ぷーこの家電日記

第579回

夏休みの思い出と大好きなセールとさくらんぼの種取り

7月中旬。もう来週から学校は夏休みというところが多いのではないだろうか。私の学校の夏休みはもう30年ほど前に全部消化してしまったのだけど、あの長い長い休みをもう一度味わってみたいなぁなんて、毎年懐かしく感じたりもする。特別に何をするでもなかったけど、プールに行った後のあの気だるい感じとか、夕立前のちょっとした埃の香りとか、そういう感覚がとても懐かしい。セミ捕りをしたり、花火をしたり、アイスクリームを食べたり、嫌々宿題をしたり……。そんな昭和の終わりをのんびり過ごした小学生だった。

中学生の頃からは部活三昧だったような……。楽しくなかったのかあまり記憶にない。でも、高校生の頃に一度父親と買い物に行ったことを強烈に覚えている。反抗期が長く、父親と2人で出かけることなんてほとんどなかったのだけど、なぜかその年の夏休み、父と待ち合わせをして福岡の天神に行くことになった。

夏のセールが始まっていて、ワンピースとGジャンを買ってもらった。父に服を買ってもらったことなんて、後にも先にもその時だけな気がするけど、行き慣れない都会のおしゃれなお店で、自分で選んだ欲しい服を買う(買ってもらう)という初めての経験は、何十年経っても感動として覚えているし、買い物の後に入ったパフェ屋さんで「男1人で入りにくいから嬉しいー!」と、めっちゃくちゃ嬉しそうに美味しそうにマロンパフェを頬張っていた父がめちゃくちゃ可愛かったのも覚えている。

そんな体験からか、「夏のバーゲン」と聞くと、私にとっては夏祭りと同じか、それ以上に胸が高鳴って浮き足立ってしまう。あの時行った天神コアにまた無性に行きたくなってしまうけれど、2020年になくなってしまった。いや、なくなる前から私の買い物はほぼネットに移行してしまっている。

人混みに疲れることもなく、好きな時に好きなものが買えて、そして驚くほど早く届く。便利だけど、便利なんだけど、時々ふと、買った物自体より大切な何かを置き忘れてきたような寂しい気持ちになる。

ちょっとした不便とか、場の空気とか、熱量とか。無性に懐かしく感じてしまうのだ。そして大好きなセールも、昔は夏と冬の年に2回大きなセール期間があって、その時に全力で発散していた気がするけれど、今は大手のECモールなどで大型セールが頻繁に行なわれていて、気持ちも財布も分散されてしまう。そして「今季も戦い切った! 悔いはない!」といったホクホク感も達成感もなく、「セールだから買っておかなきゃ」みたいなパブロフの犬状態がダラダラ息切れしながら続いていく感じで、ちょっぴり疲れてしまう。

そんな中での先日のAmazonプライムデー。やっぱり脊髄反射的に「何か欲しい。私も欲しい。とても欲しい」みたいな感じになって、ひたすらAmazonを見たりしていたけど、見ているだけで結構お腹いっぱいになって満足した。危うく使いもしない高圧洗浄機とチェーンソーと草刈機を買いそうになったけれど(笑)。

今年のプライムセールで私が買ったものは一つ。「チェリーピッター」。さくらんぼの種取り器だった。たまたま予約をしていたイベント的なレストランに食事に行った時、デザートの準備をしているシェフが使っている種取り器を見て、「なにそれ? こんな道具あるのー!?」と感動して、その場で調べたらたまたまその日がプライムセール中で、少し安く買える! ということでラッキー衝動買い。私は開ける穴がなくてもドリルが欲しくなるタイプの人間だ。

さくらんぼなんてそんなに買わないし、まして種をとってデザートにするなんてことも、年に1回~数回程度のものだ。でもどうしても欲しくなったチェリーピッター。結果、買ってよかったー! 感動するほど気持ちよく種が抜ける。今年買ったものの中で一番と思えるほど、すごくいい買い物ができた!

ホッチキスで薄い紙を留めるくらいの感覚で、きれいにさくらんぼの種取りができる。1回使っただけで、もう元が取れたくらいの楽しさと満足感! さくらんぼの種の取り方を検索してみたら、太めのストローで刺して回して取るとか、割り箸をグッと押して取るなどの方法が出てきた。それらの方法を試してみたこともあったけど、どうにもしっくりこなかった。しかし、これを使うと気持ちよく種取りできる。

この種取りマシーンを使いたいがために、さくらんぼを買い足したいし、「抜ける種はないか?」と、チェリーピッター使いたい妖怪と化している。オリーブにも使えると知ったので、秋には初めてのオリーブ漬けなんかも作ってみるぞ!

あまりにも楽しくて、先日さくらんぼと桃のレアチーズケーキを作った。スポンジケーキを焼くのは面倒だし、一番の目的は種抜きなので、ゼラチンで固めるだけの簡単レアチーズケーキ。気持ちよくスポンスポンと種を抜き、そのさくらんぼをレアチーズケーキの上に並べていく。丸いままのさくらんぼで作るデザートは豪華で美しい!

たくさんのさくらんぼの種を抜き終わった後、まな板の上にたくさん散らばった種をまとめて口に入れた。そう、ケチケチ人間なので、種の周りのほんの少しのさくらんぼも残さず食べちゃおうの精神だ。口の中でゴロゴロと種を転がすと、甘酸っぱいさくらんぼの味が口いっぱいに広がって幸せ! そしてスイカの種のようにププププッとまとめて吐き出すつもりだったんだけど、口の中いっぱいに種を頬張りすぎて、ひゅっと種を一つ誤嚥しそうになり、思い切りむせてしまってキッチンが大惨事になった(笑)。さくらんぼの種を口に入れる時は量にお気をつけください!(誰もやらない!? 笑)

セールで買ったチェリーピッターを使って、さくらんぼの種抜きをしながらお菓子を作ってると、あの時セールの日に食べたパフェなんかを思い出しちゃった。今度三十数年ぶりに両親を連れてパフェを食べに行きたいなぁなんて思っているのです。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。