家電製品ミニレビュー

シャープ「インテリアホン JD-4C2CL」

~自宅の固定電話でスマートフォンの着信・発信ができる!

マナーモード、解除し忘れたままになってませんか?

インテリアホン JD-4C2CL

 フィーチャーフォン時代、過去高い頻度でやりつづけた失敗がある。「マナーモードにしたまま解除し忘れる」というやつだ。そういうときに限って電話がかかってきたりするのだが、解除していないうえにバッグの中に入れっぱなしだったりして全く気づかない。午後イチでかかってきていた電話に、夜気づいたりすることもあった。

 スマートフォンに変わった現在では、目覚まし、メール、ブラウジング、スケジュール確認、メモ、読書、タイマーとあらゆるシーンで活用しているため、バッグに入れっぱなしにして忘れるということはさすがになくなったが、やはりマナーモードの解除は忘れがちで、着信にリアルタイムで気づかないということはよくある。不在着信の通知を見たり、伝言メモを聞いて「あちゃー!」と思うのだ。

 さらに別の問題も起きつつある。先も述べたように、使いやすく、高機能化したスマートフォンは、朝起きてから寝るまで、もはや片時も手放せないツールと化した。ある意味電話を超えた存在になっているため、使っている最中に電話がかかってくると、突然画面が通話に切り替わってしまうため、「あーッ! 今せっかくメール入力してたのに~!」なんて思ってしまう。電話機なのに、電話がかかってきて迷惑とは甚だ矛盾しているが、通話以外でできることが増えすぎて、電話であることを忘れがちになってしまうのである。

スマートフォンにかかってきた電話に出られる固定電話機発見!

 そんなときに知ったのが、今回ご紹介する「インテリアホン JD-4C2CL」(以下、インテリアホン)だ。この製品、実はシャープのスマートフォン発表会の時に見つけたもの。

メーカーシャープ
製品名インテリアホン JD-4C2CL(子機1台タイプ)
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格15,761円
デスクの雰囲気に馴染んでしまった。卓上カレンダーやデジタル時計代わりにもなる

 なぜスマートフォンやタブレットの発表の場に、固定電話が展示されているのか、疑問を感じて担当スタッフに聞いてびっくり。この電話機は、固定電話機でありながら、Bluetooth規格Ver.2.1+EDRに準拠しているため、スマートフォンや携帯電話とBluetoothで接続でき、スマートフォンにかかってきた電話が取れるという。

 つまり、Bluetoothでペアリングしておけば、自宅にいるときにスマートフォンにかかってきた電話が自動でインテリアホンに転送され、インテリアホンの子機で通話できるというのだ。しかも、子機を使って、携帯電話回線経由で電話もかけられるという。(ただし、固定回線への着信を、スマートフォンや携帯電話で受けられるわけではない)

 さらに、スマートフォンや携帯電話から、電話帳も転送できる。固定電話機でのデータ登録は非常に面倒くさい。それがすでにあるスマートフォンの電話帳から構築できるというのだから魅力だ。「これはまさに自分のために用意されたような電話機ではないか!」と感動し、早速入手してみたというわけなのだ。

 本体は4.3型のタッチパネルを搭載した本体に子機が1台付属しているという、見た目はごくシンプルな電話機である。正面からみるとスクエアなのだが、横や斜め後ろから見ると、電話機ライクなメカっぽさが全くない。インテリアホンという名前通り凝ったデザインを採用している。このカラー液晶ディスプレイは、設定に使うのはもちろんのこと、待受時にカレンダーを表示したり、写真のスライドショーも楽しめる。側面にSDカードスロットを搭載しているので、デジカメの写真も表示できる。

落ち着いたデザイン
本体を後ろから見た様子
スロットカバーをはずすと、メモリーカードスロットが現れる

 子機は軽く、自然なグリップ感だ。ストレートではなく175°に緩くカーブしているため、耳に当てたとき優しくフィットする。キーはスクエア型で、チョコレートを彷彿とさせるデザインだ。パッと見た感じは、よくデザインされた普通の子機という印象なのだが、よく見ると、中央に左端の「通話ボタン」、右端の「切ボタン」に挟まれる形で、インテリアホン最大の特徴である「携帯電話ボタン」がついている。

子機
175°に角度がつけられている
軽くて握りやすい
子機の背面にはスピーカーがついている

インテリアにマッチしたデザインで、家電話としての性能は十分

 今回選んだ本体カラーはブラウン系だ。カラーバリエーションとしては他にもホワイトやピンクがある。これまでの電話機が白だったので、いつもならホワイトを選ぶところだが、今回はデスクのモニタの横に置くことを考え、いつもは選ばないブラウンを選んでみた。

 これが意外にもシックで好印象! 雰囲気が暗くなってしまうのではと心配していたのだが、モニタや周辺のプリンタから浮くこともなく、もともとあった観葉植物との相性もバッチリ。本体にはほのかにパール感があり、その落ち着いた雰囲気は、和室でも洋室でも違和感なく使えそうである。むしろこれまでの白が浮いていたかもしれないとすら思った。背後からは電源ケーブルと電話線がのびるのだが、フックも用意されているのでまとめやすい。

 セットアップは本体の液晶モニタを使って行なう。回線種別の設定をしたら、日時の設定を済ませれば準備完了だ。

 画面をタッチするとホームメニューが表示されるのだが、「写真」「電話」「お知らせ」「留守」の4つにまとめられていて見やすい。最終的な発信は、子機の「通話ボタン」で行なうが、ダイヤル操作は子機だけでなく、本体の「電話」内でも可能だ。

設定済みの液晶ディスプレイの例。壁紙には随時任意の写真が
フォトスライドの例。メインメニューから「電話」を選んだときのメニュー

 電話帳には最大100人分のデータを登録できる。登録できる項目は、名前(全角10文字)、カナ(最大半角20文字)、電話番号(最大32桁)、イラスト/写真の4項目。イラストはあらかじめ用意されている15カットから選べ、写真はSDカード経由でコピーしたものが使える。

電話帳は五十音順
さ行を選んだ例
電話したい相手の番号をタップすると、子機の通話ボタンを押すよう促される

Bluetoothで携帯電話やスマートフォンと接続すると、メリット多し!

Bluetooth設定画面

 インテリアホンの真価が発揮されるのは、スマートフォンや携帯電話とBluetooth接続したときである。

 接続自体は実に簡単。本体側では「設定」→「Bluetooth設定」を開いて「Bluetoothオン/オフ」がオンであることを確認したら、「接続設定」を開く。登録できる端末は2台までなので、「ケイタイ1」または「ケイタイ2」を選んでおく。ペアリングしたい端末を近くに用意し、設定でBluetoothを開いたらペアリングしたい相手を検索させ、「JD-4C2」が見つかったら選択するだけだ。本体のディスプレイに「完了しました」と表示されれば設定完了。わずかこれだけでインテリアホンがスマートフォン通話専用機に早変わりするのである。

 外出先から帰宅して、端末とインテリアホンが通信圏内に入ると自動的に再接続してくれる。使い始めてからというもの、接続に失敗したことは1回もない。実は筆者はBluetoothは今ひとつ苦手だった。というのは、これまで使った機器で、確実に再接続してくれるものが少なかったため、使いたいときにいちいち確認しなくてはいけない、つまり面倒くさいものというイメージがあったのだ。しかしインテリアホンは端末側のBluetoothを常にオンにしておけば、ごく自然につながってくれる。バッテリーへの影響を懸念される方もいらっしゃるかもしれないが、Bluetoothが常時オンでも負担がかかっているようには感じないところも助かる。

 これまでシャープのスマートフォン「SH-01D」、「SH-02E」のほか、Appleの「iPhone 5」、Samsungの「Galaxy Note II」、NECカシオモバイルのタブレット端末「N-06D」の5台で試してみたが、いずれも問題はなかった。

ペアリングされた端末は、基本的に機種名が表示される。ただし、iPhone 5は空になってしまった
外出から戻っても、再起動しても確実に繋ぎなおしてくれる
ペアリング後のSH-02E側のBluetooth設定画面
電話帳に登録しているiPhone 5から、マナーモードのSH-2Eに電話をしてみたところ。動画用に子機を外しているが、通常は本体から取り上げただけで取れる。ディスプレイにはかかってきた端末名と、発信者が表示されている。子機には発信者名がよみがなで表示される

 実際使ってみると、思った以上にメリットが多いことが分かった。まずは、マナーモードを解除し忘れていても電話を逃さなくて済むということだ。実際にこれで3回ほど子機で受信しているが、会話もスムーズで、おそらく相手も固定電話機の子機で話しているとは気づかなかっただろう。当然のことながら、マナーモードであったことも分かるので、解除できる。

 インテリアホンとスマホの通信範囲は10m以内。使い方としては、インテリアホンの近くにスマートフォンの充電定位置を作ってやるのがベストだろう。10m以内というのは、あくまでインテリアホンの親機とスマートフォンの話で、子機に関してはどこでも大丈夫。子機を持って違う部屋をうろうろ、ときにゴロゴロしながら通話できる。バッテリーの残量がギリギリのときに、端末が充電器の上でも安心。大事な相手からかかってきても、充電器をつけたまましゃべる必要はない。

 ながら電話が可能になるのもメリットだ。着信時、一度は電話の画面になるがインテリアホンの子機で受けたら、スマートフォンの画面は「戻るキー」で前の画面に戻せる。通話は子機に任せられるので、話しながら検索の続きをしてもいいし、スケジュール帳で予定を確認しながら仕事の話をしてもいい。冒頭の「なんで今かかってくるの~!」という嘆きが減らせるわけだ。

 最近のスマートフォンは大画面化しているので、中には長時間通話がしづらいと感じている方もいらっしゃるかもしれない。そんなときもインテリアホンの子機を使えば話しやすい。携帯電話会社の無料通話分で電話したいときも、子機の携帯電話ボタンから発信すれば、お得に会話できる。極端な話、インテリアホンは、固定電話回線がなくても、Bluetoothに対応したスマートフォンや携帯電話があれば使えてしまう。子機の通話時間は、満充電で最大約7時間あるので、自宅で長電話するときにも便利だ。

スマートフォン(マナーモード)でブラウジング中に着信しても、子機で出れば、前の画面に戻って続きが見られる。終話も子機でできる

家族間で共有するときは端末の区別が大事に

 固定回線に加え、端末2台をインテリアホンとペアリングしていると、どの端末にかかってきた電話か分からないこともあるだろう。子機の液晶では「H」「M1」「M2」の3種類の表示で見分けられる。「H」はHOME、つまり固定回線だ。「M」はmobileなので、「M1」は「ケイタイ1」、「M2」は「ケイタイ2」に対応している。家族と使っている場合は、どちらが自分の端末か覚えておく必要はあるが、本体の液晶ディスプレイなら、接続している端末の型番が表示される。

待ち受けの状態
固定電話に着信すると「H」が表示される
携帯電話回線に着信すると「M1」または「M2」が表示される

 着信音は回線ごとに別々に用意されており、初期設定では、固定回線宛なら「プルルル プルルル」、「M1」は「ポロロロ ポロロロ」、「M2」は「ピロン ピロン」という音で聞き分けられる。使い始めは覚えるのが大変かもしれないが、ディスプレイを確認すれば大丈夫だろう。本体の留守番電話による録音は固定回線着信時に限られるため、他の家族に録音を聞かれるという心配もない。

 注意したいのは、発信時だ。インテリアホンから携帯電話回線で発信する場合、子機を取り上げたら、相手先の番号を指定して「携帯電話ボタン」を押す。2台登録しているときは、上下の「選択ボタン」でどちらかを選び、「決定ボタン」を押すという流れになる。端末が手元にあれば、突如発信画面になるので気づくはずだが、暗証番号などの認証システムがあるわけではなく、端末側のロックを解除しなくても子機から発信できてしまう。

携帯電話回線経由で117に電話をしてみる

スマートフォンの電話帳をBluetoothで転送。ちょっと難しい?

「設定」→「電話帳」→「携帯から転送」と進むと転送待機状態になる

 電話帳の転送についてもご紹介しておこう。電話機を変えると、最初は電話帳作りに苦労する。相手の名前をカナでプチプチと入力するのは手間のかかる作業だ。しかしインテリアホンなら、スマートフォンの電話帳が転送できるので手間が省ける。本体の電話帳に登録しておけば、携帯電話回線での着信時にも発信者が分かって便利だ。

 転送できるデータは、名前、よみ、電話番号の3項目。転送する際、まず本体側で「設定」を開き、「電話帳」→「携帯から転送」を選択する。この段階で待機状態となり「携帯電話から電話帳を送信してください」と表示されるので、ペアリング済みの端末から電話帳のデータを1件ずつ送信する。取扱説明書にはここまでしか書かれていない。おそらく、操作手順が端末によって異なるからだろう。ただし、よくある赤外線の電話帳転送とは異なるので気を付けたい。

 ちなみに、電話帳転送できるのは、Androidスマートフォンのみ。対応機種については、シャープのホームページで記載されているので、そちらをご確認いただきたい。

 シャープのスマートフォン「SH-02E」の場合、電話帳で送信したい相手を開いたら、メニューキーから「共有」をタップし、「電話帳の共有ツール」画面で「Bluetooth」を選択する。「Bluetooth端末の選択」という画面になったら、ペアリング中の「JD-4C2」をタップして選択する。これで端末側の送信操作は終了するので、本体のディスプレイに「完了しました」と表示されたら転送は成功だ。1件ずつの転送になるので、まずは通話頻度の高い相手から転送しておくといいだろう。

SH-02Eの電話帳の例。メニューキーで「共有」を選択
「Bluetooth」を選択する
「JD-4C2」をタップすると送信が始まる

インテリアホンで問題解決! この時代にぴったりの電話機

 我が家にインテリアホンが来てからは、取材後などのマナーモード解除忘れが全く心配にならなくなった。個人的にはマナーモードにし忘れることのほうが心配なので、積極的にマナーモードのまま放置しており、スマートフォンにかかってきた電話をスマートフォンで受けるのは、本当に外出時のみになりつつある。

 電話に出るという行為が、従来型のスタイルでできるというのも安心要素であり、快感でもある。というのもスマートフォンにかかってきた電話に出るつもりだったのに、慌てた勢いで「拒否」をタップしてしまうことがたまにあるのだ……。機種変更したり、OSのバージョンが上がるとデザインが変わるため、いちいち目視しながら次の操作を判断するという流れもしっくりこない。それがインテリアホンなら、仕事中でも、目の前のモニタを見ながら子機を持ち上げるだけで済む。

 個人で複数の回線をもっている場合、インターフェイスを1つに集約できるというのも魅力だ。筆者は特に家族と共有しているわけではないので、固定回線1回線、携帯電話2回線分を子機1台の操作で済ませている。

 筆者と同じように、頻繁にマナーモードを解除しわすれ、電話に出られず家族に不信に思われていた方も、インテリアホンにしてから確実に電話にでられるようになったという話も聞いている。インテリアホンは、まさにウッカリさんの救世主といえるだろう。

 待受中のカレンダーや、写真のスライドショーもなにげない癒しになっている。これから家の固定電話を買い換えようとお考えの方や、筆者と同様の悩みをお持ちだった方にはぜひお勧めしたい1台だ。

すずまり