走るライター南井正弘のコレはホントにスグレモノ!

ランナーの走りを計測し、ランニングの新たな楽しみ方を提案する「ORPHE TRACK」

実際に履いて使って走ってから書く、ライターの南井正弘が「コレはホントにスグレモノ!」と太鼓判を押すスポーツアイテムを、毎週レコメンド!

 今年に入って発表されたno new folk studio(ノーニューフォークスタジオ)
の「ORPHE TRACK(オルフェトラック)」は、足裏のどの部分で着地しているか(着地法)、着地時の足の傾き(プロネーション)、地面との接地時間(左右バランス)、ストライドの広さ、ピッチなどを毎歩計測し、詳細な解析結果を専用アプリにフィードバックするシューズ。

 それらのデータを基に、効率的な走りやケガの少ない着地をランナーが習得できるアプリと専用シューズを組み合わせている。上記のような走行データは、これまでは大掛かりな設備でないと計測できなかった。

 だが、ORPHE TRACK ならORPHE COREと呼ばれるセンサーをシューズのかかと部分にセットし、いつも通りに走るだけで、重要なランニング指標をリアルタイムで解析し、ランナーに提供してくれる。

ORPHE TRACK 1.0ベータ版
メーカー名no new folk studio
製品名ORPHE TRACK 1.0ベータ版
実勢価格29,800円(税抜)

 実際にORPHE TRACKのシューズ(1.0ベータ版)を履いてみると、その見た目よりも軽く、一般的なランニングシューズとあまり変わらない。センサーをヒールに内蔵した分、若干後ろよりの重心になっているが、そこまでは気にならなかった。

アッパーは通気性に優れるナイロンメッシュ。前足部は若干細めだ。サイズ展開はハー フサイズがなく、26.0cm、27.0cm、28.0cmといった感じで1cm刻みなのがちょっぴり残念

 専用アプリを起動させ、しばらく経つと内蔵されたセンサーが振動するなど、着用者を飽きさせない点も興味深い。シューズには衝撃吸収や反発のための特別なテクノロジーは採用されていない。だが走り始めると、スポーツブランドがリリースするランニングシューズと比較して、衝撃吸収性、反発性が極端に落ちることはないとわかる。

走行データを計測するORPHE COREは、左右があるので入れるのを間違えないようにしたい
ORPHE COREは、インソールを外して、かかと部分に入れる

 もちろん、各ブランドが展開するトップモデルの域には達していないが、一般ランナーが普段のランニングに使用するには何ら問題ないはずだ。

 アウトソールの刻みは浅いので、アスファルトやコンクリートといった舗装路での走行に向き、公園の土では若干滑った。

アウトソールはアスファルトやコンクリートといった舗装路で高いグリップ性を発揮した
また走行中は、ソールユニットサイドが光るのを視認でき、夜間走行時には、歩行者から「カッコいいですね!」と声を掛けられた

 こうして普段の6kmランを終え、記録された走行データをアプリで確認。過度な場合はケガの原因となるプロネーション(着地時の足の倒れこみ)や着地がヒール(踵)かフォアフット(前足部)かを簡単にチェックできる。

専用アプリとORPHE COREが接続されると、このように状態が確認できる

 4回ORPHE TRACKを履いて走ったが、走った後に走行データを確認するのが楽しみになった。そのままORPHE TRACKでランニングを続けることはもちろん、このデータを基にそれぞれにマッチしたランニングシューズを選ぶことにも活用できる。

筆者のプロネーションの状態。左が12.1°右が11.6°
着地は左右ともヒール寄りであることが分析された

 ランニングは場所や時間を選ばず、一人でも走れることから、最も簡単に始められるスポーツの代表である。その一方で単純な動作の繰り返しであるから、飽きて止めてしまう人が多いのも事実。このORPHE TRACKは、走ることにエンターテイメント性を持たせているので、前述のように各種走行データを分析したいランナーはもちろん、「これまで何度も走り始めたが、退屈なのでやめてしまった……」というようなユーザーが、ランニングを継続することをサポートしてくれるかもしれない。

南井 正弘

フリーライター、『ランナーズパルス』編集長。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に『スニーカースタイル』『NIKE AIR BOOK』などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間52分00秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。