家電製品ミニレビュー

パナソニック「デイカロリ EW-NK50」後編

~達成率がやる気を刺激! 上昇しかけた体重の抑制に成功
by すずまり

改めて日常生活を数字で振り返る

パナソニック「デイカロリ EW-NK50」

 前回は「デイカロリ」のおかげで、大変な運動不足という現実を知ることとなった筆者。

 もう少し具体的に知りたくなったので、特定の作業について運動量を調べてみた。「デイカロリ」は特定の動きに対して単体で計測することはできないため、運動前の数値から運動後の数値を差し引いた値となっている。結果は以下の通り。なお、結果は筆者の例なので、あくまでも参考程度にしていただきたい。

<日常生活編>

・食後の片付け、洗い物(約10分)
消費カロリー 19kcal
歩数     82歩
運動量    0.1Ex
脂肪燃焼量  2.5g

・洗濯物を取り込み、たたみ、しまうなど(約8分)
消費カロリー 17kcal
歩数     154歩
運動量    0.1Ex
脂肪燃焼量  2.2g

 それなりにキビキビ動いているつもりだったが、なんだかめまいがしそうな数字だ。食事の支度も、部屋の掃除も、行動範囲はごくわずか……あえて計測する必要もないだろう。さらに、これは絶対運動量は無に等しいと思われるのが「デスクワーク」。興味本位で一応調べて見ると……

・デスクワーク(椅子に座って資料を読む、パソコンを操作するなどを1時間)
消費カロリー 7kcal
歩数     0歩
運動量    0Ex
脂肪燃焼量  0.7g

 やはりそうですか……。誰がどう考えても当たり前だが、改めて数字で見ると説得力がある。デスクワークの“デス”が違う意味に思えてきた。

あのエクササイズの運動量ってどれくらい?

 そんな生活にカツをを入れるべく、室内でもできそうな有酸素運動として用意した、ステッパー2種、踏み台昇降用のダイエットステップ。しかし気になったのは、「デイカロリが階段に弱い」という点である。そこで、それらの器具を使った場合の運動量がどのような数値を示すのか知りたくなった。となれば、通常のウォーキングや、TVで話題の室内エクササイズも気になってくる。こうなったら全部調べてみよう!

 計測したエクササイズは、「ウォーキング」「サイドステッパー」「ツイスト&シェイプミニ」「ダイエットステップ」「コアリズム 基本プログラム」「ズンバ 20分エクスプレス」の6種類。コアリズムを除き、基本的に20分間である。脈拍測定には、腕に巻ける簡易血圧測定計を利用した。(なお「ズンバ」の詳細は、後日単体でレポート掲載予定。


<歩行・ステップ編>各20分づつ

ウォーキングサイドステッパーツイスト&シェイプミニダイエットステップ
運動直後の脈拍数96/分89/分92/分90/分
消費カロリー76kcal61kcal51kal59kcal
歩数2,115歩2,963歩2,630歩2,233歩
運動量1.4Ex1.2Ex0.6Ex1.3Ex
脂肪燃焼量10.6g8.2g6.8g8.1g

「サイドステッパー」の使用イメージ。片足ずつシーソーのように上下に動かす。ひねりは入らない「ツイスト&シェイプ ミニ」の使用イメージ。片足ずつシーソーのように上下に動かす。踏み込んだ際に腰にややひねりが入る「ダイエットステップ」の使用イメージ。ダンボール製の踏み台に片足ずつ昇っては降りるを繰り返す。多少前後の移動が加わる


「サイドステッパー」は肩幅に開いた足を交互に踏み込むだけ「ツイスト&シェイプ ミニ」は踏み込んだあと、ややひねりが加わる。ゴムバンド付き


<ダンス系エクササイズ編>

コアリズム 基本プログラム(約38分)ズンバ 20分間エクスプレス(20分)
運動直後の脈拍数90/分81/分
消費カロリー161kcal103kcal
歩数4,675歩2,545歩
運動量3.2Ex1.7Ex
脂肪燃焼量21.5g13.8g

 

 以上、室内で可能なエクササイズを「デイカロリ」で測定してみたわけだが、なかなか興味深い結果となった。息の切れ方や疲れから考えると、ステッパー系のほうが負荷が高そうな気もするのだが、「デイカロリ」から見た場合、やはり物理的な場所の移動を伴うせいか、運動量(Ex)としては「ウォーキング」が高めな結果となっている。

 同様に、前後左右の動きを伴うダンス系の「コアリズム」や「ズンバ」もなかなかの結果だ。しかし、同じ20分間のエクササイズとしては、ウォーキングやステッパー系と比べて思ったほど運動量がカウントされていないというのには驚いた。実際には腕を振るなど、ダンス系は全身を使ったエクササイズであり、ウォーキングやステッパーでは鍛えられない部位も多く含むため単純に比較できないだろうが、「デイカロリ」だとそうなるか、という感じである。

「コアリズム」は通販番組で話題になった、ウエストと引き締められるラテンダンス系エクササイズ。「基本プログラム」を実践「ズンバ」は多彩なジャンルのダンスを取り入れた、ラテンダンス系のエクササイズ。「20分間エクスプレス」を実践

 できれば「METs」でも知りたいところだが、「デイカロリ」のMETs表示は12秒ごとに更新されてしまうため、数字をメモしているうちに安静状態に戻ってしまう。ある瞬間の値を記録できる機能があるとありがたい。


達成率100%を目指したら、それなりの効果が出た!

 いよいよ本気を出さねばならないときが来た。ウォーキングがいいことは分かったが、今回は出かけないことが前提なのだ。外出の機会があれば積極的に歩くとして、あとは「デイカロリ」が教えてくれる達成率をこまめにチェックしながら、毎日活動による消費カロリー100%達成を目指し、体調に合わせて前述のエクササイズの中から、なんらかの運動を選択しては実践することにした。

 3月に入ってからしばらくは、自然に任せていたため体重にはほとんど変化はなかったが、存在に慣れてくると、9日あたりからかなり数字を意識しだした。100%には達しないものの、食事の内容を見直すようになり、ステッパーを踏むようになっていた。すると、グラフが下降線をたどり始めたではないか!

目標まであと少しだと分かると、ステッパーを使ってカロリーを消費してしまおうと思う

 それを見ていよいよ本気で100%をめざし始めたのが3月17日だ。やはりグラフの力は大きい。こまめに「デイカロリ」とにらめっこしつつ、足りないと思えばダイエットステップやステッパーを引っ張り出し、ほぼ毎日20分間のエクササイズに励んでみた。

 17日から22日まで、連続6日間100%超えを達成。3月23日は体調不良で残念ながら55%。24日から復活し、26日まで連続3日100%超え。その結果、月末までの15日間で100%以上になった日は11日間となった。食事制限目標は、1,500~1,600kcal程度で抑えられたらOKと考えていたので、こちらも全日ではないが、概ねクリアした。

 するとどうだろう。57kg台で推移していた体重が、「デイカロリ」とまじめに向き合い出してから56kg台に収まりはじめた! 3月17日時点で体重56.45kg、体脂肪率は27.3%だったが、31日は体重56.15kg、体脂肪率は26.5%。この間、瞬間的に体重が55kg台、体脂肪率が25%台まで落ちたこともあった。1カ月で0.5kg落とすことを目標にした消費カロリーゆえに、2週間という期間を考えれば上出来ではないだろうか。

 しかも全身の筋肉量は17日に38.60kgだったが、月末には約39kgに増えている。体脂肪率が減って筋肉量が増えたのだから、体重そのものの下げ幅が少なくても全然気にならない、というより、むしろ喜んでいいような気がする。何よりも再びやる気になれたのが嬉しかった。

「デイカロリ」をまじめに意識し出してから、グラフのカーブが変わってきた運動と摂取カロリーを意識し始めたせいか、上下はあるものの、体重が減り始めているのが分かる


常に運動を意識させてくれるのが「デイカロリ」のメリット

 腰につけた状態で見やすいこともあり、折に触れて見るようになる……それが「デイカロリ」だ。消費カロリーが分かっても、それでなんとなく終わってしまうかもしれない。下手をすれば、「200kcal消費したなら、それに見合う分は食べていいんじゃ? とりあえず今日はチャラってことで、明日からまた頑張ればいいよね……」なんて言い訳を自分に与えてしまいかねない。

 しかし、目標にまだ到達しておらず、あとどれくらい運動すればいいかを教えられると、意識的に何かしなくてはという気になり、なんとか100%を目指そうという意欲が沸いてきた。95%のままその日が終わろうものなら気持ち悪くて仕方ない。「あと5%分、ダイエットステップをやろう!」と本気で考え、即実践できた。

 ユニークだと思ったのは、午前0時になったからといって、いきなり表示がリセットされて切り替わるわけではない点。見たところ午前2時が境界線らしい。午前0時でデータを切り替えるのではなく、就寝ギリギリまでを1日の活動量としてカウントしようという心意気が感じられる。

 なお、「デイカロリ」を付けたからといって、それだけで痩せるわけではないという点はしっかり認識しておきたい。「デイカロリ」はあくまでも情報を提供してくれるだけで、実際の活動内容や、カロリーコントロールは利用者に委ねられている。利用者が能動的に動かない限り、数字は変わらないので注意しよう。


運動継続の後押しになり得る! しかしクリップは改善の余地あり

 「デイカロリ」は想像以上に手応えを感じられた。普段の平均が460kcal程度だったことを考えると、毎月0.5kgずつ減らすための目標「502kcal/日」(途中から556kcal/日になったが)にプラスすべき運動量は100kcal程だ。買い物による歩行などで運動を補えば、1日20分程度の室内エクササイズでも十分だった。無理のない目標設定だったというのも、功を奏したのかもしれない。

 階段が苦手だというが、全く計測できないわけではないことも分かった。歩数などは信用していいレベルと思われる。運動量は少なめにカウントされているかもしれないが、もしそうなら数値以上の効果が得られていると思えばお得にも思える。

片側だけ隙間が広がってしまったクリップ

 ただし、クリップには少々泣かされた。まず利用開始時は固すぎて、部屋着のウエスト部分や、ジーンズのポケットに取り付けるのに苦労した。特にウエストがゴム製のハーフパンツや、少々厚手の布になるとなかなか挟めなかったのだ。クリップの隙間に無理矢理押し込むような形で取り付けることがよくあった。

 取り付けに難儀していたかと思っていたら、何度も脱着を繰り返したせいか、気がつくとクリップの片側だけが開いてしまい、そこからスルリと抜けて落下するようになった。取り付ける際に片側からスライドさせていたためと思われるが、金属製だけに一度開いてしまうと元に戻せない。付属品のストラップでも固定していたため、幸い地面に落下させることは一度もなかったが、使用開始1カ月後くらいには、ぶら下がった状態に気づいたことは何度もあった。ポケットに入れられるタイプではないため、クリップが壊れると使えなくなってしまう。利用頻度が高いものだけに、このあたりはなんとか対処していただけると幸いだ。

 データに関しては、食事日記の存在感がいま1つ薄いのが気になった。その他のデータと同じレベルで記録、参照できると嬉しい。また、1日ずつ過去に遡るのが大変なので、履歴確認時の表示時間も少々長くしてもらえるとありがたい。バーコードを生成し、携帯電話などでデータをテキストとして読み取るなど、なんらかの形で連携できると、パソコンでも利用可能になって管理しやすくなるのではないだろうか。グラフ化しやすい携帯電話用のアプリがあっても面白いかもしれない。


 「デイカロリ」は痩せようと思って行動するのではなく、数値目標を達成しようとがんばっているうちに、シェイプアップができている!? というアイテムなので、動く動機付けや後押しが欲しい方にはピッタリだ。体の変化を把握しながら続けるためにも、体組成計と組み合わせて使用すると、より楽しくなるのではないかと思われる。





2010年4月12日 00:00