ぷーこの家電日記

第518回

フラストレーション爆発。我が家のゆるい遠隔介護

今年のゴールデンウィーク、私はカレンダー通りの飛び石連休、夫は飛び石なしの10連休という長期休暇だ。ゴールデンウィーク前半、夫は1人の時間を満喫する予定があいにくの天気になってしまってちょっと気の毒だったけれど、私にはとってもありがたい日になった。

今までも夫が休みで私が仕事の日は、夫1人で旅行に行ったり遊びに出たりもするのだけれど、何も予定がなく、かつ気が乗っている日には朝ご飯作りから始まり、洗濯に掃除まですべてこなし、下手したら仕事から帰宅すると冷えたビールは出てくるし、夕飯まで用意してくれていたりして、私はまさに上げ膳据え膳状態。めちゃくちゃ優雅な気分を味わえる。そこまでフルセットで用意されてない日も、いつもよりずっと家のことをやってくれていて、夫の休み万歳なのだ! 嬉しい!

それを感謝しつつも、今回の休みはさらに上乗せして押し付けちゃったワークも。義母の1週間分の食事作りだ。以前もこの連載で書いたけれど、福岡で暮らしている義母に、去年の夏から毎週食事を作って送っている。義母は軽度の認知症で、福祉の力を借りながらも、今もなんとか1人で暮らしている。買い物や料理など、少し心配なところもあるので、毎週お惣菜を冷凍で送っているのだ。

買いだめしているダンボール1箱にお惣菜のパックが24個入るので、毎週6種類×4パックずつほど作る。そしてただ食事だけを送るのも寂しいなと思い、ダンボールの隙間に緩衝材を兼ねてお菓子なども入れて毎週発送している。ひとりご飯を少しでも楽しいものにして欲しいという気持ちもあるし、毎週配達の方が家を訪れるという小さな関わりだとしても外部との関わりは1つでも多い方がいいと思うし、離れているけれど家族もちゃんと気にかけていますよというお世話になっている人へのアピールでもあるような……。

そんな色々な気持ちを込めて続けているお惣菜便。もちろん始めた時は完全好意だし、見返りを求めているわけでは全然なかったのだけれど、私もそれなりに忙しい時もあれば体調が悪い時もある。夜中にバタバタ作りだめしたり、仕事が遅くなって集荷時間ギリギリに宅配の営業所に駆け込んだり、そこそこ綱渡りみたいに毎週なんとか送りホッとしたりしているのだけれど、感謝もされず他人事で興味さえ持たれないと、いくら見返りのない好意からだとしても人は誰しもフラストレーションが溜まるのだ。

半年ほどを過ぎた辺りで、ちょっとした夫親子の軽口を引き金に、夫に対して盛大に爆発してストライキを起こした。夫が3週ほど自分でやってみて結構反省してくれたようだけれど、喉元過ぎればなんとやらで、1週間ほどでまた元通り。私はその後も粛々と毎週ご飯を作っては送り、夫は相変わらず反応もなく、こちらが忙しくても体調が悪くても、自分だけは悠々と睡眠時間と休みを確保し、何だかなぁという気持ちがくすぶっている。ということで、この休みにいわば強引に押し付けたわけだ。

「私は今週仕事で忙しいからね?」などの遠回しな言い方では全く伝わらないので、「たまには作りなさい」とドストレートに断る余地を与えず(笑)。もともと料理をそんなにする人でもないのに、余裕を持って少しずつ作るわけでもなければ、作るものを決めて買い物をし、計画的に食材を使い切るということもしない。「大丈夫か?」と心配にもなるけれど、でもそこで口を挟みすぎると不貞腐れてしまうし、自分で考えることを放棄してしまうのでグッと我慢だ我慢。いや、それでもちょっと言ってしまうけど(笑)、口にしたいことを2割ほどに抑えて任せておいた。

そうすると、仕事から帰ると、「今日はねー、20個作ったよー!」と嬉々として報告してくれた。私が作ったものには見向きもしないからと、自分がされて嫌なことを同じように返したら負の連鎖になるので、「何作ったの? これ美味しそうだね!」「お義母さんこれ好きそうだよね!」と全力で褒め倒した。そして義母にとっても、とても良いプレゼントになったなぁ。大好きな自分の子が自分のために作ってくれたスペシャリテだもの。嬉しいに決まっている! 美味しいに決まってる! 来週には夫に選ばせて、ちょっと美味しいお菓子でも買って母の日に送ってあげよう。

離れて暮らしているから、これくらいのストレスで済んでいるけれど、これが近居や同居とかだったら想像を絶するほど大変だろう。食事だけじゃないし、こちらの忙しさとか余裕のなさとかきっとお構いなしだもんなぁ。このすぐに帰れないという物理的な距離はデメリットも多いけれど、心の余裕というデメリットを上回るほどのメリットもある。

これから先も何度も夫ともぶつかるだろうし、義母ができないことも増えてくるだろう。そのうち、まだ元気な私の両親の介護問題なども出てくるはずだ。地元から離れていて、まだまだ先だと思っている人もその日は突然やってくるし、急にそんな状況になると人はかなり焦る。認知症のことだったり、介護保険のことだったり軽く頭に入れておくだけで慌て方は違ってくる。

そして、IT社会の今こそ遠隔でできることもすごく増えてきた。離れて暮らす親が心配な人に一度読んでもらいたい本が、「親が心配な人の見守りテック スマホでできるスマートホーム化の極意」という本だ。著者の和田氏が実際に試行錯誤して、親の手助けのためにDIYで実家をスマートホーム化した実践的ノウハウが詰まった驚きと感動の1冊である。自分の暮らしもしっかり保ちつつ、介護問題にどう対応していくか、これからの大きな課題だなぁと思うと共に、「あぁ、私もそんな年代になったのかー」と、自分の加齢をしみじみ感じる今日この頃なのでした。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。