走るライター南井正弘のコレはホントにスグレモノ!

バッテリー残量の心配ゼロ! 正確かつ長時間、測位し続けるスントの時計

<実際に履いて使って走ってから書く、ライターの南井正弘が「コレはホントにスグレモノ!」と太鼓判を押すスポーツアイテムを、毎週レコメンド!

 ランナー、特に100kmや100マイル(約160km)といった超長距離のレースを走るランナーにとってGPSデバイスの電池寿命は気になるところ。これまでも長時間のレースに対応するモデルは存在したが、長時間モードを選択すると位置情報の精度に疑問が残るという問題があった。今回リリースされたSUUNTO(スント)の「スント 9」は、そんな悩みからランナーを解放し、走ることに集中できるようにしたモデル。

スント 9
メーカー名SUUNTO(スント)
製品名スント 9
実勢価格84,240円(税込)

 筆者のように最長レースが42.195km、すなわちフルマラソンの距離であれば、GPSデバイスの電池寿命はそれほど気にならない。なぜならアップルウォッチを含めたほとんどの機種が、GPS機能をオンにしても6時間程度のバッテリーライフは確保しているからだ。

 しかし、100kmを走るウルトラマラソンや100マイルを走るトレイルレースとなると、その制限時間は13時間や46時間となり、一般的なモデルでは対応できない。これまでもGPS信号の捕捉間隔を調整することで電池寿命を延長できる機種はあったが、最高精度のモードと比較すると、その信頼性はかなり劣ると言わざるを得なかった。

 今回リリースされたスント 9は、GPSを起動していても最高で120時間の電池寿命を誇るという。これは独自のフューズドトラックというテクノロジーが、GPSと加速度センサーを組み合わせることで、距離と軌跡の記録精度を従来よりも大幅に向上したため。精度を損なうことなく、消費電力を抑え、バッテリー寿命の延長に成功している。

 今回このモデルを、2年連続で出走したオーストラリアのゴールドコーストマラソンで使用してみた。スタート時に最高精度のモードでバッテリーライフは87%で、3時間52分00秒という自己記録でゴールした際も65%の残量表示であった。

 これはフルマラソンを走った後の電池の減り方としては驚異的なレベルであり、今回オーストラリアに滞在した6泊8日、レース本番以外もほぼ毎日走ったのにもかかわらず、1度しか充電しなかった。また最も精度の高いパフォーマンスモード、その次に精度の高いエンデュランスモード、そして最も電池寿命の長いウルトラモードを使い、それぞれで同じルートを走ったが、1km地点を迎える場所に大きなズレはなく、そのGPS精度の高さを実証してくれた。

バッテリーモードはアクティビティのスタート前もアクティビティ中もセレクト可能。この写真のバッテリー状況だと、パフォーマンスモードで11時間、エンデュランスモードで18時間の電池寿命

 スント 9は、同社ならではの高い精度のGPS機能、手首部分の心拍センサーの装備、スタイリッシュなデザインなど、従来からの特徴に驚異的に長いバッテリーライフを組み合わせることで、ランナーから高い支持を受けることは間違いないだろう。

同じ電池状態からのウルトラモードでのバッテリーライフは、GPSを起動させてもなんと67時間!

南井 正弘

フリーライター、『ランナーズパルス』編集長。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に『スニーカースタイル』『NIKE AIR BOOK』などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間56分09秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。

Amazonで購入