走るライター南井正弘のコレはホントにスグレモノ!

1万円という買いやすい価格で効率の良い走りを提供するアシックスの「エボライド」

実際に履いて使って走ってから書く、ライターの南井正弘が「コレはホントにスグレモノ!」と太鼓判を押すスポーツアイテムを、毎週レコメンド!
アシックス エボライド

アシックスが昨年の東京マラソンのタイミングでリリースした「メタライド」は、ゆりかごのようにソールが転がる感覚の、これまでのアシックスとは全く異なるアプローチで、ランナーに効率的な走りを提供することで大きな注目を集めた。

そんな走行効率を高める「メタライド」に、1万円(税抜)というリーズナブルな価格設定の弟分的な1足「EVORIDE(エボライド)」がリリースされた。2月7日の発売日から良好なセールスを記録しているということで、さっそく試してみた。

メーカー名アシックス
製品名エボライド
実勢価格11,000円(税込)

「ランをもっと長く、もっとラクに」をコンセプトに、これまでアシックスが走行効率を高めるべく開発してきたシューズコレクションには、2019年2月に発売された「メタライド」と、2019年9月に発売された「グライドライド」が存在していた。

それらに続き、2020年の2月に発売されたのが「エボライド」だ。

定価は、「メタライド」が2万7,000円、グライドライドが1万6,000円(いずれも税抜)に対し、「エボライド」はジャスト1万円とかなり思い切った価格設定だ。

ちなみにアメリカでの希望小売価格は120ドルなので、日本における割安感が理解してもらえると思う。

そして、最も重要な走行感だが、これが想像していた以上の素晴らしさ。

まず足を入れてみると、前2モデルよりもかなり軽く感じる。サイズUS9で約258gらしく、「グライドライド」の約293g、「メタライド」の約305gと、数値上でもかなりの軽量化に成功している。だが実際に着用してみると、それ以上に軽く感じるのだ。これにはアッパー部分のフィット感の良さが貢献していると思われる。

アッパーは部位により織り方を変えた、柔軟なエンジニアードメッシュを採用。優れたフィット感と通気性を両立している

一方で、ソール部分の着地から蹴り出しまでの一連の動作を、シューズが転がるように行なえる共通のスペックは、この「エボライド」が最も省略されている。とはいえ、「メタライド」との比較では、その差は明らかだが、個人的には「グライドライド」と比べても、それほど差は感じられない。

アウトソールはアスファルトやコンクリートといった舗装路で最高のグリップ性を発揮するパターン。ある程度の刻みがあるので、公園の土の上でも十分に対応してくれた

「エボライド」にも、しっかりと「前へ! 楽に!」という開発コンセプトが継承されている。また「エボライド」の場合は、踵着地が最も効率よく走れたが、ミッドフット着地、フォアフット着地でもそれほど走りにくさを感じない。このあたりは「グライドライド」の走行感と共通する。

ミッドソールには反発性能に優れたフライトフォーム プロペルを採用。着地時のソフトな感覚と蹴りだしまでの快適な足運びを実現してくれる。

そして、最も軽量なことから「3モデルのなかで最も速いペースに向いているのでは?」と思い、ペースを上げて、4分30秒/Kmほどで走ってみたが、シューズが脚の動きに無理なく付いてきて、快適に走れた。

これまでのアシックスの初心者向けシューズは、脚の保護が強調されていた気がするが、この「エボライド」は、走りの効率化を高めると同時に、走る楽しさを与えてくれる1足だと思う。

初心者ランナーはもちろん、中級以上のランナーにも十分に対応してくれるはずだ。

南井 正弘

フリーライター、『ランナーズパルス』編集長。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に『スニーカースタイル』『NIKE AIR BOOK』などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間52分00秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。