家電製品レビュー

1万円台のスティック掃除機、Anker「Eufy HomeVac S11 Go」で掃除嫌いは解消できる?

「Eufy HomeVac S11 Go」を使った

新型コロナウイルス流行の影響で、テレワークや休日の外出自粛をするようになり、家にいる時間がここ数カ月でずいぶんと増加した。在宅時間が増えるにつれ気になるようになってきたのは、埃や髪の毛などによる部屋の汚れだ。そういった汚れを、Ankerが発売したスティック型掃除機「Eufy HomeVac S11 Go」(17,800円/税込)を使って掃除してみた。

私は掃除好きなほうではなく、床の小さなごみが気になったときは粘着クリーナーを軽くかける程度。そのうえ、世間に自粛ムードが浸透する前は毎日外出しており、家にいるのは朝か夜くらいだった。掃除機をかけるには騒音が気になってしまい掃除嫌いは加速する一方で、掃除機は月に1回かければよいほうといった具合だ。

そんな筆者であっても、毎日家で仕事をしたり食事をするとなると部屋が汚いのは困る。低価格ながら2層サイクロン搭載で強力な吸引力という、今回のEufy HomeVac S11 Goで、気軽に掃除機をかける習慣がつけば良いと思い、使い始めた。

箱は最も長い辺で70cmほどと大きい

2万円以下で購入できるコードレスのサイクロン掃除機

本体と付属品。ほかにACアダプターと壁取り付け用アクセサリが付く

Eufy HomeVac S11 Go(以下、S11 Go)は、モバイルバッテリーで知られる中国企業Ankerが2020年7月に発売した掃除機だ。Ankerの家電ブランド「Eufy」の製品で、同ブランドからはロボット掃除機も販売している。

二層のサイクロンによる吸引力が売りで、価格は17,800円(税込)。大手メーカーだとコードレス型スティック掃除機では2万円以上のモデルが多い中で、S11 Goは税込みでも2万円を切る価格。吸引力は最大120AW/20,000Paとのことだが、実際どれくらい吸い取ってくれるかは気になるところ。

使い心地や、どういった場所のゴミを吸うのに使いやすいかなどを、いくつかのシチュエーションで試していく。同製品にはフロアブラシクリーナーヘッド、隙間ノズル、コンビネーションノズル、ミニモーターブラシの4種類のヘッドが付属するので、それぞれを場面に合わせて使い分けられる。

左からフロアブラシクリーナーヘッド、隙間ノズル、コンビネーションノズル、ミニモーターブラシ

床のゴミを吸うには充分な吸引力。とにかく静か

埃と髪の毛に見立てた小麦粉と糸を吸っていく。

電源をつけてみて驚いたのは、とにかく音が静かなことである。普段使用しているコード付き掃除機はとにかく音がうるさいのが悩みの種だった。S11 Goは強/中/弱の3段階の吸引力が設定でき、デフォルトである中程度の吸引力であっても普段使っている掃除機よりも静かに感じた。最も弱い吸引力の場合はさらに静かで、普段なら掃除機をかけるか悩んでしまう夕方や出勤前でも掃除機をかけられそうだ。

実際に床を掃除していく。床によくあるゴミである埃と髪の毛に見立てて、小麦粉と糸を床に振りまいて、吸引してみた。まずはデフォルトの「中」で吸ってみると、おおかたのゴミは吸えた。ただ、よく見ると小麦粉が少しだけ床に残っていた。このあと何度か同じ吸引力のまま吸ってみたが、あまり吸い取ることができなかった。

目立ったゴミはデフォルトの吸引力で吸えたが、よく見ると粉が残っている

そこで吸引力を「強」にしてみたところ、どこに小麦粉をまいたのか分からない程度にまでゴミを吸い取れていた。髪の毛を吸うときには「中」で充分だが、細かな埃を吸い取るには「強」にしたほうがいいかもしれない。

ちなみに、ブラシに髪の毛などが絡まった際は、ヘッド横のボタンを一押しするだけでブラシを取り外すことができる。ブラシ部をヘッドから外すのが面倒な掃除機では、絡まった髪の毛をそのままにしてしまい、ブラシが髪の毛だらけになることがよくある。S11 Goはブラシを楽に取り外せるので、そのようなことも少なくなるだろう。

ブラシはワンタッチで取り外せる

ベッドやソファーの下など掃除しにくい場所では、LEDライトが役立つ

フロアブラシクリーナーヘッドの先端には4つのLEDライトが搭載されている。ベッドの下やソファーの下など、暗く掃除しにくい場所を吸うときに助かる機能だ。

実際にソファーの下を吸ってみると、LEDライトが点灯する前と後ではゴミの見え方が変化。ヘッドに沿って複数のライトが付いているため、広い範囲が見えるようになった。暗い場所でも、吸い残しを確認しながら掃除できる。

LEDライトが点く前
LEDライト点灯。ゴミがよく見える

ほかにも、ベッドなどの下を掃除する際に便利だった点がある。それは床用ヘッドの左右の可動域が広いことだ。スティックとヘッドを繋ぐ部分の一部が延長ホースと同じ素材でできており、さらに2つの車輪がついている。左右にそれぞれ45度ほどヘッドが曲がるようになっている。

ベッド下など掃除機をかける際にはかがんだ姿勢になるが、かがんだままでの移動は大変なためできるかぎり立ち位置を変えたくない。ヘッドが曲がれば、同じ場所からでも掃除できる範囲が広がるので、掃除しにくい場所でもしっかりと吸うことができた。

ヘッドが左右に動くので、掃除しやすい

ソファーの隙間などゴミがたまりやすい箇所は隙間ノズルで

隙間ノズルでソファーを掃除してみた

ソファーや棚を掃除する際は、スティックをはずしヘッドを隙間ノズルにすることでハンディクリーナーの状態にできる。床のゴミを集めた吸引力はそのまま、床以外のゴミも吸えた。

ソファーの隙間など狭い部分に溜まった髪の毛やチリを吸うには、「中」モードではやや吸引力が不足しているように感じたが、「強」モードではそこまで問題もなくゴミを吸引できた。

エアコンのほこりをとるには少し重い

夏や冬になると気になるのは、エアコン内のほこりだ。今年の夏は猛暑が続いたこともあり、エアコンは常に稼働している状態。フィルター清掃機能付きのエアコンではあるが、エアコンからややほこりっぽい空気が出ていることが気になっていたので、S11 Goで掃除していた。

上に持ち上げて使うと、重さが気になる

エアコンのフィルター周辺など埃が溜まっている部分を、隙間ノズルで掃除していく。「強」モードにすれば、吸える範囲で埃を取り除くことができた。

吸引力では問題はなかったが、いくつか気になることがあった。ひとつは、クリーナーの本体の重さだ。ハンディクリーナーにしてソファーを掃除しているときにも重さは気になっていた。エアコンを掃除する際には本体を上に持ち上げる必要があるため、自身の腕に重さがダイレクトに伝わってしまう。さっと吸うだけならいいが、念入りに吸うとなると少し辛い。

また、掃除機を持ち上げていることもあり、後部からの排気が顔に直接あたってしまった。フィルターを通した空気なので汚いわけではないだろうが、少し気になる点ではある。

布団などに使えるミニモーターブラシ。使い道が多いコンビネーションノズルも

布団のゴミをミニモーターブラシで集める

ブラシをミニモーターブラシに付け替えれば、布団の上や布地のソファーの上のゴミをかき集めることができる。ブラシ部は毛の束がらせん状に植毛してあり、ほこりなどをかき出せそうだ。

髪の毛に見立てた糸をベッドの上に散らし、掃除機で吸っていく。掃除機を一往復もすれば、すべての糸を吸うことができた。糸を吸ったあとにブラシを見たところ、ブラシに糸が絡まってしまっていた。しかし、ヘッドのブラシは取り外しができるため、絡んだ糸をほどきやすかった。

らせん状に植毛されたブラシに糸が絡みついたが、ブラシは取り外せるので掃除しやすい

コンビネーションノズルは吸い込み口の大きなヘッドで、ブラシが付いている。部屋の換気口の網目や棚や家電の上など、さまざまな場所に使うことができるようだ。テレビ台の上を掃除してみたら、しっかりと埃を吸い込めた。

ブラシ部は上に動かすことができ、ブラシのない吸い口の大きなヘッドとしても使える

ダスト容器とフィルターは分解して水洗いできる

ゴミ捨てはボタンをおすだけ

サイクロン掃除機で吸引力以外に気になる点は、ダストボックスの掃除のしやすさだ。S11 Goは、ダスト容器のゴミ捨てボタンを押すと容器下部が開き、溜まったゴミを気軽に捨てられる。サイクロン発生部に引っかかっていなければ、大抵のゴミはしっかりと取り除くことができた。

また、ダスト容器とサイクロン発生部、後部のフィルターは取り外して、水洗いすることができる。サイクロン発生部の目詰まりやダスト容器に張り付いた細かな埃は水洗いで落とせる。

ダスト容器(左2つ)とフィルター(右2つ)は水洗いできる

静かだが、本体の重量/大きさは気になる

掃除機の存在感が結構ある

一通り掃除機を使ってみたが、吸引力の面ではおおむね満足している。稼働音が小さいため、使い始めのころはしっかりと吸えているのか不安だった。しかし、掃除した後の床などを見ると髪の毛などのゴミがなくなっていた。3段階の吸引力が設定されているので、最も強いモードにすれば、細かなゴミも吸うことができた。

そして、何よりも気に入っているのは、吸引しているときの音が小さいことだ。いままでは掃除機の騒音が気になってなかなか掃除機をかけられなかったが、S11 Goは「中」「弱」であればそこまでうるさいと感じなかった。鉄骨鉄筋コンクリート建の筆者の部屋の場合、深夜や早朝ではない限り、掃除機をかけても騒音が気にならないように思う。

筆者が掃除をする上でネックだった騒音の問題がいくらか解決したので、S11 Goとなら掃除をする習慣をつけていけそうだ。しかし、いつくか不満に思った点もある。それは掃除機の存在感がありすぎることだ。S11 Goには壁掛け用のアクセサリが付属する。今回は壁掛けはしていないが、壁掛けをしたときのようにテレビ横の空いたスペースに掃除機を置いてみた。スティッククリーナー時の長さは約110cmで、あまり広くない部屋だと、かなり存在感がある。本音をいえば掃除機はすぐ取り出せる場所に置きたいが、このサイズだと、部屋の隅など目立たないスペースに置くのが現実的だと思える。

また、吸引力を維持したまま約25分間使えるという大容量バッテリーを搭載しているためか、重さも気になった。なお、重量はAmazon.co.jpの商品情報によれば2.5kgとのことだ。床にかける際はそこまで気にならないが、ハンディで使用する際は結構重い。とくに筆者を含む女性は長時間ハンディクリーナーとして利用するのは少し辛いかもしれない。

ちなみに、バッテリーは取り外して充電できる

初めてのコードレススティック型や、騒音が気になる人に

製品にスタンドなどは付属せず、付属アクセサリーで壁掛けするか、部屋に収納スペースがあればそこへしまっておく形になる。そうした場所を確保できるかは、事前に確認したほうがいいだろう。

初めてコードレス型スティック掃除機を使う人や、アパート/マンション住まいで騒音が気になる人にはおすすめできる。S11 Goの重さは、「頻繁に部屋のすべてを掃除する」と考えると少し気が重くなる部分もあった。だが、床のゴミを吸い取る分にはそこまで重さが気にならないため、掃除すること自体は続けられそうだ。

大塚 愛理