家電製品レビュー
我が家のごはんが一番おいしい! パナソニックの高級炊飯器「Wおどり炊き」がスゴイ
2017年11月1日 07:00
今回紹介するのは、パナソニックの「Wおどり炊き SR-SPX107」だ。パナソニックの炊飯器といえば、釜底と底側面の通電を高速できりかえて熱対流を発生させる「大火力おどり炊き」と、加圧・減圧を繰り返してお米を釜底から対流させる「可変圧力おどり炊き」により、お米一粒一粒に均一に熱を伝える「Wおどり炊き」が特徴。これまで何度か試食したことがあるが、口に入れた瞬間に強い甘みを感じられるという印象がある。
2017年モデルでは、さらに甘みを強化し、“歴代最高の甘み”を実現しているという。早速自宅で使ってみた。
メーカー名 | パナソニック |
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製品名 | Wおどり炊き SR-SPX107 |
価格(編集部調べ) | 76,200円(税込) |
結論から先にいってしまうと、この炊飯器かなりお気に入り。おいしいのはもちろん、従来の炊飯器にはない楽しさや、毎日の使い勝手までしっかり配慮されている。まずはおいしさの部分から触れていこう。
一口食べただけで違いがわかる、おいしさ
SR-SPX107で炊いたごはんを食卓に出した瞬間だった。同居している60代の母が「あれ、ごはんがいつもと違うんじゃない?」と言い始めた。炊飯器を変えたことを伝えていなかったのに、さすがのめざとさだ。それから先はもう賛美の嵐だった。
「甘い!! これはおかずいらないね」、「口の中に入れた瞬間ほろっとほぐれるわね」、「お米とお米の間にちゃんとスペースがあって、一粒一粒がコーティングされているような感じ」など、聞いてもいないのに、次々と褒め言葉が飛び出す。
もともと我が家で使っていたのは、2年前の高級炊飯器。パナソニック以外のメーカーの製品だが、とても満足度は高く、家族の評判も上々だった。だからこそ、今回SR-SPX107を使っても、味の違いを感じられるか、不安もあったが、それは全くの杞憂だったというわけだ。
炊飯コースは「銀シャリ」コース。圧力のかけ方やスチーム加熱の有無・温度を調整し、ふつうから、かため、やわらか、もちもち、しゃっきりなど、なんと10種類から炊き分けできるというもの。自分や家族の好みはもちろん、お弁当や炒飯など、メニューに合わせて炊き分けるのも良さそうだ。
まず初回は銀シャリの「ふつう」を選択し、炊飯をスタート、炊飯時間は約48分だった。普通の炊飯器と違うのが、内釜右上に用意されている「水容器」に毎回水を入れること。容器の上の線までたっぷり水を入れてセット、その後に炊飯をスタートする。この水は、炊飯工程中の「高温スチーム」に用いられるもの。スチームは130~220℃までメニューに合わせて自動で温度をコントロールする。
炊きあがりのごはんのピカピカと光るツヤや、ふっくらとしたハリは見た目からして違う。仕事柄、これまでたくさんの炊飯器を取材、試食も重ねてきたが、目指す味というのは、メーカーごとに割とはっきりと違う。圧力を用いずに、しゃっきりとした粒感を目指す炊飯器、圧力をしっかり使ってもちもちとしたごはんを目指すメーカーなど、様々だが、パナソニックの炊飯器の一番の特徴は「甘み」だ。
甘みが強いというと、圧力をかけたことによる、柔らかい、表面のねばりが強いごはんをイメージするかもしれないが、SR-SPX107で炊いたごはんは、粒感もはっきりと感じられる。使った米は、普段から食べているコシヒカリだったが、炊飯器を変えることで、ここまで味や印象が変わるということに驚いた。
銘柄炊き分け機能が楽しい!
パナソニックの炊飯器の特徴は「甘み」だけではない。食事や好みに合わせて普通から、かため、やわらか、もちもち、しゃっきりなど、全部で10通りから選べる「炊き分け」機能、50銘柄にも対応した「銘柄炊き分け」機能など、なんとこの1台で75,000通りもの炊飯プログラムを搭載しているという。
個人的に満足度が高く、楽しさすら感じたのは、50銘柄にも対応した「銘柄炊き分け」機能だ。その銘柄に最適な炊き方を提案するというもので、例えば、同じコシヒカリでも魚沼産と、それ以外では炊き方を変えるというこだわりようだ。実際、スーパーに行くと様々な銘柄のお米が売られている。50銘柄に対応しているというのは、最初はちょっとやりすぎなんじゃ? という気持ちもあったが、実際スーパーでランダムに5銘柄ほどを購入、SR-SPX107で全て対応していたときは、感動すら覚えてしまった。
パナソニックの炊飯器の製品開発者にインタビューをしたこともあるのだが、「銘柄炊き分け」機能へのこだわりはすごかった。産地に直接行き、生産者の方ともコミュニケーションを取って、「目指す味」というものを決めていくそうだ。自宅で炊飯器のメニューを操作するだけで、そういった想いがこもったごはんを食べられるというのは、なんだが不思議な気持ちにもなるし、楽しい。
炊き分け機能については、色々試した結果、普通、もしくはちょっと固めあたりが好みだということが分かった。特にお弁当やおにぎりを作るときは、迷わず、「かため」を選択。しっかり握っても、お米がつぶれてしまうことなく、しっかり米の甘みを感じられる。塩おにぎりがごちそうになる仕上がりだ。
もち米の下ごしらえ必要なし! お赤飯もふっくらと炊きあがる
一人暮らししている祖母の大好物ということもあって、特にイベントがなくてもよく作るお赤飯。自宅でおいしく作ろうと思ったら、かなり準備が大変だ。まずは小豆を煮て、もち米を一晩、水に浸けて……と。それが付属のレシピを見たら、事前の浸しが必要ないという。
もち米を研いだら、事前に煮ておいた小豆と煮汁を入れて、足りない分の水を入れて、スイッチオン。炊飯時間は約46分。ふっくらと炊きあがった。もち米は、普通の米よりも粘度が高いので、圧力をかけて炊くと、場合によってはべちゃべちゃと潰れてしまうこともあるが、SR-SPX107で炊いたお赤飯は、見た目からして、粒感があり、潰れた感じはゼロ。浸しなしで、ここまでふっくらと炊き上げる技術はさすがだ。
実は、小豆の下ごしらえも超ショートカットしている。前の日の晩に、小豆を鍋で煮て、一度沸騰させたら今度は保温効果のあるステンレスボトルに煮汁ごと入れて、そのまま一晩放置しただけ。この方法は、母の請け売りなのだが、確かに相当簡単だった。是非、試していただきたいレシピだ。
保温時間が長くてもおいしい!
SR-SPX107を使い始めてから、白米の消費量が増えた、自宅で食事することが増えたなど、いくつか変わったことがあるが、中でも一番変わったのが、お米を保温して食べるようになったこと。これまでは、週に1~2回ほど、まとめてご飯を炊いて、1食分ずつ小分けにして、食べる時に解凍して食べていた。夕食、朝食と白米を食べることが多いのに、小分けにしていたのは、長時間保温したごはんがおいしくないという先入観があったからだ。
実際、子供の時に長時間保温したごはんをよく食べていたが、パサパサして、端の方は乾燥してなんだか固かったし、独特のニオイもあった。それが、SR-SPX107では、長時間保温したごはんも、本当においしい。おそらく、保温開始後約6時間後と、約12時間後に自動投入されている「スチーム」が効果的なのだろうか、12時間以上も保温したごはんだって、表面にはまだツヤがある。その都度小分けにして、解凍するよりも手間がかからないし、十分おいしいので、我が家ではすっかりごはん保温派になってしまったのだ。
さすがパナソニック! 日常の使い勝手がマル!
使い勝手の良さも気に入っている。例えば、お釜の中に入っていたごはんを食べきり、電源「切」ボタンを押すと、画面には「お手入れしてください」という表示、さらに「お手入れ方法を見る」という表示がされる。
炊飯器を使い終わった後にお手入れするのは、内釜だけではない。まずは、ふた加熱板や、蒸気ふた、水容器など、いくつかの部品がある。しかし、こういったお手入れをするのを知らないまま使い続けている人も多いのが事実だ。パナソニックでは、毎回お手入れを促す表示をしてくれるので、例えば普段は炊飯器に触らない夫が電源を切った時でも「お手入れしなきゃいけないんだ」と気付くことができる。
もう1つ、気に入っているのが軽くて扱いやすい「ダイヤモンド内釜」。一時「内釜戦争」と揶揄されたことがあるくらい、どのメーカーも内釜の厚さや形状、素材にこだわっている。その性能を追求するあまり、内釜の重量がドーンと重いことがほとんどで、製品によっては片手で内釜を持てないほどだ。その点、ダイヤモンド内釜は軽くて扱いやすいのが良い。
もう普通の炊飯器には戻れない
決して安いとは言えないが、使うことでしっかり満足感を得られる製品。特に銘柄炊き分け機能など他社にはない取り組みは、新鮮で、かつ使っていて楽しみや、喜びを感じられる。
その違いは、例えば外食した時、友人の家で食事をごちそうになった時に実感する。「あぁ、やっぱり我が家のごはんが一番おいしいなぁ」と。SR-SPX107で炊いたごはんに勝てるごはんにはそうそう出会えないのだ。決して安い炊飯器ではない。でもごはんが好きなら、きっと満足できるだろう。