ぷーこの家電日記

第500回

連載500回を迎えました! 継続の力を体感した10年

なんとなんと、本連載「ぷーこの家電日記」は今回で500回を迎えることができました。10年前の9月にスタートして丸っと10年。あっという間だった気がするけれど、ミドサーだった私は気付けばミドフォーと呼ばれる45歳中年真っ只中を突き進んでいる。

10年はやっぱり結構な時間だし、500回はやっぱり結構な回数だ。毎週2,000文字くらいなので、百万文字もの文章を10年かけて書いてこれたのだ。これは編集部始め、ずっと読んでくださっている皆様あってのことだし、本当に感謝感激雨霰でございます。ありがとうございます。

私は元々文章を書くことが得意とは言えないし、それ故にとにかく筆が遅い。余裕を持って書き始めれば良いところを、いつもギリギリから書き始める。そのギリギリ癖は10年改善されることもなく今も継続中だ(笑)。

1度ギリギリでなんとか乗り切るという体験をしたら、それが強烈な成功体験として脳に残るので、その快感を無意識に求めてしまうから治らないと見聞きしたことがあり、その真偽は知らないけれど、体感的にはめちゃくちゃ分かる! もうこれは仕方ないと割り切ってこれからもきっとギリギリ人間だ。

それでもなんとか10年続けることができた。「1度も原稿を落としたことがない」と言いたいけれど、実は1年目だったか2年目に1度だけ落としてしまったことがある。いつも通りギリギリに終わらせて編集部に送ったのだけれど、翌朝「イラストが無いです」と連絡をもらった。

かなり焦りながら、「すみません。出先なので夜まで送れません」と言うと、怒られるでもなく「じゃあ来週にしましょう」と優しく言ってもらい、ありがたいやら申し訳ないやら……。そんなことがあり1度だけ飛ばしてしまったが、それ以降はなんとか同じようなミスもせずにここまで10年やってこれた。

1回1回は毒にも薬にもならない、浅漬けよりもあっさりとした箸休め駄文なのだけれど、この連載で私が得たものはすごく多くて、「継続の力」と簡単な言葉で表現するには足りないくらいだ。

継続することで周囲からの大きな信頼と、自分の中での小さな自信を得た。元々私は飽きっぽく何をやってもあまり続かない。熱しやすく冷めやすい気質で、一気に何かにのめり込んで、その後憑き物が落ちたようにパッと飽きたりするのだ。なので好奇心旺盛で何かと手を出してしまうけれど、結局何も突き詰めるまで行けないし、多趣味の無趣味状態だったし、継続の先に見えるこの世界を知らなかった。

個人ブログも、毎年年初に「今年こそちゃんと更新したいなと思っています」みたいなことを書くだけみたいな状態になっている(笑)。私に必要なのは「やる気」ではない、明確な「締切」だ!

なので、この連載のおかげで何かを続けるということが初めてできているし、不思議なもので、それに伴って全然関係ない他のいろいろなことも放り投げず、結構続くようになった気がする。

「私には合わないみたい」とか「やっぱ無理」みたいな境地にたどり着いた際に「この先に開ける世界があることを私は知っている」と思えるようになったのだ。そしてそれは「何もできない何も続かないダメな自分」と思っていた中で、自信にも繋がった。他者からも「10年連載をしている」という実績だけで「続けられる、続けさせてもらえる」の背景含め十分な評価に値するので、継続≒信頼なのかもしれない。

この夏から私は毎週九州に1人で住んでいる義母に食事を送っている。認知症を発症してから、ケアマネさんやヘルパーさんなどの手を借りつつ、なんとか一人暮らしを継続している義母。

ご飯を炊いたりはできるみたいだけれど、短時間でパパッと買い物をしたり、メニューを考えたり調理したりするのが難しくなっている。お惣菜を買ってきてもらって食べたりしていたようなので、「じゃあ、私が作って送ろうか?」と自ら手を挙げた。この連載の経験をしていなかったら「毎週とか絶対無理だわ私。」と、多分というか、絶対にノータッチで過ごしていたと思う。でも今の私は「続けられる自分」だもの。大丈夫。と思えるようになっていたのだ。

週に1回、締切もある。連載と同じじゃん! と無駄な自信も(笑)。夏から毎週20回程ダンボールいっぱいのお惣菜の仕送りを、いまだに落とすことなく続けられているし、とても喜んでもらっている。この「ぷーこの家電日記」は回り回って自分の家族のためにも役立っているのだ。義母が今後1人で過ごせる時間がどれだけ続くか分からないけれど、「ぷーこのお惣菜便」も目指せ最初は100回! 是非とも長く続けさせて欲しいところだ。

そして本当に、家電日記と言いながら、ほとんど家電も出てこない日常日記を毎週お読みいただいている方に心から感謝します。これからもどうぞどうぞよろしくお願いします!

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。