家電製品ミニレビュー

アイスでもホットでも適温で飲める保冷保温ボックス

夏でも冬でも使える定番製品

「D-CUBE S HR-D206」

 ツインバードの「D-CUBE S HR-D206」は、ペットボトルや缶に入った飲み物を冷やしたり暖めたりする保冷保温ボックスだ。保冷保温の名前の通り、夏は冷やし、冬は暖めるという一人二役ができる製品だ。

 これはペルチェ素子という、電気を通すと片面が冷え、もう一方の面が暖まる部品を使っている。通す電気の方向を変えることで、冷やす方と暖める方が逆になり、保冷と保温を切り替えて使えるのだ。ペルチェ素子は、パソコンのCPUの冷却などにも使われているので、ご存じの方も多いと思う。

 なお、D206が発売されたのは2011年だが、前のモデルは2007年に、このレビューで取り上げられている。基本的な仕様はそのままで、少しずつ改良を加えられながら長く販売されている定番の製品だ。

メーカーツインバード
製品名D-CUBE S HR-D206
希望小売価格15,750円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格7,700円

 希望小売価格は15,750円だが、Amazonでは8,000円前後で販売されている。なお、本体色はグレーとピンクがあり、ピンクの方が安く販売されていることが多い。色にこだわりがなければ、両方の販売価格を確認することをお勧めする。

設置と設定は簡単

 D206は、幅が30cm、奥行きが40cmのスペースが有れば置ける。本体は、もう少し小さいのだが、結露による水漏れを防ぐトレイを敷く必要があるのと、本体背面にある吸排気口をふさいではいけないので、余裕が必要なのだ。また、横方向よりも縦方向にスペースが必要だ。

本体は曲線をまとった複雑な形をしている
本体正面
側面。正面の幅よりも奥行きの方が大きい
裏面。ペルチェ素子用の放熱ファンがある
保冷時は結露した水がこぼれやすいのでトレイ(受け皿)が付属している。奥行きは約30cm
トレイに置いた本体。この状態で使用する

 電源はAC100Vだ。この価格帯の製品には珍しく、ACアダプターではなく、メガネ型の電源コードを本体に直接つなぐ。なお、AC100V以外に自動車のシガーライター電源でも動作する。製品には、両方のケーブルが付属している。

操作パネル。電源はAC/DC両用。ACはアダプターではなく、メガネ型のコードが直接入る
冷却ファンにはホコリ避けのフィルターが付いている
ファンから吸い込まれた空気は、上方向に排気される

 設定は、背面のスイッチで行なう。設定するのは、「温/冷の切り換え」「冷却時の強弱」「電源の種類」の3つだ。冷却時の強弱というのは、「標準(静音)」と「強冷」が選べる。静かさを取るか、強く冷やすのを取るかという選択だ。

 扉はラッチ式で、左側が大きく開く。庫内にある銀色の金属部分がペルチェ素子から熱を伝える部品で、ここが冷たくなったり、熱くなったりする。

扉はラッチ式。閉じるときは扉全体を押すと閉めやすい
扉を開いた状態
内部の奥にペルチェ素子の放熱板が見える
扉の裏側に書かれた取り扱い説明
庫内の奥行きは約15cm
庫内の幅は約16cm

 電源を入れてから、しばらくの間、樹脂が暖まる特有の匂いがする。気になりやすい匂いなので、最初に使うときは周りに人が少ないときを選ぼう。温度が安定すると、匂いはわからなくなる。

ペットボトルなら4本、缶コーヒーなら12本

 庫内には、500mlサイズのペットボトルが4本入る。最近、麦茶やミネラルウォーターでは520mlや600mlという容量のペットボトルもあるが、かなり太く感じる600mlのペットボトルでも問題なく4本入る。

 ただし、庫内の高さは215mmなので、コーラやレモン系飲料によくある、細長く背が高いタイプのペットボトルは少し斜めにしないと入らない。これらは、まっすぐ立たないので4本入らない。

 夏の間は、主にコンビニや自動販売機で買ってきた飲み物を冷やすのに使っていた。冷えている飲み物を保冷するには十分な能力がある。

 室温が28℃の状態でも、「強冷」に設定すれば庫内の温度は8℃まで下がる。室温がやや低い状態であれば、庫内は6℃まで下がる。

 一般的な冷蔵庫の冷蔵室の温度は4℃~6℃なので、D206の庫内の温度は、それより少し高い。また、庫内の温度は、室温の影響を受ける。取扱説明書には、気温が23℃までは「標準」、それ以上は「強冷」に設定するように書かれている。

 試しに、常温のペットボトルを冷やしてみると、だいたい半日ぐらいで冷える。キーンと冷えたというところまではいかないが、冷たいとは感じられる温度にはなる。

保冷時(強冷)時の温度例。気温26℃で「6.3℃」まで下がる
600mlの太いペットボトルでも4本入る
4本入れても、隙間はあるので十分に冷える
一部のコーラやレモン系飲料はペットボトルの背が高いので、まっすぐ立たない

 10月に入ってから、保冷から、保温にスイッチを切り換えた。今度は缶コーヒーを暖める季節だ。

保温時の温度例。「59.9℃」を指している
200mlクラスの小さい缶コーヒーは1段で6個入る
縦に2段積めるので、ちょうど1ダース入る

 200mlサイズの小さな缶コーヒーだと、庫内に6個入る。さらに、縦に2段重ねられるので12個まで入る計算だ。常温の缶コーヒーを暖めるときは、入れてから1日ぐらい置くと飲み頃になる。本数が少ないときは、半日ぐらいでも大丈夫だ。缶コーヒーは、ぬるいとおいしくないので、本数をたくさん入れたときは、丸1日以上置いておくことをお勧めする。

 1時間ほど経つと、庫内の温度は50℃を越える。2時間ほど経つと、ほぼ60℃で安定する。なお、変形や破裂の恐れがあるということで、保温時はペットボトル飲料を入れることが禁じられている。ホット用のペットボトルならば問題ないはずだが、耐熱性の低いコールド用ペットボトルを温めた際の事故を心配しているのだろう。

 24時間動かしっぱなしにしていたが、動作音はあまり気にならなかった。むしろ、夏季は背面からの暖かい排気が周囲に迷惑をかけないように、置き場所をよく考える必要がある。また、運転開始時や、保冷と保温を切り替えた際に発生する匂いにも気をつけたい。

オフィスの飲み物買い置きに最適

 D206は、一見、簡易型の冷蔵庫に見えるが、冷蔵庫ではなくて飲み物を保冷保温するためのボックスだと考えた方が実態に近いし、その用途ならば実用性も高い。

 夏の間は、いつでも冷たいペットボトルが飲めるのでありがたかった。手の届くところにD206があり、いちいち、自動販売機まで行かなくてすむのは思っていた以上に便利だった。

 寒くなってきてからは、缶コーヒーをまとめ買いしておいて、温めて飲める。暖かい缶コーヒーを自動販売機で購入すると1本120円だが、箱単位で買えば、1本当たり70円前後までコストが下がる。

 また、小さいサイズの缶コーヒーは1ダース入るので、お客さんが来た時に、ちょっと出すにも十分な余裕がある。数名の小さい事務所ならば、これが1台あれば、とりあえず不自由しないだろう。

 D206は、個人単位でオフィスに持ち込むにはギリギリの大きさの製品だが、オフィスの気風や環境に配慮しながら、周囲も巻き込むようにすると導入しやすいだろう。

扇風機との大きさ比較
パソコンとの大きさ比較
奥行きが大きいので、少し場所を選ぶ

伊達 浩二