家電製品ミニレビュー
新生活にぴったりな無印良品のキッチン家電を大解剖!!
2017年2月22日 07:00
今回は、プロダクトデザイナーの深澤直人氏がデザインを監修した、無印良品のキッチン家電4点を一度に紹介しよう。「しゃもじ置き付き炊飯器・3合」、「ポップアップトースター」、「電気ケトル」、そして「ジューサーミキサー(ミル機能付)」だ。
メーカー名 | 無印良品 | |||
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製品名 | しゃもじ置き付き炊飯器・3合 | ポップアップトースター | 電気ケトル | ジューサーミキサー(ミル機能付) |
実売価格 | 9,800円 | 5,900円 | 5,500円 | 4,900円 |
いずれも昔から当たり前のように生活の中にあるものばかり。だが、今回紹介するキッチン家電は、どれもシンプルながら親しみやすく、丸みを帯びた落ち着いたデザインがとても印象的だ。本体表面は樹脂製ながらも、白磁器のような仕上げに包まれており、手にしっくりと馴染む。
機能を必要最小限に絞り込んでいるのも特徴的だろう。一度使ったら、迷いなくすぐに使いこなせるものばかり。しかもコンパクトなので、棚にもテーブルにも難なく置けてしまう。
ここから、それぞれを実際に使いレポートしていこう。
テーブルの上で炊飯してもまるで違和感の無い 「しゃもじ置き付き炊飯器」
炊飯器の大きさは、208x254x186mm(幅x奥行x高さ)で、重さは2.4kg。リール式のコードの長さは約1m。脱着式の内釜の内径は約160x100mm(直径x深さ)で、釜内での洗米もOK。厚みは1.7mmもあるが、軽く扱いやすい。
炊き方に応じた2つの水加減の目盛りが表示され、洗米後もハッキリと読みとりやすい。内蓋は手前に引っ張れば簡単に外れるので、手入れも簡単だ。しゃもじと計量カップが付属する。
炊飯方式はマイコン式で、白米・無洗米炊飯はもちろん、玄米、発芽玄米、カレー用、おかゆも調理できる。コンパクトながらも、様々な食生活に対応しており、タイマー炊飯、保温もできる。操作部もわかりやすい。
白米調理時の最小炊飯量は0.5合で、最大3合まで。玄米(2合まで)やおかゆ(1合まで)など、炊き方によって最大炊飯量が異なる。
0.5、1、2、3合と、白米の量を変えて炊飯した。それぞれを食べ比べてみると、1~2合のバランスが特に良かった。ふっくらと炊き上がり、甘みも感じられ美味しい。ごはん茶碗1膳分の0.5合も美味しく炊けた。
ただし、最大量の3合を炊飯した時は、炊きムラが気になった。3合が炊き上がった時、ごはんが内鍋のフチ近くまでカサが増し、底の方はかなり水っぽい印象に仕上がってしまった。これは、火力となる最大消費電力が一律377W(実測値)で、内鍋の径が小さく、十分に対流しなかったせいだと考えられる。
炊飯時間はお米の量が増えるとともに、時間も長くなる。炊き上がるまでの時間は、0.5、1、2、3合の順に41分、41分、48分、54分だった。消費電力量は、0.5合と1合が0.05kwh、2合は0.10kwhで、3合では0.13kwhだった。
表示部には、炊き上がり13分前から「炊き上がり時間」を表示してくれる。炊飯が終わると同時に自動で保温に切り替わり、表示も保温経過時間に切り替わる。
これは便利だな、と感じたのは、しゃもじの置き場所に困らない点だ。蓋を開け、ごはんを装い、蓋を閉め、しゃもじを置く、という一連の流れが淀みなくできる。
コンパクトで主張しないデザインなので、お櫃のように食卓の上に載せても場所をさほどとらない。蒸気も盛大に上がらないタイプの炊飯器なので、食卓の上で炊飯するような使い方をしても現実的だ。
少量でも美味しく炊けるので、少人数の家族や、1~2合炊いて一度に炊きたてを食べきってしまうような使い方が向いているだろう。
家具や器との調和も素敵な「電気ケトル」
次は電気ケトル。大きさは205x155x195mm(幅x奥行x高さ)で、電源ベースも含む重さは1.1kg。コードの長さは約1.4mで、電源ベースの底に巻けばコードの長さが調整できる。お湯が沸かせる最大量は500ml。コーヒーならば、マグカップ2杯分の量に値する。
使う前からいいなと思ったのは、電源ベースの安定性が良い点だ。ベースにある程度重さがあり、コードも柔らかくしなやかなものを使っているので、ケトルを外してもコードの反発で電源ベースが持ち上がるような事がまるで起こらなかった。巻取りもラクにできる。
使い方はとても簡単だ。蓋を開けて、別の容器からケトルに水を入れ、着脱式の蓋をパチンと閉める。内側に目盛りがあるので、水量もわかりやすい。ケトルを電源ベースに置き、電源スイッチを押し下げれば電源がオンになる。通電中は、電源ランプが本体の内側から赤く点灯するのでわかりやすい。お湯が沸くやいなや、自動的に電源スイッチがパチンと切れる。
水温9℃の水を沸かしてみたが、満水の500mlは3分30秒、200mlならたった1分30秒で沸騰した。食器などの準備をしている間に沸いてしまうほどの速さだ。実測の消費電力は1,140Wと、火力が強い。
お湯を注ぐ時は、蓋の中央にある「給湯ロックレバー」を解除する。本体の傾け方に合わせて湯量が変わるので、コントロールも自在にできた。幅広の湯注ぎ口にもかかわらず、細くゆっくりとお湯が注げるので、コーヒーのドリップも上手にできた。
安全面にもちゃんと配慮されている。給湯ロックレバーを解除しない限り、傾けてもお湯が一滴も出てこないほど密閉性も高い。万が一倒してもお湯がこぼれにくい作りになっている。また、本体は2重構造の樹脂性なので、沸騰したお湯が入っていても、本体の外側はほんのり温かい程度。本体に肌が触れてもヤケドの心配が少ないので、食卓の上でも使いやすい。
何と言っても、デザインが秀悦だ。電源ベースの形状も含み、水差しのような静かな佇まいが、洋食器はもちろん和食器の側に置いても調和が取れる。こんな電気ケトル、他にあっただろうか。
アツアツのトーストを食卓で「ポップアップトースター」
ポップアップトースターの大きさは、250x165x195mm(幅x奥行x高さ)で、重さは1.1kg。電源コードの長さは約1.4m。底には取り外しのできる「パンくず受け」がある。
操作部は一般的なポップアップトースターと同様、とてもシンプルだ。セットレバー、焼き色調整のツマミの他、取消と冷凍パン専用のボタンもある。迷い無く使えるだろう。内部に電熱線のヒーターが組み込まれているタイプだ。
調理できるパンの大きさの範囲は、幅は100mm以上~125mm以下で、高さも100mm以上~125mm以下。厚さは15mm以上~30mm以下で、一般的な食パンの8枚切りから、分厚い4枚切りまで対応する。市販のイングリッシュマフィンは厚みが30mm以下なので、そのまま温めることもできる。
焼き色はコントロールしやすく、安定している。焼き色を「3」に固定したまま、8枚切り、6枚切り、4枚切り、マフィンを焼いてみたが(本体を20分冷ましてから順に焼いた)、焼きあがるまでの時間は2分10秒~2分15秒と、パンの厚さが変わっても大きく変わらない。
調理時間が変わらないかわりに、パンが厚くなるほどパンの表面がヒーターに近づくので、厚いパンほど焼き色は濃い目になる。トースト中は内部の網がパンをはさみ込むので、焼きムラも少なく、反りもできにくい。
仕上がりは大満足だ。トーストの外側はパリッパリのサックサクで、中はしっとりふっくら。ポップアップトースターでトーストしたほうが、ヘタなオーブントースターで焼くよりも美味しいと感じた。消費電力は900Wと火力が強く、短時間でサッと焼くからだろう。
冷凍パンも同じように美味しいトーストが焼きあがる。操作は簡単で、セットレバーを下げて、「冷凍パン」のボタンを押すだけだ。できあがりまでの時間は10秒~20秒長くなる程度なので、冷凍していても思いのほか早く焼きあがる印象だった。焼きあがったものは、外はパリっと、中はふっくらで美味しい。
ポップアップトースターも、上記のキッチン家電同様に調理中も本体がまるで熱くならない。食卓の上で焼いて、アッツアツのトーストが楽しみやすい。また、背の低いパンやマフィンなどを焼いても、セットレバーのリフトアップ機能を使えば、金属面に触れずに取りだせる工夫もある。
ボタンを1個押すだけの簡単操作「ジューサーミキサー(ミル機能付)」
数あるジューサーミキサーの中で、無印良品のものはかなりコンパクトな印象だ。ミキサー時の大きさは、145x116x284mm(幅x奥行x高さ)、ミルの時は、116x116x242mm。ミキサーボトルもミルカップのどちらもプラスチック製なので、本体に取り付けても軽い。
ミキサーボトル時でも0.97kgなので、しまっていても取り出しやすく、扱いやすい重さと言えるだろう。電源コードの長さは約1.2m。ミキサーの定格容量は400mlで、ミルは75mlだ。
ミキサー、ミルの刃の傾きが水平に近いので、刃の取り外しができないタイプであっても案外洗いやすい。ただしそのぶん、ミキサーでも氷や冷凍食品の粉砕、みじん切りやすりおろしなどには向かない。ミルも同様に、固い固形物や繊維質の強いものには向かない。
ミキサーはあくまでも水分量の多いジュースやスムージーの調理、ミルはコーヒー豆や茶葉、煮干しなどの粉砕に向いている。
操作は本体の「FLASH(フラッシュ)」ボタンを押している間だけ作動する。本体にはボトル/カップ台検知装置があり、ボトル及びカップの●印が、本体の●印と合わないと動作しないよう、安全面に配慮されている。
実際に、スムージーを作ってみた。材料は、牛乳とヨーグルトを100mlに、小バナナ1本、冷凍イチゴ適量に、アイスキューブを4~5個。水分量が多ければ、氷を入れてもOKだ。水分の多いもの→柔らかいもの→固いものの順に入れて蓋をし、本体と蓋を押さえながら、フラッシュボタンを押すだけで調理がスタートする。
たった20~30秒ほどで、ヒンヤリと冷たい400mlのバナナ&ストロベリーミルクスムージーが完成した。2人分にはちょうどよい量だろう。氷も程よく細かくなっていた。冷たくてとても美味しい。
ミルも実用的だった。カップのmaxラインまでコーヒー豆を入れた量は、コーヒーメジャースプーンでちょうど4杯分。たったの15秒で、豆はドリップに適した挽き方になった。挽きたての豆は良く膨らみ、味わい深いコーヒーが淹れられた。煮干しも粉砕してみたが、やはり15秒ほどで粉状に粉砕された。こちらは、カルシウムたっぷりの味噌汁への活用や、自家製ふりかけに応用するのもいいだろう。
ボトル及びカップはパーツが少なく、スポンジも届く深さなので、洗う時も簡単だった。軽いので、他の食器と一緒に洗って、まとめて洗いカゴにも入れやすい。手入れが簡単なので、毎日気軽に使えるだろう。
誰もが使える、親しみやすいキッチン家電
生活空間の中に置いて実際に使ってみて感じるのは、ごはんを炊く、トーストを焼く、お湯を沸かす、コーヒーを淹れる…という、どうってことのない日常風景に、スッと入り込むような奥ゆかしさだった。食卓の側の棚にも収まりが良く、使っていない時に目に触れても、家具や食器との調和が取りやすいのも魅力的だ。
実は、今回紹介した4つのキッチン家電は、いずれも2014年に発売をスタートしたもの。にもかかわらず、古臭さは微塵もなく、価格も良心的だ。必要最低限の機能が絞り込まれているので、使い方はいずれも至極簡単。誰にでも使いこなせるだろう。
新生活を始める人はもちろん、使い勝手が良く、扱いの簡単なキッチンツールをお探しの方にもピッタリだろう。