家電レビュー

レイコップが圧倒的に使いやすくなった! 軽い&USB充電が便利

進化したレイコップのふとんクリーナー「RS5」をレビュー

今年も猛暑と呼ばれた過酷な季節が終わり、あっという間に季節は冬の入り口となった。大慌てで衣替えや寝具の入れ替えを行なっているご家庭も多いのではないだろうか。特に高温多湿な季節を終えてダニの温床となりがちな寝具は、これを機にしっかりとケアしたいところ。

手軽に寝具ケアができるアイテムとして思い起こされるのが、レイコップのふとんクリーナーだ。一時は市場を席巻したレイコップだが、本体が大きい、取り回しが悪い、お手入れがめんどうといった理由からお蔵入りしてしまった家庭もあるかもしれない。我が家も、いつの間にかふだん使いしている掃除機でケアするようになっていた。

一般的な掃除機に付属するふとん用ツールでも一定の掃除はできるものだが、先日、家電業界の有識者仲間から「レイコップのふとん掃除機の新しいモデルが意外にいい」という評判を聞きつけた。

聞いた当初は、「えっ、今さらふとん掃除機? しかもレイコップ??」と正直思ったが、真偽を確かめたくなり、6月に発売された「RS5」(直販価格24,800円)を試してみることに。すると、これまでの弱点を克服し、使いやすく進化していたことがわかったため、レビューでご紹介したい。

マットで落ち着いた質感とシンプルなデザイン。ダストカップの中身はハンドル部分に隠れるため、正面からは見えにくくなっている

ふとんケアの基本は、しっかりと乾燥させた後、ゴミを除去すること。毎日使用しているふとんは、一見キレイに見えても浸み込んだ汗による皮脂汚れや、剥がれ落ちた皮膚、チリ・ダニなどのハウスダストにまみれている。

乾燥は、天日干し、あるいは最近はふとん乾燥機を用いる家庭も多いだろう。ふとん内部をしっかりと加熱・乾燥させて湿気を取り除き、ダニを死滅させた後は、掃除機でゴミとともにダニの糞や死骸をしっかりと取り除いておきたい。

最近の掃除機には、ふとんをケアするためのアタッチメントが付属しているものが多いが、ふとん専用の掃除機を利用するのがもっとも効率がいい。

レイコップは今から10数年ほど前に日本に上陸し、ふとん掃除機を広めた韓国発メーカーだ。2005年に医師のDr.マイケル・リーさんが韓国で創業。「病気を治すより予防することこそ医師の使命である」の理念のもと、布団のハウスダストに着目してふとん用の掃除機を開発した。

同社のふとんクリーナーはハウスダストを単に吸い取るだけでなく、UVによる除菌機能とふとん叩きの機能も併せ持ち、効果的にふとんケアを行なえる。

2012年に日本法人を設立。ある程度普及したこともあり、あまり名前を聞かなくなっていたが、現在はふとんクリーナーだけでなくスティック掃除機やサーキュレーターなど、他ジャンルの家電製品も発売している。

本体背面。充電端子やダストカップの接合部、ヒンジ部などは背面に集中し、正面からのデザイン性を損ねない
側面から。人間工学に基づいて設計されたハンドル部分など、なだらかなカーブとほどよい丸みがやさしい印象だ

以前のレイコップとはまったくの別物 軽い&USB充電が便利

RS5は体サイズと重量が20×18.5×46.5cm(幅×奥行き×高さ)、約1.26kgとかなりコンパクトだ。実は前モデル「Renny RJS2-100」とサイズ感はほとんど変わっていないのだが、多くの人がイメージするであろう、10年ほど前に一世を風靡したカブトガニのような形状のレイコップに比べると、かなりコンパクトで、重量はモデルにもよるが700g~1.5kgも軽量に。

古来のレイコップを知っているユーザーから見ると、まったく別の代物と言っていいほどの変貌っぷり。まずはサイズと重量だけでも使い勝手は大幅によくなっている。

本体サイズは20×18.5×46.5cm(幅×奥行き×高さ)。2Lペットボトル(右)と並べてサイズ感を比較
プレミアムラインとして2015年に発売された「レイコップRP」(左)と、初めてコードレス化を実現した2017年発売の「レイコップRX」(右)。重量は、それぞれ約3.4kg(コード除く)、約2.5kg。カブトガニのような独特の形状はレイコップの象徴的なデザインでもあった

しかも自立する設計で、使わない時には立てた状態で保管できる。かつてのレイコップは、専用スタンドが登場したりもしたが、大型な上に横に寝かせて置くことしかできなくて、収納に困ったというユーザーもいたのではないだろうか。

後ろ側に支えがあり、安定して自立する
「レイコップRX」では、充電台を兼ねた専用のスタンドが付属し、縦置きできるようになった

それが「RS5」では、省スペースで邪魔になりにくいためベッドサイドなど、どこにでも置きやすい。クローゼットの奥にしまわれることもないため、掃除したい時にサッとすぐ使えるのが便利だ。別の場所に収納していても、軽量コンパクトなため、移動が苦痛でない。“重い”“邪魔”といったネガティブな要素が排除されることから、「いつの間にか使われなくなる」状態を防ぐことにつながり、習慣化しやすい。毎日でも行ないたいふとんケアの道具として、これだけでも大いにメリットだと感じる。

本体はバッテリーを内蔵する。今のご時世、コードレス仕様は当たり前だが、バッテリー駆動ながら、吸引力もなかなかのもの。14,000Paと、従来モデルの12,000Paに比べてパワーアップしている。

吸引力だけの比較なら、ダイソンなどのパワフルさを謳う一般的なコードレス掃除機に比べてスペック上は劣ってしまう。ただ、レイコップのふとん掃除機には、一般的な掃除機にはない“たたきブラシ”が搭載されている。

「RS5」に搭載されているたたきブラシの1分間あたりのたたき回数は115,000回。従来モデルの79,200回と比べてもかなりの高速回転で、レイコップ史上最速だ。調べた限り、たたきブラシを搭載する他社のふとん掃除機に比べても桁違いのスペックとなる。

“たたきブラシ”と呼ばれる、ふとん掃除機特有の回転ブラシを備えている
「レイコップRP」(左)と「レイコップRX」の裏面。RPでは叩く機能と回転ブラシは別パーツだったが、RXでは一体化され、現モデルのルーツとなった

そして、単純なスペック以上に優秀と感じたのは、操作性だ。軽量・コンパクトなサイズとコードレスというわけでも取り回しがとても良好だが、操作性に配慮した設計も優秀。まずは、ヘッドが90度の範囲で可動する。これにより、ふとんの上を柔軟に動かせる。ハンドル部分は人間工学に基づいて設計されたもので、使う人にとって握りやすい場所を自由に持つことができ、最適な重心バランスで柔軟に操作ができることから、使用中に身体への負担を感じにくい。

ヘッドの角度を柔軟に動かせるため、ふとんにピッタリくっつけてのお掃除もできる
人間工学に基づいて設計されたハンドルは、重心バランスが程よい位置を握ることができるため、負担が少ない

さらに、ヘッドブラシの吸引口の幅は約15cm。コンパクトな本体でありながらも、1ストロークで広範囲を吸引できるため、ふとんの上を往復する回数が少なくて済み、省労力かつ時短で完了できる。

バッテリーの連続稼働時間は、標準モードで約40分、パワーモードで約20分。操作性がスムーズなこともあり、ふとん1組に使用する時間はせいぜい2~3分程度と短時間で、家族ぶんの作業を行なうのにも十分な長さだ。使用中にもバッテリー残量をライトで表示してくれるので、急なバッテリー切れを防げる。

本体のスイッチを押すと吸引力が2段階に切り替わる。ボタン下のLEDインジケーターはバッテリーの残量を示している

しかも、充電はType-CのUSB方式だ。専用のACアダプターを使う必要がなく、汎用性のあるケーブルで行なえるため、スマホ感覚で気軽に充電できる。これが思った以上に快適だった。

充電端子は、汎用性の高いUSB Type-C方式を採用している。専用のACアダプターを用意する必要がないため、スマホケーブルで気軽に充電できる

本体に装備しているダストボックスの容量は400ml。前モデルの160mlから大幅に増量しており、たっぷり溜められる。内部のフィルターも優秀で、4重の構造を採用している。

メインは、0.3μmの超微細なホコリも99.9%以上捕集するマイクロHEPAフィルター。外側には使い捨てフィルターも採用し、排気に微細なゴミを漏らすまいという執念を感じるほどの造りだ。

ダストボックス内は、使い捨てフィルター、メタルフィルター、ファブリックフィルター、HEPAフィルターの4重構造のフィルターを採用している

外側の使い捨てフィルターによってガードされているおかげで、メインフィルターが通常よりも汚れておらず、お手入れ時もラクだ。使い捨てフィルターが15枚同梱されているのもありがたい。

金属フィルターの外側にかぶせた使い捨てフィルターでほとんどのゴミをカットできる
排気側の最後にあるのがHEPAフィルター。その手前にあるファブリックフィルターはほとんど汚れていないが、水洗いもできる

HEPAフィルターは水洗いはできないが、ダストボックスとそれ以外の内部パーツは水洗いできる。以前のモデルではダストボックス自体も水洗いが不可だったので、それを思うと、そもそも使い捨てフィルターは捨てるだけで済む上にお手入れ性と清潔性の向上を大いに実感する。

ヘッドブラシは、絡まった髪の毛や糸くず、付着したゴミをお手入れする必要があるが、カバーは工具なしで簡単に外すことができ、メンテナンスがしやすい。

ヘッドブラシのカバーは左右のロックを解除するだけで簡単に取り外せて、中身を分解できるため、お手入れもしやすい

UVによる除菌機能に関しては、UV LEDが採用されており、従来モデルで採用されていたUVランプに比べて寿命は約6倍とのこと。ランプ交換なしで長期で使用できるようになっているのがありがたい。

除菌用のUV LEDが光る様子。ふとんから離した一瞬の隙に撮影した

「重い」「場所を取る」「取り回しがしづらい」という三重苦によって、我が家でもいつの間にかお蔵入りしてしまっていたレイコップだったが、久しぶりに手に取った新モデル「RS5」は、それらがすべて克服されていた。

そうなると、やはり“餅は餅屋”、あるいは“鬼に金棒”、専用機に勝るものはない。使い勝手がよく、短時間で済むので、ふとんケアを毎晩行なっても苦痛でなくなった。むしろ、カップに溜まっていくゴミで「今日もこれだけ取れた!」「キレイになった!」と毎回効果を実感できる“見える化”がふとん掃除の習慣化のモチベーションにもつながっている。

およそ1カ月、ゴミを捨てずに毎日2組のふとんを掃除した場合のダストカップ内のゴミ。キレイに見えてもふとんの上はゴミがいっぱいだ
レイコップの新モデルを勧めてくれた知人が参考までに示してくれた衝撃写真。こまめにシーツ類は交換しているそうだが、猫を飼っていることもあり、マットレス、シーツの順に1回掃除しただけで、これほどまでのゴミが取れたそうだ

空調設備のおかげで最近は室内は年中温かく、ダニ対策は1年中欠かせなくなっている。これからのシーズンは、花粉や黄砂も気になるところ。

ふとん周りを整えることは、“快眠”への第1歩だ。ふとんケアを行なっていなかった人も、最近サボりがちだった人も、これを機に“元祖・ふとん掃除機”であるレイコップに再注目して、ふとん掃除を習慣化させてみてほしい。

神野 恵美