活はもちろん、棚の上に乗せれば床も広々と使える。細かな高さ調節はできないが、使う場所に応じた使い分けができる。

延長管を使った高さ970mmのリビングファンなら、椅子の生活にピッタリ
延長管を使わないコンパクトサイズのファンならば、床に座る生活に合う
コンパクトサイズなら、棚の上に載せてもいいだろう。床が広く使える

 操作は全てベースできる。「電源」「タイマー」「首振り」「リズム運転」はボタン、「風量」は、クリック感のあるダイヤルを回して8段階で調節する。付属するリモコンにダイヤルはないが、ボタンだけでベースと全く同じ操作ができる。ベース、リモコンとも日本語表記で、最初から迷いなく使えた。モーター部には「リモコン収納部」があるので、リモコンを無くす心配も少ないだろう。

ベースにある操作パネルの様子。リモコンでも全く同じ操作ができる
リモコンはモーター上部にしまっておける

微風から強風まで、シンプルな使い心地

 電源ボタンを押すと、「ピッ」と鳴り、最も静かで穏やかな「風量1」でスタートする。ダイヤルを右に回すと段階的に風量がアップし、それに伴い青いLEDインジケーターが次々と点灯して風量を可視化する。最大の風量は8だ。

 3m離れた場所で風に当たってみた。

 「風量1」は微風。開いた本のページが、ふわふわと揺れるか揺れない程度の僅かな風だ。風切音もモーターの回転音もほとんど聞こえない。

 「風量2~3」は弱風。風は感じられるがまだまだ穏やか。風切音とモーター音は聞こえるが、生活音でかき消される程度だ。

 「風量4~5」は、本のページが風でめくられる強さになり、テレビの音量を上げないまでも、かぶさるようなザーという風切音がハッキリと聞こえる。

 「風量6~8」は強風。部屋の空気が大きく動くような強風になり、風切音がかなり気になる。特に「8」は、ブーンという風切音とモーター音が盛大に鳴って、DCモーターなのにかなりうるさく感じられた。

運転の様子。電源オン→風量1→2→3→4→5→6→7→8→停止の順。風力4以上になると、風切音とモーター音がかなり聞こえる

 風量を上げるのに比例して、風切音とモーター音もハッキリと上がるが、普段の生活ならば風量1~3で十分に心地良く、音も気にならないレベルと言って良いだろう。

 運転中に「首振りボタン」を押すと、左右約60度の首振り運転が開始される。風量の強弱に関わらず、約25秒かけて一巡する。再度ボタンを押せば、首振り運転が停止する。首振り運転のほかに手動でも、左右に60度、上下に15度の範囲で調節できる。

首振り運転は左右で60度のみ。運転中にボタンを押すだけだ
手動の首振りも左右60度の範囲で可動する(上)。上下は15度の範囲で可動する。左右・上下とも4段階で動く

自然に近い風を生み出すリズム&おやすみモード

「リズム/おやすみ」ボタンを押せば、自動で風量に変化がつけられる。風量3~6のリズムモード(上)、風量2~4のおやすみモードの操作パネルの様子
タイマーを使えば、就寝時に便利だろう

 手動で風量を調節するのもいいが、自動で風量の強さを変えられる「リズムモード」と「おやすみモード」が便利だ。操作は「リズム/おやすみ」ボタンを押すごとに、「リズム」→「おやすみ」→「解除」の順で切り替わる。

 「リズムモード」運転中は赤いランプが点灯し、約20秒の間隔で、風量3~6の間で変化する。強い風は突風が吹き抜けるように加速度的に変化するのが心地良い。夏の日中に特に合うだろう。

 一方「おやすみモード」は、風量の変化が穏やかだ。運転中は、緑色のランプが暗めに点灯し、約30秒の間隔で風量2~4の間で変化する。弱い風がゆったりと長く続き、一瞬だけ風量4の強めの風が吹き、アクセントが加わる印象だ。いずれも首振り運転と併用すれば、より自然に近い風が楽しめる。

 実際に「おやすみモード」+「首振り運転」で就寝した。風切音とモーター音は聞こえるが、ゆったりと変化するためか、さほど気にならない。やや強めの風が一瞬だけ吹いて、寝苦しい夜も気持ち良く、朝までぐっすり眠れた。

 もちろん、リズム・おやすみモード、または一定風量と併用してタイマー運転ができる。こちらも、操作は運転中に「タイマーボタン」を押すだけ。ボタンを押す毎に、1時間→2時間→4時間→8時間→設定オフと切り替わる。それぞれのLEDランプが点灯するので、設定は簡単だ。

 さらに、アロマオイル(別売)を染み込ませた、付属のアロマトレーを前ガードに取り付ければ、お好みの香りを風に乗せて部屋に広げられる。

 消費電力は、DCモーター搭載だけに期待通り低かった。風量1、首振り無しの消費電力が最も低く、たったの1W。最大の風量8でも10Wに過ぎない。首振り運転中の範囲は5~14Wで、しっかりした風が感じられる風量3~5でも7W前後だった。ACモーター(交流)式の扇風機よりも、大幅な電気代の節約ができるだろう。

付属のアロマパッドを前ガードに取り付けた様子。好みのアロマオイルをパッドに数滴染み込ませて使用する
消費電力は1~14W。ACモーターの扇風機よりも確実に電気代が節約できるだろう。ただし待機時も1W電力を消費する

個性が光る、DCモーター搭載の扇風機

掃除の際ガードを外すには、ドライバーで2箇所のネジを外し(左)、2箇所のボタンを押しながら外す。少々手間がかかる

 壁が白色、床や建具、家具は木目調が多い我が家において、DVL-5012LFが持つ硬質な輝きとスッキリとした佇まいは、空間にアクセントを与え、インテリアがキリリと引き締まる印象だ。リズム風と首振り運転の併用で、風も心地良い。

 しかし、欠点はある。ACモーターの扇風機よりは確実に静かで、消費電力も低い。だが、正直言って既に愛用しているDCモーターの扇風機よりも、風切音やモーター音はかなり大きめだ。また、羽根を掃除する際、ガードを外すのにドライバーが必要なのが少々面倒だ。

 とは言うものの、他社製品には見られない「メタル」をふんだんに使用したデザインは、それだけでも十分魅力的だ。首振り運転が60度に固定されていることも含め、少ない操作で備わっている機能を全て使いこなせる簡単さ、わかりやすさも良い。より個性的な彩りが演出できる扇風機としておすすめしたい。

藤原 大蔵