ぷーこの家電日記

第535回

美味しいものは共有したい! 食いしん坊の秋

9月に入り、朝晩が少しだけ涼しくて「おっ、ちょっと秋っぽい!?」と秋の雰囲気を感じる瞬間もあるけど、ほぼ「全然秋じゃなかった! まだまだ真夏だった」みたいに暑くて、まだ秋は遠そうだ。

ただ、秋限定の栗とか芋とかのスイーツなんかもたくさん並び始め、実際の季節より一足先に気持ちは秋になってきた。私にとって秋はやっぱり「食欲の秋」。いつでも食欲の季節だけれど、実りの秋は食欲っぷりが加速する気がする。

私は家庭菜園とか陶芸とか料理とか、それなりにいろいろ趣味があるけれど、1番の趣味といえば「美味しいものを食べること」と断言できる。類は友を呼ぶというか、趣味仲間が増えるというか、食いしん坊の周りには食いしん坊が集まるもので、私の友人も基本食いしん坊が多い。

共通の趣味は食べること。共通の話題は食べ物のこと。一緒にご飯を食べながら、基本ずっと食べ物の話をして盛り上がる。食材の話、調理法の話、行きたい店の話、いつかどこかで食べた美味しい土産話、ご飯を食べながら尽きない食べ物話をしていると、お腹も気持ちも思いきり満たされて最高に幸せだ。

そんな共通の趣味を持つ友人と、先日楽しみにしていたご飯のイベントに行ってきた。通常の店舗ではなく、半年に1度程度開かれるイベント的なレストラン。そこは私にとってレストランというよりもテーマパークのような存在で、最高に楽しくて美味しい時間だ。

そんなテーマパークで友人と待ち合わせて会った時に、「荷物になるけど、これ持って帰って!」と紙袋に入った手土産を貰った。「あらやだ、私めっちゃ手ぶらで来たよー!」と恐縮すると、「全然気にしないでー! 美味しいものって共有したいじゃない?」なぁんてお茶目に笑うのだ。

私は「わぁ嬉しい! ありがとう!」と、素直にあっさり気軽に頂いて、そしてそのままテーマパークでの楽しい時間をキャッキャとはしゃいで過ごしてそのまま帰宅した。家に帰って頂いた袋を開くと、とても人気な酒蔵の季節限定酒と、食べたことの無い見るからに美味しそうなおつまみが入っていた。

「気軽に頂いちゃったけど、こんな豪華なセット!」とビックリしながら、後日遠慮なく「美味しい! 美味しい!」と感激しながら夫と宴会を繰り広げた。

会う前にちょっと寄り道程度で準備できるようなものじゃない。きっと自分の大好きなものをわざわざ予約してまで購入して、「きっと好きだよね?」と私の分まで買ってくれてたんだろうなぁと考えるだけでグッとくる。

ただでさえ美味しい食べ物が、その心遣いがスパイスになってさらに美味しい! お返ししなきゃというよりも、このたまらない感動を友人にも味わってもらいたい! と、次回会うときの友人への手土産計画を考えることに。

でも、そんな手土産計画は早々に頓挫。なんせ頂いたものが完璧すぎるのだ。お酒は美味しいだけじゃなくて、もうラベルが可愛すぎてジャケ買いしたいくらいに素敵なもの。さらにそれを入れているワイン用の袋がこれまた可愛い!

おつまみは気取った感じじゃないのに、他にはない美味しいものでセンス抜群。同じ路線で頑張っても無理なのよ! と頭を悩ます。「鳩サブレ缶とかかな?」と、完全にお土産路線(笑)。

そんな中、「美味しいものって共有したいじゃない?」と言われた言葉を思い出し、原点に戻る。お返ししなきゃみたいな感じで手土産を買ったとしたら、ずっとお返し、お返しのお返しみたいな感じで、よく分からない贈り合いみたいになっちゃうし、そういうことじゃないんだ。

私が「ちょっとこれ食べてみてよ!」とつい共有したくなるものを考えた時に思いついたというか、思い出したのは、私の大好きなカレー本だ!

私はカレーが好きで普段からカレーはルウじゃなくてスパイスから作る。そして奥が深くて楽しいので、スパイス辞典なんかも持っているし、見ているだけで楽しいのでカレーの本を本屋さんで見つけてしまうとついつい買ってしまう。

数々のスパイスやカレーの本を持っている中でも、友人から「スパイスカレー作ってみたいんだよね」みたいなことを言われる度に、「それじゃぁこれを」と買ってプレゼントしてしまう1冊が、「サンラサーのココロとカラダが整うスパイスカレー」である。

何が良いってまず写真。作らなくても写真集を見ているような気持ちになってカレーへの気持ちが高まる。次にシンプルさ。「え? これだけで本当にカレーになるの?」と正直最初は驚く。

「◯種のスパイスを合わせました」の◯種は多ければ多いほど本格的みたいなイメージがあるけれど、そうとは限らない。シンプルな構成で初めて作る人にもピッタリ。そして最後に味。どこか懐かしくなるような優しさと、ちゃんとスパイスがしっかり効いて深いスパイスカレーが自宅でも簡単にできてしまう。そんな大好きな本をプレゼントに選んだ。

そして本だけじゃない。レシピ通りにスパイスを小分けにパッケージしてキットにしてみたのだ。スパイスカレーを作る最初のハードルはまずスパイスだ。いろいろ揃えるのも大変だし、1度や2度使ってなくなるものじゃないので、ちょっと1度作ってみようみたいな気持ちでは手を出すのに躊躇しちゃったりする。

なので、あらかじめレシピ通りに小分けして、キットにして一緒に渡せば、すぐに作れるし食べられるじゃないか! と今更気づいてしまったのだ。全ページ全メニュー分じゃなくて、「このカレーが好き!」という、私が共有したいオススメレシピをまずはピックアップして、「これが美味しくて大好きなの!」なんて手紙まで書いたりして、私の私らしい共有したい手土産セットの完成!

薬包紙に包んでみたり、シーラーでパッキングしたり、お店屋さん気分を味わいながら作った手土産セット。そして使い切った後も本は手元に残るので、気に入ったら「何ページのこれ作ってみたい」って言ってもらえたらいつでもキットを渡せるという永久保証付き。

作りながら楽しくなっちゃってもっと作りたい! この本を持っている友人全員にリリースしたいくらいだ(笑)。自分の美味しいを共有する楽しさに火がついてしまった食欲の秋の、始まりなのでありました。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。