ぷーこの家電日記

第517回

ゴールデンウィークどう過ごす? 直前の憂鬱

今年もとうとうこの時期がやってきた。「ゴールデンウィーク前」という憂鬱だ。いや憂鬱という言葉が合っているか分からない。「連休めちゃくちゃ楽しみ!」という気持ちと、「今年も結局何もせず、がっかり後悔するんだろうな」という相反する2つの感情が同時に押し寄せて、直前は正直ちょっと気が重く憂鬱になる。

もちろん原因はほとんど私にある。どこかに行きたいけれど出不精という相反するというか、どちらも正直な気持ちでウダウダしてしまうのだ。そしてゴールデンウィークはどこへ行っても混んでいる。人混みは苦手だし堪え性もないし、この時期は宿泊費も高い。自家用車移動にしても、かなりの渋滞が待っている。

そして致命的なのが、とにかく面倒くさがりなところだ。楽しいことは大好きだけれど、その前段階の計画を立てたり調べたりすることが面倒くさくて「ま、いっかー」とダラダラ過ごすことを選んでしまったりする。

夫も楽しいことに乗るのは好きだけれど、率先して計画を立てたりするのは得意ではないので、「どこにいく?」と聞くと「どこに行こうか?」と答えるし、「何食べる?」と聞くと「何食べようか?」と、オウム化してしまう(笑)。そして夫が珍しく「行かない?」と誘ってくれるとすると、私が「あまり好きではないし、どちらかといえば苦手だ」と、10年以上伝え続けているスポーツ観戦ばかりだ。

夫がスポーツ観戦が大好きなので、私としてもパートナーが好きなものを、一緒に楽しめるよう努力というものはやってきたつもりで、その努力の結果として、年間で1番見る事になるプロ野球に関しては「嫌いじゃない」どころか心から楽しいと思えるように好きになったし、自他ともに認める「にわかのプロ」として、世界大会など大きな大会などは、どのスポーツも心底楽しめるのだけれど、何せ元から好きというものではないので、他の観戦の誘いは気乗りせず断ってしまう。

毎度断ってしまうので、夫も「自分の提案は全て却下される」という失敗体験のように刷り込まれ、ますます2人計画を考えようとはしなくなった。

なぜ私がスポーツ観戦が好きではないのかと考えてみると、おそらく子供の頃の苦い体験というか、我が家のジェンダー思想みたいな小難しい話になる。「野球やサッカーは男の子のスポーツ」といわれ、競技場での観戦の経験を得られなかった。父は兄を連れて行くのに私は連れて行ってもらえない。そしてそんな状況でもテレビのチャンネル権など、子供の私にはなかったので、夏場はずっとその男の子のスポーツが流れていて、見たいテレビも見られない。そんな経験が「スポーツ観戦憎し!」みたいな感情になって、こんな歳になっても、いまだに心の中でくすぶっているのだ(笑)。

夫は大好きだけど私には興味がないスポーツ観戦、私が好きだけれど夫には興味がない家庭菜園。どちらも「相手が楽しんでいる顔を見るのが目的」くらいな気持ちでたまに付き合ってあげるという譲歩もいいし、あとはそれぞれ「相手が大切にしている事やものをただ尊重する」という気持ちで、快く受け入れるけれど無理に合わせないというのも大切だなと思う。

自分の好きなものを好きになってよと求めるのも、自分が嫌いなものだから不要と考えるのも、どちらもわがままだし、1人の時は1人の時間を、2人の時は2人の時間を楽しめればそれで良いのかなという方針で、我が家は、休日はお互い1人で自由行動という感じだ。

けれど、せっかくの連休となると、2人の時間を楽しむタイミングな気がする。「2人ともが楽しめる何か考えなきゃ」というのがゴールデンウィーク前の憂鬱なのである。

渋滞はイヤ! 行列で待つのもイヤ! でも遊びたい! という、私のわがままな要望に応えられるのは……。そうだ! サイクリングだ! 2人とも体を動かすことはけっこう好きだ。私は根がぐうたらなので出かけるには少しの「どっこいしょ」が必要だし、継続した運動なんて全然できないけれど、動くこと自体が嫌いなわけではない。2人で花見や散歩なども出かけるけれど、歩いていく場合は行く先も半径5、6km圏内までと限られる。

それが自転車だったら、半径30kmくらいと選択肢がグッと広がる。私がかなりの方向音痴なので1人で出かけると地図や道順が不安で気になりすぎるので、あまり冒険的に小道に入ったりできないけれど、地図に強い夫と一緒だったらかなり自由に動ける。1日中遊び回って疲れたとしても、「明日も休みだー!」という、気持ちが良い感じで心のストッパーを外してくれるので、日帰りだったとしても全力で満喫できるのが連休の良さでもある。

2人の最大の共通点ともいえる「食いしん坊」も、サイクリングの合間合間に満たすことができる。駅から遠くても、駐車場がなくても、入り組んだ住宅地の中にあっても、自転車の自由度があればどこでも行けるのである。食べることだけじゃなくて、何かしらのアクティビティもやりたい。潮干狩りはきっと人が多すぎて楽しめないだろうし、ハゼ釣りはまだまだ時期じゃない。

地図と睨めっこしながら「自転車圏内でたけのこ掘りできる所あるよ! ゴールデンウィークだと遅すぎるかな?」などと、少しずつ盛り上がってきた我が家。来週から始まるゴールデンウィーク、今年は飛び石連休なので、遊んで仕事して遊んでと、緩く過ごしてたら、あっという間に終わりそうだけれど、それでも「ダラダラゴロゴロして気づけば連休最終日で後悔しかない!」みたいな過ごし方をせずに済みそうなので少し憂鬱が晴れてきた。あとはお天気の神様に祈りながら、休みの日を楽しみにしようと思っているのでありました。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。