家電製品ミニレビュー

東芝「SIENT F-DLN100」

~静かさと自然さが心地良い高級扇風機
by 清水 理史

高級扇風機の魅力

東芝のリビング扇風機「SIENT(F-DLN100)」

 扇風機が苦手? だったら、この東芝の「SIENT(サイエント) F-DLN100」を試してみるといい。

 扇風機独特の「ブーン」とうなる音、直接体に当たるキツイ風とは無縁の静かさで、自然な風は、まるで部屋の2カ所の窓を開けたときに外から流れ込んでくる風のようで、実に心地良い。

 最近では、節電を意識して扇風機を購入する人が増えているとのことだが、こういった最新の高級扇風機を使ってみると、単に節電だけが人気の秘密ではないことがよくわかる。静かで、自然な風を楽しめるのは、まさに扇風機の、いや「高級」扇風機の魅力なのだ。

 節電対策で、エアコンの出番が少なくなりそうなことを考えると、高い実力を持った扇風機を一台用意しておきたいところだ。


メーカー東芝ホームアプライアンス
製品名SIENT F-DLN100
希望小売価格オープンプライス
購入場所ヨドバシカメラ
購入価格25,000円


わずか3Wで運転可能

 というわけでこの夏は、各社、低消費電力、かつ高品質な扇風機がラインナップに加えられてきたが、このSIENT F-DLN100も、東芝の扇風機のハイエンドに位置するモデル。実売価格25,000円前後と、一般的な扇風機に比べると高価だが、その実力はかなり高い。

正面側面
高さは810~1100mmまで調整可能本体付属のリモコン
3W動作時の風は弱いが、イスの後ろなど、近くに置いて使うときは、むしろ心地よい風を楽しめる。音もほぼ無音

 まず、消費電力だが、カタログスペックで3W~20Wと、かなり低く抑えられている。ワットチェッカーを使って、実際の消費電力を計測してみても、首振りアリのフルパワーで動作させても20W、首振りなしの風量最小ならわずか3Wで動作する。

 さすがに3W動作時は、風量が弱いが、仕事場のイスの斜め後ろ2m程度のところに置いて、首振りナシで動作させると、まさに「そよ風」といった感じの、かすかだが、やわらかで自然な風が送られてくる。

 冒頭で触れたように、扇風機独特の直風が苦手という人は、首振りをオンにして、さらに「リズム風」動作に切り替えるといい。従来のACモーターに代えて、DCインバーターモーターを採用したおかげで、なめらかで連続的な回転数制御ができるようになり、自然に近い風の変化を楽しむことができる。

 この状態でも消費電力はわずか7~8W(リズム風の変化による)。しかも、音は、ほぼ無音で、羽根の前に耳を近づけてやっと聞こえる程度。ともすれば、あまりの心地よさに、そのまま寝てしまいそうになるほどだ。

フルパワーでも20W

 もちろん、フル機能、フルパワーで動作させたときの風量も十分だ。リビングの窓際に設置して動作させれば、部屋の反対側の隅でも風を感じられる。

 自然な感覚の風は、エアコンとの併用がとても効果的で、冷たいエアコンの風を自然な涼しさへと演出してくれる効果もある。もちろん、単体で使っても十分なパワーがあるうえ、最大の消費電力も20Wと少ないため、電力事情の厳しい夏場でも頼もしい存在だ。

脱衣所をめがけて通路の向こうから強めに風を送ると、風呂上がりに汗がすぅっとひいていく

 また、風呂上がりに涼むために、浴室の脱衣所の外、通路の反対側に設置して風量7段階のうちの5段階目くらいで動作させると(13W前後)、アツイ日の風呂上がりでも汗がすーっと引いていく。

 こういった使い方をした場合でも、SIENTならではの風のやわらかさや肌に当たる心地よさから、急激に体が冷えるような感覚がなく、とても快適。できれば、脱衣所の天井に据え付けてしまいたいほどだ。

 なお、首振りの角度は、上向き40度(手動20度+自動20度)、下向き16度(手動)で、左右に関しては50/70/90度をスイッチ、またはリモコンの操作によって切り替えることができる。また、切(1/2/4時間)、入(2/4/6時間)のタイマー動作が可能なうえ、消灯モードを使って青色に光るLED表示をオフにすることも可能だ。

 このため、使う場所によって、多彩な設定ができる。今回は、リビング、脱衣所の前、仕事部屋、後述する寝室など、いろいろな場所で使ってみたが、部屋の広さや風を向けたい方向、扇風機までの距離などに合わせて、柔軟な使い方が可能だ。

首の角度は上向き40度(手動20度+自動20度)、下向き16度(手動)で調整可能上下左右の首振りは高級感のある台座部分のスイッチで調整可能。風量はダイヤル式

寝室に最適な静かさ

 それにしても、この扇風機は実に静かだ。

 もちろん、風量を最大にすれば、羽根が風を切る「ファー」という音は聞こえる。しかし、動作を「リズム風」の3段階目(全4段階)あたりにしておくと、風きり音は、5秒に1回ほど、しかもほんの一瞬しかしないため、ほとんど音が気にならないレベルになる。

 この静かさには、独自の7枚羽根も貢献しているのだろう。通常、扇風機の羽根は4枚、もしくは5枚が一般的だが、本製品では7枚、それも薄い羽根が採用されている。これにより、音が押さえ込まれ、しかも肌に当たったときに心地良い、細かな風の制御ができるのだろう。

 寝室で使うなら、このモードが断然いい。音を気にせず、快適な風でぐっすり眠ることができる。

7枚の羽根を使って繊細な風を送ることができる寝室で使うのに最適な静かさ。風が強すぎることもないので、ぐっすり眠れる

 以上、東芝のリビング扇風機「SIENT(F-DLN100)」を実際に使って見たが、この扇風機は、これまでの扇風機のイメージとは違うかなり快適な風を楽しめる製品になっている。

 メタル調のフレームやモノトーンでシンプルな台座など、デザインも素晴らしく、どこに置いてもマッチするが、風の心地よさ、静かさ、パワーと、どの点を取っても秀逸だ。リビング、仕事場、脱衣所、寝室と、どこでも使える実力を備えている。

 これで消費電力も低いのだから、まさに「節電を楽しめる」家電と言っていいのではないだろうか。エアコンに比べたら、価格的にも無理なく買えるレベルなので、この夏の対策用に、ぜひおすすめしたい。






2011年6月22日 00:00