ぷーこの家電日記

第561回

趣味の家庭菜園にも値上がりの波が。新しい楽園を求めて

まさに三寒四温といった感じで、ポカポカ暖かくなったと思えば急に寒くなったりと、春と冬が行ったり来たりしている今日この頃。あと10日程で東京の桜も開花するようで、楽しみだ。

東京に住んでから行く機会がなかった筍掘りだが、去年家からも行きやすい場所に筍掘りができる観光農園を見つけたので、今年は友人と一緒に行こうと話しているのだけど、先日ニュースで今年は筍が不作だと言っていた。もうしばらくするとニョキニョキ生えてこないかなぁと、花より団子の私は開花以上に筍の動向が気になっている今日この頃だ(笑)。

桜や筍に限らず、春になるといろいろな植物が活動を始めてちょっとワクワクする。春の山菜はスーパーに並び始めたし、趣味でやってる家庭菜園の畑は早くも雑草がやる気を出していて、ホトケノザの紫の花が広がっていて「わぁかわいい! ……じゃないのよ!」と思わずノリツッコミしてしまう。

2月はバタバタしていたこともあり、春夏野菜の種まきも全くできていない。「もう苗を買えばいいかな」と種まきは半分諦めつつ、今年の野菜の計画を遅ればせながら立てているところだ。

そして、私の小さな楽園である家庭菜園の畑にも物価高の影響はあるもので、畑を借りてから6年半、数回の値上がりを経て、次回更新時(年契約)には借りた当初の約2倍の金額となってしまう。

家庭菜園をしていると時々というか、多々「野菜買った方が安くない?」なぁんて言われることがあるのだけど、そもそも節約のために家庭菜園をしているのではない。完全に趣味なのだ。畑代だけじゃなく、もちろん種代や苗代もかかるし、そして私なんて週末しかお世話ができないから、収量も質もたかが知れている。

プロが作る美味しくて綺麗な野菜とは比べ物にならないほどの代物だけど、高級スーパーで買った野菜よりもよっぽど高かったりするのだ(笑)。

それでも週1回程度、土と戯れて汗をかいて、そして小さな種がすくすくと立派に成長していくのを見るのは堪らなく楽しい時間で、何事も飽きっぽい私が珍しく長く続いている趣味だったりする。

畑を借りた時は、「ジムに行く月謝みたいなもんだし、それくらいなら」という自分を納得させるちょうど良い言い訳があった。でも倍額はさすがに高い。何事も結構どんぶり勘定であまり気にしない私でも、さすがに気になりすぎる金額だ。完全に貴族の遊びじゃないか! と思うし、そして自分を納得させるのにちょうどいい言い訳をしばらく考えてみたけど、全く見つからない。

選択肢は3つだ。1つ目「契約を終了して、区民農園の抽選が当たったらその期間楽しむ」。2つ目「借りている区画を半分にする」。3つ目「新しい場所を探す」である。

まずは1つ目の区民農園。おそらく全国にあるであろう自治体運営の貸し畑。生き甲斐づくりや健康促進などを目的に自治体が福祉事業として貸し出している農園である。

金額は民間に比べるとかなり低めに抑えられている点はものすごく嬉しいけれど、期間が1年11カ月(交代時期の1カ月を除く2年間)で、春をまたぐ作物は1回しか作れないし、前回誰が何を作っていたかも分からないので、連作障害など当たり外れはありそうだし、少しずつ土を育てていくという楽しみは味わえない。そして何より抽選倍率が高くて当たらない! 趣味を続けていくにはちょっと難しそうだ。

2つ目が区画を半分返して半分の面積で楽しむ。私は貸し農園を2区画契約していて、猫の額ほどの面積ながらも少し広めの畑で楽しめていた。半分返すともちろん半額になるわけで、出費は借りた当初と同じ程度に抑えられる。でも正直「半分かぁ……」と残念な気分が勝って納得できない。

そして3つ目の選択肢、新しい場所を探す。これは都市部において何よりも高いであろう土地というものだし、貸し農園をやっている事業自体も非常に少ない。そんな都合のいい場所なんてないよなぁと思いながら探してみると、今借りている畑から数キロ先に、出来て1年も経たない貸し農園を見つけてしまったのである。

今借りている畑と比較してみると、お値段は半額で広さは1.5倍。嘘のような嬉しい話。

ということで、先日見学に行ってきた。家から片道車で1時間程度。今ある畑が結構住宅地の中にあるのに対して、たった数キロ先なのに近づくにつれて畑ばかりが広がる、ある意味憧れの田舎風景。最後は「お願い対向車来ないで。無理ー!」と願うような細い道へ入ると、一気に広い畑が目の前に広がって、手入れが行き届いた貸し農場が広がっていた。

日当たり良好! 土の質もとても良さそう。気に入ったので、引越しを決心して、その場で契約を済ませた。

今借りている畑は6年半コツコツを土を耕し、自前で用意した蟹殻や廃菌床なども入れてフカフカで良い土の畑で愛着もかなりある。そして何より管理人の方が親切な上に博学で話していると勉強になるし楽しかった。共用部分にはハーブなどを植えて管理して、「ご自由にどうぞ」と開放してくれていた。そんな管理人の方がいる安心な畑を離れるのは1番不安で後ろ髪を引かれる気分だけれど、身の丈にあった場所でまたコツコツと遊んでいくしかないのである。

契約を済ませたはいいけれど、4月~8月の5カ月間はなんと両方借りている状態。夏の雑草との戦いは今までの2.5倍頑張らねば乗り切れないという、自ら選んだとはいえ地獄の道。

どうにか雑草への手間を減らすべく、防草シートや小型の耕運機などを探していると、見ているだけでいろいろ欲しくなって、「刈払機もちょっと欲しいなぁ」とか、「今度は残渣も自分で処理しなきゃだからハンディソー買っちゃうか?」などとぐんぐん物欲上昇中。

単年で見ると安くなるどころか、むしろコスト上がるんじゃないか疑惑にギュッと目を瞑りながら、ワクワク菜園の季節がスタートするのでありました。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。