家電製品ミニレビュー
石崎電機製作所「モテナシベーカー SMS-801」
~不器用な男でも楽勝で作れる、焦げ知らずのお手軽ホットサンドメーカー
by 正藤 慶一(2013/4/1 00:00)
家電Watchでは毎日家電の情報を掲載しているが、たまに「何だこれ?」と面食らってしまう製品もある。今回紹介する「MOTENASHIBAKER(モテナシベーカー) SMS-801」も、その1つだ。
家庭用のホットサンドメーカーなのだが、その独特の名前はインパクト十分。しかも商品のリリースには「不器用な男の、ホットサンドですから。」という、本気とも冗談とも受け取れるキャッチコピーも添えられていた。
名前の由来は、“そばにいる人や自分自身を「おもてなし」してほしい”とのこと。前述の「不器用~」のキャッチコピーにも、「不器用男子でも、ラクラク使える」という狙いが込められているようだ。
それならきっと、料理は得意ではない私でも使えるはず。希望小売価格は10,290円だが、ネット通販では4,000円~5,000円台と非常に手軽に買えるので、購入してみた。
メーカー | 石崎電機製作所 |
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製品名 | モテナシベーカー SMS-801 |
希望小売価格 | 10,290円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 4,527円 |
本体は卓上サイズ。プレートを交換してホットサンドにもホットケーキにも
サイズは265×287×118mm(幅×奥行き×高さ)という、小ぶりな卓上タイプ。重さも約1.7kgと、片手でも持ち上げられるほど。カラーは黒とシルバーというモノトーンで、これなら確かに男性の家にあっても浮くことはなさそうだ。
フタを開けると、上フタと台座部にそれぞれ2枚のプレートがセットされている。購入時には、ホットサンド・焼きもち用のプレートがセットされている。このほか、ホットケーキや目玉焼きの調理など、幅広い用途で使える「丸型フリープレート」も付いている。作るメニューに応じて、このプレートを交換するという仕組みだ。両方とも調理スペースが2カ所用意されている。
プレートは本体の取り外しボタンを押せば、簡単に取り外せる。取り外した中には、大きなヒーターがセットされている。もう1度取り付ける場合は、カチっという音が鳴るまでプレートを本体に押し込むだけだ。使わないプレートは、付属品の収納袋に入れておくと良い。
なお、プレートはこれ以外にも、ワッフル用、焼きおにぎり用、たい焼き用、ドーナツ用があり、通販にて購入できる。価格はどれも送料別で1,575円。
あまりに簡単にできるホットサンドは、少ない労力でサイコーの美味しさ
まずは一度、説明書に従ってホットサンドを作ってみよう。ホットサンド用のプレートを本体に取り付け、電源をコンセントに差し込み、上フタ手前にある電源スイッチをONにする。
すると、上フタ奥にある赤い通電ランプと、緑色の加熱ランプが点灯する。加熱ランプ、通電し5~6分後に消灯するが、これが食材投入のサインだ。
ホットサンドで使用できるパンは8枚切り以上の細切りで、6枚切り以下は“肉厚のため使用できません”とのこと。2枚のパンの間に具材を入れるので、プレート1枚当たり、最大4枚のパンが必要になる。パンの耳はあらかじめ切り落としておく必要があるので、最初から耳がないサンドイッチ用のパンを用意しておくほうがラクかもしれない。
最初の具材は、名古屋近辺の喫茶店では定番の「あんこ」と「マーガリン」。特に説明書に載っているわけではないが、簡単そうで、かつ個人的に大好きなのでやってみた。下プレートに置いたパンにあんことマーガリンを塗り、その上にまたパンを重ね、あとは上フタを閉じるだけ。フタにはストッパーが付いているため、これでロックする。
目安の4~5分が過ぎたので、ストッパ―を外し、フタを開ける。すると、こんがりキツネ色に焼きあがったパンが姿を表した。これはどこからどう見ても、ホットサンドそのもの。なお、取り外しは木製の箸を使うと簡単に取り外せる。
味もバッチリだ。トーストはアツアツで、サクッとした食感がたまらない。4辺がギュッと圧着されており、脇から具が溢れる恐れもない。マーガリンは熱で溶けて、ほとんどがパンに吸収されているが、かえって風味が増して美味しい。これは甘党にはたまらない美味しさだ!
続けて、たまごサンド、ツナサンドにも挑戦したが、どれも美味しく、かつ簡単に作れた。何しろ、パンを用意して、具を入れて、挟んで放っておくだけ。労力に対して、得られるメリットが大きすぎる! これならどんな不器用な人でさえ簡単にできるだろう。気をつけるのは溢れない程度に具を入れることくらい。焦げもまったくなかった。
丸型プレートでカフェのようなパンケーキを
続いて、もう1つのプレート「丸型フリープレート」に挑戦。“フリー”という名の通り、ホットケーキから大判焼き、お好み焼きにチヂミなど、さまざまな調理に対応する。プレートには直径10cm程度の凹みがあるだけと、非常にシンプルな作りになっている。
とりあえずいかにも簡単に作れそうなホットケーキに挑戦。ホットケーキミックスに卵と牛乳を混ぜ、少量の油を塗ったプレートの凹みに、生地を流し込む。あとは上フタを閉じるだけだが、生地が膨張するため、ストッパーはロックしない。
約5分後にフタを開けると、小ぶりで可愛らしいホットケーキが2つ、見事にできあがっていた。取り出しは箸を使ってホジホジほじり出せば、簡単に取れる。フライパンで作るホットケーキよりも小さいが、いくつも作って何層にも重ねるという、甘党にはたまらない演出もできる。フライパンで作るような、ホットケーキを裏返しにする作業が要らないし、長く焼いても焦げはほとんどなかったので、これまた誰にでも作れるだろう。
丸型フリープレートでは、「サーモンとクリームチーズのパンケーキサンド」にも挑戦した。これはモテナシベーカーのホームページで公開されているレシピ。何だかオシャレで美味しそうなメニューだ。
作り方は、具材を入れる以外はほとんどホットケーキと同じ。市販のホットケーキミックスを、プレートに少しだけ入れ、そこにスモークサーモン、玉ねぎ、クリームチーズ、コショウを投入。さらにその上に生地を流し、あとは上ぶたを閉じるだけ。これまた簡単にできた。
これもとても美味しく、まるでオシャレなカフェでランチをしているようだ。ただ、生地が甘いホットケーキミックスを使ったのはちょっと失敗だったか。甘くなかったらもっとサーモンとクリームチーズの美味しさが引き出せたかもしれない。
こんな俺でもワッフルが作れたよ!
標準で付属する2つのプレートは以上の通りだが、せっかくバリエーションがあるのだから、別売りのプレートも試してみたい。そこで、ワッフル用のプレートを購入してみた。
別売りのプレートの購入方法は、石崎電機のホームページから購入できる。希望小売価格は前述の通りどれも1,575円だが、別途送料・代引き手数料が掛かる。私の場合、ワッフル用プレート1枚購入で、総額2,625円の負担となった。
ワッフルの調理方法は、本体に付属のオリジナルレシピ集に記されている。しかし、材料が「薄力粉」「ドライイースト」「クレーム・シャンティ」「全卵」「卵黄」「グラニュー糖」「無塩バター」「バニラエッセンス」などなど、やたらと多い。不器用な男には、「クレーム・シャンティ」という名前が出た時点でもうドン引きだ(砂糖や香料を加えた生クリームのこと)。作り方も何だか難しそうだ。
しかし、その隣のページを見ると、「簡単ワッフル」なるレシピもあった。材料は市販のワッフルミックス、牛乳、卵とグラニュー糖程度。これならできそうなので、チャレンジしてみよう。
作り方は、卵とグラニュー糖を混ぜ、そこにワッフルミックスを投入。生地を約10分ほど寝かせた後で焼けばできあがりだ。なお、ワッフルの焼き時間は、表と裏でそれぞれ6分間焼くよう指示されている。
簡単そうに思えたが、一回目の調理でさっそくミス。牛乳を入れすぎたようで生地がゆるゆるになり、しかも生地を入れすぎて、プレートの脇から流れ出てしまった。これは誰がどう見ても明らかな失敗だ。
気を取り直して、生地を固めにし、投入量も控えめにして再チャレンジ。フタを開けると、おおっこれは見事なリエージュ風ワッフル!! サクッとしながらももっちりしている食感は、店で売っているできたてワッフルとまったく同じだ。まさかこんな美味しいものが自宅で作れるなんて……男一人で感動してしまった。
長めに焼いても焦げない。しかも熱くない。
いろいろ作ってみて一番驚いたのが「焦げない」ということ。しっかり焼き目が付いているのに、黒い部分はほとんどない。フライパンでホットケーキを作ると、ちょっと目を話しているうちに焦げてしまうことが何度もあった。しかし、モテナシベーカーでは、わざと長めに10分ほど焼いても、黒コゲになる部分はなかった。それ以上焼くと焦げる可能性はあるかもしれないが、普通に使っているのであれば、焦げとはまったく無縁だろう。
改めて製品のホームページを見てみると、ヒーターには一定温度に達すると加熱をストップするサーモスタットを搭載しているという。また、定格消費電力は800Wで、ヒーターを使う機器にしては控えめだ。ホームページでは「創業八十有余年の業務用電機メーカーが、家庭用マルチサンドベーカーをつくりました」とあるが、石崎電機が培ったノウハウが、この小さな製品の中に込められているのかもしれない。
また、本体やプレートの持ち手部分も、そこまで熱くならない。もちろん加熱するので熱いことは熱いが、持ち手部分に限れば大した熱さではない。よって、通常操作で火傷するなんてことはまったくなかった。
あまり不満点はないが、強いてあげれば、生地があふれた時に本体各所に飛び散った汚れが落としにくいところか。本体は丸洗いできないので、拭き掃除しかできないが、飛び散った生地が熱で本体にこびりついているため、なかなか取れない。こぼさないようにちょうど良い程度で入れればいいじゃん、というのは確かにそうなのだが、その“ちょうど良い”がイマイチわからないのが、不器用な人間ってヤツなのだ。
簡単かつ安全に、誰でも色々な料理が作れる調理家電。ぜひ一度“もてなされて”ほしい
改めて本製品の良さをまとめると、「簡単かつ安全に、誰でもいろんな料理が作れる」ということになるだろう。調理方法はとにかく単純で、不器用だったり料理が苦手な人も説明書やレシピ集を読めば簡単に調理できる。
私の場合、本製品を購入したことで、喫茶店にわざわざ行く機会が少なくなった。ホットサンドやワッフルなどは、喫茶店に行かないとなかなか食べられないが、自宅で作れば安く済むし、自分好みの味付けにもできる。ホットサンドに飽きても、具やプレートを換えればほかの味も楽しめるので、家で喫茶店以上の食事が楽しめている。また、家族でワイワイと調理を楽しむという使い方もできるだろう。
安くて手軽に作れて、しかもミスが少ない調理器具として、自信を持ってお勧めしたい。ぜひ一度使って、モテナシベーカーにもてなされちゃったりしてみてほしい。