家電製品ミニレビュー

1人分のジュースやスープ、ふりかけを簡単に作れるミルサー

岩谷産業「IFM-6PW-A」

 ジューサーやミキサーをよく使う筆者だが、実は最初に目を引いた製品がある。それが数年前の深夜番組で見たイワタニの「ミルサー」だった。

 お父さんが娘のためにせっせとふりかけを作るシーンが妙に頭に残っているのだが、当時はミルでパウダー状にするものという印象が強かったことや、自分の利用目的が明確ではなかったこともあり、手にする機会はなかった。

 今回ご紹介する新しいミルサー「IFM-6PW(以下、ミルサー6PW)」は、そんな昔抱いたイメージとは大きく異なり、これ1台で、ふりかけ、ジュース、ペースト、スープまで用途が広がっているという。これはぜひ試す必要があるだろう、ということで購入した。

メーカー岩谷産業
製品名IFM-6PW-A
購入場所Amazon.co.jp
購入価格4,874円

コンパクトだがパワフル。 1台で、ふりかけ、ジュース、ペースト、スープまでカバー

 ミルサー6PWは、乾燥食品を粉末状にしたり、果物や野菜を水分と一緒に攪拌することでジュースにしたり、加熱調理済みの食品を使ってペーストやスープが作れる製品だ。

 全体の構成はとてもシンプルで、本体とカップ容器2つ、ミルサーカッター、スイッチカバーがセットになっている。

 本体サイズは、容器とスイッチカバーを取り付けた状態で94×116×264mm(幅×奥行き×高さ)、重さ約1kgになる。取扱説明書のほかに、「健康 ジュース&スープレシピ」も付属する。

セット一式。左から大容器、スイッチカバー、ミルサーカッター、本体、小容器。本体カラーはシャイニーアプリコットとプラチナシルバーがあり、今回は前者を選んだ
本体の裏にはリセットボタンがある
付属品として、取扱説明書と「健康 ジュース&スープレシピ」も同梱される

 一般的なミキサーには鋭利なブレードが採用されているが、ミルサー6PWの場合、刃のないステンレス製の「粉砕プロペラ」が使われているのが大きな特徴だ。これを毎分2万回転させることで食品を叩き砕く。

ミルサーカッター
刃がない
本体とミルサーカッターの接合部

 もう1つの特徴は、付属容器が2つとも電子レンジ加熱に対応している点だ。容器は、75mlのパウダー専門の小容器1個と、液体にも対応した260mlの大容器が用意されている。

容器は電子レンジに対応
大容器は260mlまで
セットするときは、溝をあわせる

 使い方は至ってシンプル。容器に適切な量の食材を入れたら、ミルサーカッターをねじ回して取り付け、逆さまにして本体にセットする。あとは本体と溝が合うようにスイッチカバーをかぶせ、上から押すだけだ。

 押すとスイッチが入ってカッターが回転し、離すと止まる。上から押すタイプのミキサーの中では、スイッチカバーをかぶせる分だけ一手間多くなっているが、ないと作動しないようになっているため、安全性が高いともいえる。

本体の溝にあわせてスイッチカバーをセット
上から押すとスイッチが入る

 調理可能な食品は、煮干し、桜エビ、大豆、コーヒー豆、野菜、果物(牛乳、ドリンクヨーグルト、水などの液体とともに調理)など。ジュース作りの際は角氷を入れることもできる。

 できないのは、野菜のみじん切り、すりおろし、薄切り、千切り、肉類や魚類のミンチ、かき氷、クラッシュアイスなどで、非常に繊維質の多い食品、白いんげん、なた豆、黒豆など堅くて大きい豆類、特に粘り気の強い食品も扱えない。

刃がないのに、なめらかなグリーンスムージーができた!

 使い始めるまでは、刃のないカッターでどこまでできるのか、量的に物足りないのではないかと半信半疑だったが、想像を遙かに上回る出来に驚いてしまった。乾物はパウダー状になり、ジュースは刃がないとは思えないほどなめらかに仕上がるのだ。しかも1人で使うにはちょうどいい量になる。

 まずはふりかけから試してみたが、連続して5回押しただけでちょうどよい具合に。完成まで要した時間はわずか5秒未満だった。あまり細かくしてしまうと、ふりかけそのものの素材の味が混ざってしまうので、5秒でとどめたが、あっけないと感じるほど早い。

小容器に、ごま、小エビ、いわし、鰹節、海苔、塩少々を入れる
上から5回プッシュ
あっという間にふりかけが完成
いい具合に粉砕されている

 続いて、大カップに小松菜とバナナと水を入れて、野菜をたっぷり採れるグリーンスムージーを作ってみたが、こちらは予想を上回るなめらかさになった。バナナはともかく、葉物がこれだけ細かくなるとは思わなかった。口当たりもよく満足のいく仕上がりである。

 カップ容量に限りがあるため、小ぶりのバナナ1本と小松菜の茎と葉4~5本がせいぜいだが、飲みきるにはちょうどよい量が作れるところがいい。スムージーは暑い時期ならゴクゴク飲めても、温かいものが欲しくなる寒い季節に続けるのはちょっと辛くなるかもしれない。しかし、この程度の量なら普通の水で作れば飲めてしまうのだ。

 なお、にんじんやりんごなど固形の材料は、スライス状の薄切りにして容器に入れると塊の残留を防ぎやすい。

材料と水を入れる。ちょっと入れすぎのような気もするが……
様子をみながら断続的にプッシュを繰り返したところ、しっかりグリーンスムージーができた
これは飲みきるのにちょうどよいサイズ!
小松菜とバナナを使ったグリーンスムージー。本体底面に滑り止めがないため、使用する場所によっては滑りやすい。操作中は片手で押さえたほうがいいだろう

 なめらかといえば、我が家定番のごまのドレッシングが、非常にクリーミーになったのにも驚いた。ごまがとことん粉砕されており、皮から中の成分まであますことなく摂取できそうだった。サラダといっしょにごまを“食べる”のが目的のドレッシングなので、この仕上がりは嬉しい限り。これならバジルペーストなどもお手の物だろう。

ごま、グレープシードオイル、みりん、醤油、酢、砂糖、マヨネーズに、薄めに刻んだ玉ねぎとにんじんを入れて、様子をみながらプッシュする
なにもかもが跡形もない。極めて消化のよさそうなドレッシングになった

加熱調理にも対応。じゃがいもスープ作りの最短記録更新か!?

 容器が電子レンジに対応しているのもミルサー6PWの魅力だ。付属の「健康ジュース&スープレシピ」を参考に、茹でたじゃがいもでスープを作ってみたところ、こちらもカップ1杯分の適量サイズが短時間で完成した。

 材料はじゃがいも、牛乳、顆粒コンソメ、バターである。大容器に入れてなめらかにしたあと、電子レンジに入れ、600Wで1分30秒加熱しただけだ。下茹での代わりに電子レンジで2分程度加熱後(別の皿を使用)、なめらかにするのに約1分、電子レンジで1分30秒、合計5分もかからない。これまでの経験を振り返ると、カップ1杯分とはいえ、じゃがいもスープ作りの最短記録といっていいのではないだろうか。身体の調子が悪いとき、消化の良い食事が必要なときは、大助かりだろう。

 なお、粘り気の強いじゃがいもを選ぶと、撹拌中に強いとろみが出て、ミルサー6PWが停止してしまうことがある。これは過負荷を避ける動作なので異常ではないが、うんともすんとも言わなくなる。そんなときは10秒待って、底面のリセットスイッチを押そう。続けて使うときは、牛乳を追加することをお忘れなく。とろみが出過ぎると、だまのもとになりやすいため、じゃがいもはあっさりめの品種を選ぶといいかもしれない。

1カップ分のスープも簡単に
材料を攪拌し、なめらかにする
ミルサーカッターを外したら、電子レンジで加熱
器に移し替えれば完成

長く続けるのにちょうどよいサイズ!

ミルサーで作ったドレッシングと、じゃがいものスープ

 ミルサー6PWは、ミルとミキサーの機能がうまくブレンドされた製品で、筆者が普段作りたいものをすべて作ってくれた。健康のために、食品の“形を変えて”おいしく食べやすくしようというのがミルサーのコンセプトのようだが、まさにその通りといっていい。実際ミルサー6PWが来てからは、こればかり使っている。

 野菜たっぷりのグリーンスムージーを作りたい方にもおすすめだ。なぜなら、できあがるまでの操作がスムーズで、かつおいしく仕上がるからだ。位置合わせを含め、容器に材料を入れてからできあがるまでの過程で、迷って手が止まることはほとんどない。しかも刃がないのでお手入れも楽で、普段の食器を扱う感覚で洗浄できる。これはビギナーにとって嬉しいポイントだろう。

 強いて気になる点があるとすれば、カップが小ぶりなので、手の大きい方は洗いにくいかもしれないという程度である。しかし、カップが小ぶりだからこそ「まだ飲めるかも?」という量になり、飽きたり面倒になったりする心配がないのだ。ミルサー6PWは、健康のことを考えて、バランスの良い食生活を続けたい人の強い味方になるだろう。

すずまり