家電製品ロングレビュー
スマホのアクセサリー感覚で使いこなす! シャープの「インテリアホン」
by すずまり(2013/12/4 00:00)
携帯電話の出荷数は、2011年以降スマートフォンが50%を超え、ユーザー数が拡大している。少し前までは、20~30代が中心だったのが、10代はもちろん、40、50代までも当たり前のように、スマートフォンを使うようになって、固定電話、いわゆるイエデンは益々陰をひそめている。筆者のまわりでも、イエデンを持つ人がずいぶん少なく、子供がいる家庭でも電話回線を引かないというのが、増えてきているようだ。
そんなイエデンの固定概念を覆すような電話が、今回紹介するシャープのインテリアホンだ。スマートフォンにかかってきた電話をイエデンで取る、家の子機からスマートフォンの回線で発信することも可能。つまり、自宅に固定回線がなくても、使いこなせる電話機なのだ!!
メーカー名 | シャープ |
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製品名 | インテリアホン JD-BC1CW(子機2台タイプ) |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 18,103円(子機1台タイプのJD-BC1CLは10,399円) |
インテリアホンにキュートな新バージョン登場!
インテリアホンは、スマートフォンをBluetoothでペアリングしておけば、自宅にいるときにスマートフォンにかかってきた電話が自動でインテリアホンに転送され、インテリアホンの子機で通話できるというもの。
実際、使ってみると、便利なシーンがたくさんあった。たとえば、スマートフォンのマナーモードを解除し忘れていても、鞄の奥底に入れっぱなしでも、部屋においてある子機の着信音で着信にしっかり気づけるようになった。
着信に気づきつつ、スマートフォンが手元にないことや、マナーモードのままだったことにも気づけて一石二鳥。さらに、子機を使えばスマートフォンを充電中でも通話がしやすいうえ、グリップしやすい形状なので、長時間電話しても手が疲れにくいというメリットも。
そのインテリアホンに新しいバージョン「JD-BC1CL/CW」が登場したという。「今度のインテリアホンはなにやら小さくなって、しっぽが生えている!?」ということで、その真相を知るべく試してみた。
かわいらしいデザインとカラーにアゲ!
インテリアホンには、フォトフレーム機能付きの「JD-4C2CL」という製品もあるが、今回の「JD-BC1CLCW」は電話機能に絞り込んだスタンダードモデルとなる。
1台につき、登録できるスマートフォンは2台で、連携に際して特別な機器や、スマートフォン側に専用アプリなどは不要。親機の専用ボタンを長押しするだけで簡単に接続でき、親機と半径約10m以内でスマートフォンの着信を子機でとれるほか、子機からスマートフォン経由で携帯電話回線で発信もできる。
色は「バニラホワイト」「ターコイズブルー」「ダークブラウン」の3色。今回購入したのは、「ターコイズブルー」だが、とてもコンパクトかつポップな色で一目惚れ! デスクサイドに置きやすいうえ、明るく優しい色が気分を上げてくれる。
子機1台タイプの「JD-BC1CL」も用意されているが、今回はあえて子機2台がセットになった「JD-BC1CW」を選んだ。パッケージには、親機1台、子機2台、子機用充電器1個、子機用充電池2個、ACアダプター2個、電話機コード1本(約1.5m)、取扱説明書が入っている。電話機の形をしているのが子機で、セットしているホルダー部分が親機だ。サイズは、親機のみで131×72×83mm(幅×奥行き×高さ)、子機をセットした状態では131×72×168mm(同)となっている。
温度も測れる新モデルは、センサーがしっぽみたいでかわいい!
親機には、4.3cm四方のディスプレイと、スマートフォン連携用の「Bluetooth登録ボタン」が2つ、「表示切替ボタン」が1つついている。そのほかには、電話機コード接続端子、ACアダプター接続端子、温度センサーがある。
そう。この電話機は室温も測れるという特徴があるのだ。親機の底面を見ると先端の丸いコードが入っているが、これが温度センサー。引っ張り出してみると、なにやら丸いしっぽが生えたような状態に。そのカラーと相まって、キャラクターのような愛らしさがある。
親機側でできるのは、スマートフォンの登録とディスプレイの表示切替だけで、基本的な操作はすべて子機で行なう。一般的な固定電話機の子機とほぼ同じなので、充電さえすればすぐに使えるが、発信に関しては少し特徴がある。
固定電話回線と携帯電話回線の両方が使いやすいように、あらかじめボタンで分けられているのだ。受話器のアイコンがついた「通話ボタン」が固定電話回線用、携帯電話のアイコンがついた「携帯電話ボタン」が携帯電話回線用になっており、発信する際は、かけたい回線のボタンを押して、発信音が聞こえたら番号を指定するという順番になる。子機はフル充電(10時間充電)状態で、最大約7時間の連続通話が可能だ。
設定はとにかく簡単。親機にACアダプターと家の電話回線コードを差し込み、子機に付属の充電池を入れ、子機の「メニュー」ボタンから日時を設定すればおしまいだ。
固定電話回線がなくても、使える!
「JD-BC1CW」のキモとも言えるスマートフォンとのBluetooth接続だが、長押しするだけで、簡単にペアリングできる「Bluetooth登録ボタン」があるので安心。登録したいスマートフォンの設定を開いてBluetoothを有効にしたら、「Bluetooth登録ボタン」の「1」または「2」をディスプレイのアイコンが点滅するまで長押しする。するとスマートフォン側に機器として「JD-BC1」と表示されるので、タップすれば完了。無事ペアリングが完了すると、親機側のディスプレイに携帯電話のアイコンが表示される。
以上で、基本的な準備は完了である。箱から取り出して子機に電池をセットし、すべての設定が終わるまで、10分もかからないで終わる。
もうひとつ覚えておきたいのが、固定電話回線がなくても、スマートフォンと連携して使えるということ。電話回線コードを挿さなくてもペアリングできるし、スマートフォンを通じた発着信が可能。いわゆるスマートフォンのBluetooth周辺機器としても使えるというわけだ。
Android端末なら、電話帳も転送できる
電話機を買ったときに一騒動なのは電話帳の作成だろう。「JD-BC1CL/CW」には最大250件までアドレスを登録できるが、Android端末と連携させているなら、電話帳の転送も可能だ。1件ずつの送信に限られるのは少々手間だが、案外使わないデータも多いはず。しっかり認識しておきたい相手を選んで送信しておけば、子機から相手を選ぶときに楽になるはずだ。
筆者の端末では送信したい相手のアドレス帳を開き、メニューの「共有」で「Bluetooth」を選択したら、送信先の機器として「JD-BC1」を選べば送信できた。赤外線通信ではないので注意しよう。
携帯電話回線でも、固定電話のように通話できる
これまで電話機を置いていた場所にインテリアホンを置いてみると、コンパクトで場所をとらないのはもちろん、全体的に丸いフォルムで、とても優しい印象だ。筆者は電話機をシンプルにしたくて、大きなFAX電話機の利用を止めた経緯があるため、このスッキリと軟らかいデザインは好印象!
日時を設定しておくと、親機のディスプレイで常に時間が確認できて便利だ。表示切替ボタンを押すと現在の室温も確認できる。表示が気になる場合は、時間や室温の表示をオフにすることもできる。
Bluetooth連携の安定性も高い。一度スマートフォンの連携をしてしまえば、その後の接続は自動的に行われるので、わざわざ再接続する必要もない。設置場所に戻れば自動的に接続し、途中で切れたりすることもなかった。このあたりが不安定だと後々の使用感に大きく影響するが、今のところその心配もない。
着信動作だが、「1」に登録したスマートフォンに着信すると、親機のディスプレイでは1番のアイコンが点滅し、子機では“Mobile”の頭文字を取った「M1」という文字が点滅する。固定電話に着信した場合は、親機なら家のアイコンが点滅、子機ではHOMEを表す「H」が点滅する。ナンバー・ディスプレイを契約し、子機にアドレス帳が設定されている場合は名前を、アドレス帳がない場合は番号を表示するので、誰からかかってきたかがすぐ分かる。
着信音は、3回線分それぞれ違っており、固定電話宛なら「プルルル プルルル」、携帯1は「ポロロロ ポロロロ」、携帯2は「ピロン ピロン」と鳴る。最初は区別しにくいかもしれないが、ディスプレイとあわせて使っていくうちにすぐに覚える。けたたましさがないところも気に入っている。
登録したスマートフォンの名称まで表示されないのは残念だが、ディスプレイのサイズを考えれば仕方ないだろう。なお、何を登録したか分からなくなったというときは、子機の「メニュー」ボタンから「Bluetooth」を選んで「セツゾクセッテイ」を開くと、登録済みの端末名が確認できる。
便利なのが、子機を持ち上げるだけで電話がとれる「クイック通話」設定。子機を親機に戻すだけで終話もできるので、手間いらずである。筆者の場合、スマートフォン画面に表示される「応答」と「拒否」を間違えてタップしてしまうことがあり、あわててかけ直して平謝りすることも。受話器を持ち上げるだけで通話可能なら、そんな失礼もなくなる。この辺りの使い勝手は、固定電話ならではで、使いやすい。
通話しながら、スマートフォン操作できる
話しやすさに関してもスマートフォンより、一枚も二枚も上手! 握りやすいので手が疲れにくいのはもちろんだが、子機で通話すると、一部のキャリアを除いて、携帯回線を利用しながらスマートフォンの操作ができるという点も見逃せない。データを読みながらの打ち合わせ、スケジュールを確認しながら日程相談など、同時にできると嬉しいことはさまざまあるだろう。一人でいるならスピーカーを使えばいいかもしれないが、相手の声を漏らしたくないときは、強い味方になるはずである。
なお、子機から発信する際は、固定回線からか、携帯電話回線からかを選択できる。固定回線を使うときは、「通話ボタン」を押してからダイヤルする。携帯電話回線を使うときは、ダイヤル後に固定回線か携帯電話回線を選ぶ。かける相手によって料金がお得になる場合もあるが、このとき端末を持ち替えなくても、子機1台で選べるというのは楽だ。
2台の子機で、スマートフォンの電話がより受けやすく!
「JD-BC1CW」には、子機が2つついている。当初一人暮らしで2つも子機はいらないだろうと思っていたが、自分がよくいる場所に設置しておくと、手元にスマートフォンがなくても電話に出られると気づいた。
よくあるのは、スマートフォンは仕事場に置きっぱなしだが、自分は台所にいるというケース。そんなとき、仕事場と台所に1台ずつ設置しておけば、わざわざ移動しなくても電話にでることができるのでありがたい。特に手が少々汚れているようなときは、スマートフォンのディスプレイを触るのはためらわれる。そんなときでも子機の「クイック通話」なら持ち上げるだけで出られて大助かりなのだ。
また、1台は固定電話で話していても、もう1台では携帯電話回線へと繋ぐことで、2回線同時に使える。1人で2回線同時に使うことは考えにくいが、自分以外の家族と共有している場合は便利かもしれない。
見た目もかわいらしく、機能が非常にシンプルなので、あれもこれも覚えなくては、うまく使いこなせないのでは? という心理的ハードルがとても低いのが魅力だ。繰り返しになるが、固定電話回線はなくても使えるというのもユニークである。
スマートフォンがあるから、固定電話には興味ないという人にこそ、知ってもらいたい製品。スマートフォン充電中の通話や、長時間の通話の時に感じる疲れ、ついついバッグの中に置きっ放しにして気がつくと増えている不在着信など……スマートフォンのヘビーユーザーなら誰でも思い当たる不満が「JD-BC1CL/CW」によって、一挙に解決される。