ぷーこの家電日記

第469回

フレッシュマンが眩しい! 40代の老朽化現象

4月に入り、入園・入学に入社とフレッシュな報告をたくさん目にする。今日もちょっと大きめの制服に身を包んだ中学生を見かけて、知らない子なのに何だかグッときた。みなさまおめでとうございます! 楽しいことがたくさん訪れますように心より願っております。

そんな私といえば、フレッシュさと逆行して、どんどん加齢という波に絶好調で乗っている。頭はできるだけ柔軟に保つよう心がけつつも、見た目は加齢にあらがう願望も努力もなしにそれなりに楽しくやっているのだけれど、40歳を過ぎてから細かな不調が急に増え始めた。ハード面の老朽化を感じる。

初めて大きなめまいに襲われたのは2年ほど前。休みの日に2度寝を貪っていたタイミングで玄関のチャイムが鳴った。宅配便が届くことになっていたので、ガバっと起き上がった瞬間に私は寝ていた。「!?」と最初は自分で分からないほど、まさに起き上がったと思ったらバタンキューと横になっていたのである。文字通り目が回るとはこのことで、天井も床も分からないほどにぐわんぐわんと視界が回るし目を開けていられない状態。そして立ちあがろうにも上手く立ち上がれなくなったのだ。怖さと目が回る気持ち悪さで背筋が凍りそうな気持ちだった。

床と壁を這うようにインターホンに出て荷物を玄関前に置いてもらったけれど、全然回収できる状態ではない。再びベッドに横になり目を閉じる。方向も分からないような発作的めまいは、おそらくものの1分くらいで治った気がするのだけれど、寝返りを打った瞬間に再びめまいが起こる。

そんな初めてのめまい体験は「良性発作性頭位めまい症」というもので、前庭という器官にある耳石という小さな炭酸カルシウムの結晶が剥がれて、平衡感覚を司る三半規管に入り、耳石の振動でリンパ液の動きが大きくなることで誤った信号が脳に伝わりめまいを起こすらしい。耳石が三半規管から出るか耳石が溶けてなくなると、めまいはあっさりとケロっと治ってしまうのだけれど、それまでは頭を動かすと何度もめまいを起こすし、目を瞑っていても眼球がぐるぐる勝手に動くのでとにかく疲れる。ずっと船に乗っているように気持ち悪くて仕方がない。耳石が剥がれ落ちる原因として、「頭をぶつけるなどの物理的刺激」「ストレスなどによる自律神経の乱れ」「加齢」などなど色々な要素があるようだ。こんなところでも不意に加齢なる現実を突きつけられる(笑)。

めまいの解消のために寝返り体操なるものをすること数日、悪さしていた耳石はどこかに行ったようで症状は落ち着いた。何ごとも無かったように急にケロっとするので、喉元過ぎればなんとやらで、完全に忘れて元の生活に戻るのだけれど、それから半年〜1年くらいのペースでこれまた突然発作が起きる。

私の発作は決まって起床時。目が覚めて起き上がった瞬間に目が回って「うわー、また来たか」と焦ることになる。そして最近また久しぶりに酷い発作が起きてしまった。歩くと転倒の危険があるのでなるべく動かず、なんとか在宅で仕事をしつつも、めまいでずっとゆらゆら揺れている感じがするので、とにかく疲れるしずっと吐き気が伴う。夕飯の準備もできずぐったり横になっていたりしたけれど、浅い眠りの中で、漁業船に乗って「無理ー! 無理ー!」と船酔いしながらマグロを一生懸命釣る夢と、何か板のようなものに括り付けられてぐるぐる回されるよく分からない宇宙飛行士の訓練なる夢を見た。夢でまでずっと乗り物酔いしている(笑)。

「まためまい症が起きた」なんて話すと、「実は私も……」と同年代の友人がかなり同じような体験をしていることを知る。初めてめまいを起こした時に「重篤な病気だったらどうしよう」とかなり怖かった気がするけれど、案外多い症状なのかもしれない。20数年前は恋バナなんかに花を咲かせていたのに、だんだん健康診断でここが引っかかったとか、更年期に老眼、そして親の介護の話だとかがトピックに上がってくるようになってきた。そして「あぁ、中年真っ只中だなぁ」とちょっと軽く笑いが出てくるのだ。

めまい以外にもいくつかガタが出始めているこの体、どんな症状も改善や予防に「規則正しい生活」が大切だと必ず言われてしまう。食事・運動・睡眠。3つともおざなりにしてきたツケが出てきたのかもしれない。体力と時間を無尽蔵だと過信していると、そのツケは数年後・数十年後に回ってくることになる。若者のみなさまにおかれましては、「規則正しい生活とか無理じゃん!」と言いつつも、無理せず過信せず、でもそれでも思い切り何かに夢中になって過ごしてほしいなぁ。

私が次にフレッシュマンとなる時は十数年後の「老人の新人」かなぁ(笑)。今の生活が10年後の体を作ると肝に銘じて、なるべくフレッシュな新人になるべく頑張ろうと思うのであります。みなさまも本当に健康第一! 春は寒暖差や気圧の変化が激しく、自律神経も乱れやすく体調を崩しやすい季節なので、どうぞご自身の体を労ってあげてくださいませ。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。