ぷーこの家電日記

第501回

誕生日パーティーはおうち居酒屋ごっこで大盛り上がり

「小春日和」。まるで春のようにポカポカ暖かく、穏やかな天気を指す言葉で、秋の終わりから冬の初めごろに使うものだ。春には使わないけれど、こんな12月の中ごろにもあまり使わないよね!? と驚くほどに、暖かい日がまだまだ続いている。

私の畑は、冬収穫の大根と、夏野菜のピーマンが同時に採れるという、とても不思議な状態になっている。でもこんな暖かな日もそろそろ終わり、冬らしい日がやってきそう。そろそろこたつでも出すかと思ったらまた急に暖かくなったもんで、洗ったこたつ布団を畳んでおいたら、猫たちの昼寝場所にされて毛まみれ。寒気が流れ込んでくる前にもう1度洗濯をして、こたつの準備をしなければならなさそうである(笑)。

そんな冬だか秋だか分からない先日、我が夫が誕生日を迎えた。10代の頃から付き合いのある夫が、気づけば47歳。お互いに歳をとり、完全に立派なおじさんとおばさんでびっくりする。何も変わっていないようで、話題はキラキラした眩しい若者のたわいのない話から、健康診断の結果や親の介護など、それなりに中年化していっている(笑)。

それでも大きな病気や事故などもなく、ここまで来れたことが本当にありがたい。そしてお互いに10代の頃のように、油も量もいくらでもどんと来い! みたいには食べられなくなってきたけれど、今も美味しいものを一緒に食べて飲んでしていられるのは楽しい。今年も健康に気をつけて、頑張って私に振り回され続けてほしいものである(笑)。

そんな夫の誕生日、我が家では定番のお祝いコースがあった。誕生日前後の週末、ちょっと遅めの朝から御徒町に出かける。朝から開いている飲み屋も多い御徒町。まずは毎年同じお気に入りの立ち飲み屋さんで瓶ビールで乾杯し、大衆居酒屋らしいおつまみをいただくのだ。その後お店を出て、アメ横を散策する。

戦後の闇市の流れもあり、アメカジのお店も多く、日本人としては結構大柄な夫の服や靴なども揃うので、良さそうな物を見つけたら誕生日プレゼントも兼ねて買う。歩き疲れたらまたふらっとどこかの店に入り、飲んでは散策。そして帰る頃には外は真っ暗。私たちはぺろぺろなご機嫌な酔っ払い。そんな感じが、定番の夫の誕生日祝いである。

それがコロナ禍に入り、数年お預けになっていた。家で「何か食べたいものある?」とリクエストを聞いて、ささやかな誕生日パーティーをすること数年。去年は久しぶりに行けるかなと思っていたけれど、第何波か分からない流行がちょうど来ていて、あえて人混みに出かけても楽しめないと、やっぱり家でお祝いすることになった。

ちょうどその頃ハマっていたのが市場通いだったので、朝早くに夫が1人で市場に向かい、食べたい魚を買ってくる。そして持ち帰った魚を見て私がメニューを考えて、その他の食材や飲み物を買い出しに行って準備をする。その間に夫はふらっと数時間外で散歩をして時間を潰し、帰ってきたら家が居酒屋になっているのだ! おうち居酒屋ごっこはかなり楽しくて盛り上がった。

あれから1年。「今年の誕生日はどうする?」と聞いたら、「うーん。出かけてもいいけど……、いや、今年も家居酒屋がいい!」と言われた。去年は実際に楽しんでくれていたけれど、かなり気に入ってくれてたんだなという評価を1年越しに貰った気がして嬉しい。「オッケー! じゃあ居酒屋開店しちゃうぞー!」と張り切っちゃう私。雰囲気を出すために、Amazonで赤提灯まで買っちゃった(笑)。

そして今年も朝早起きして夫は市場へ。何を買ってくるかなと思ったら、去年とほぼ同じラインナップで、夫は鯵とイカと鮑がとても好きなんだなと知った。本人も「本当だ! 去年も確かに同じだったね。かなり好きみたい!」と改めて自覚していた。いくつになっても新発見はあって面白い。

去年特に意図があった訳ではないのだけれど、メニューを書くのに選んだのがスケッチブックで、そのスケッチブックの次のページに今年のメニューを付け足した。きっと数年後には全ページが埋まり、思い出のスケッチブックが完成するのだろう。我が家での新定番「誕生日には居酒屋ごっこ習慣」が誕生したのである。

100均で買っておいた小筆で、去年の墨汁を引っ張り出してメニューを書く。すずりなんてないから、墨汁を入れるのは豆腐の空きパック(笑)。出来上がったメニューは“こんな居酒屋ありそうでなさそうな、見たことあるような無いような”そんな不思議な感じがコンセプト。

いい店でディナーなんてオシャレなものではないけれど、純粋にワクワクしながらメニューを開いてくれるノリのいい夫でよかったし、我々らしいなと思う。そして私も完全に店主気分で、「今日いい魚入ってるよ! どう食べる?」なんて言いながら、お腹いっぱいになるまで誕生日をお祝いしたのであります。

いくつになっても誕生日はやっぱりめでたいし、来年もまた盛大に楽しい居酒屋が開店できるよう、健康で頑張ってほしい。この歳になってくると、本当に健康しか願うことがなくなるくらい、やっぱり健康って大切で貴重でありがたいものだなぁとしみじみしてしまうのでありました。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。