ぷーこの家電日記

第464回

イベント大好き、ホワイトデーも大好き

あぁ、とうとう3月に入ってしまった。1月は行く(往ぬる)、2月は逃げると言うけれど、本当にその通りだ……。とうとう来てしまった3月。わたくし45歳、今週末ついにマラソン大会初挑戦。ぜんっぜん走れる気がしない。練習しないとしないと思いながら、完璧な計画とは裏腹に練習不足は否めず。もうジタバタしても仕方ないので、全力で楽しんで這ってでも完走を目指すぞー! 私に元気を分けてくれー(笑)。

この初体験ドキドキハラハラのマラソンを控えているせいもあり、1月2月は週末も「走らなきゃ。練習しなきゃ」という、いつも何か引っ張られているような気持ちで、1週1週あっという間に時間が過ぎてしまった。

気持ちが引っ張られ過ぎているのか、結構イベント好きなくせに、今年はバレンタインデーを完全に忘れていた。スープメーカーのおかげで、夫に対しては何事もなかったかのように「今日はバレンタインデーだね!」くらいに準備できたりしたんだけれど、正直完全に忘れていた(笑)。

バレンタインデーの義理チョコ、賛否あるのは知っているし、私も新卒1年目のサラリーマン時代は、所属している部署20数名の中で女性が私1人で「なんだこの地獄のような風習は」と思ったもんだ。それでもバレンタインが私は結構好きで、それはきっと子供の頃に父親が会社の人たちから貰ってくるお菓子がとても楽しみだったからだと思う。

父は営業職だったので、会社の人やお客さま、そして接待で行った飲み屋でなどなど、結構チョコレートを持って帰って来てくれてた。「本当は4tトラック一杯あったんだけどな。重たいからこれだけ持って帰ってきたよ」と、毎年同じ見栄張り冗談に「はいはい」と答えながら、私たちに普段食べないようなチョコレートをくれるのだ。

本人はそれにはほとんど手をつけず、母が年に1度大量に買ってくれる大好きなロッテのRummyチョコをにやにやしながら、ちびちびと食べるのである。今年75歳になる父は、ずっと変わらず半世紀以上Rummyチョコを愛している。私がスーパーでRummyチョコを見ると、ニタニタ笑う父の顔が脳内に即時現れるほどに父はRummyチョコが大好きすぎるのだ。

そしてホワイトデーになると、父は母が用意したお菓子を大量に抱えて出社していた。もちろん父は母まかせで何もしない(笑)。でも持たされたお菓子はいつも好評らしく、何一つ準備をしないのに得意気に嬉しそうに家を出ていた。

何やら製菓や製パンの資格まで持っている母は、キロ単位で何種類もクッキー焼いたりして、現在人気のクッキー缶のようなものを数十年前に数十個作っていたんだと思う。私も結構料理するけれど、母には未だ完敗の完敗。そんな母がホワイトデー前に準備している中、つまみ食いというお菓子天国があるからホワイトデーも大好きだった。

そんな刷り込みみたいなものがあって、私にとってはバレンタインデーもホワイトデーもどちらも好意的なイベントなのである。バレンタインデーを忘れていたので、今年はホワイトデーにお世話になっている人たちにお菓子を用意することにする。仲が良い人には手作りを、手作りが苦手かどうか分からないくらいの関係の人にはちょっとした既製品を渡したい。

去年我が家の近所に100均のセリアができた。おしゃれなキッチン雑貨も多いと人気のセリア。覗いてみると、製菓材料や型なんかも沢山売ってあってとにかく楽しい! そして、先日はクッキー缶用の缶まで見つけてしまった。これに数種類のクッキーを詰めるだけで絶対に可愛いはずだ。

クッキー缶を作りたい欲をホワイトデーというイベントで発散するという、ただの自己満足イベントなのだけれど、子供の頃の記憶を追体験できるようでとても楽しみ。ただ作りたいだけなので、クッキー作りに失敗した時には、ホワイトデー自体を今年はなかったイベントとする(笑)。

今回バレンタインデーをコロッと忘れていた訳だけれど、結果オーライというか、忘れていて良かったなと心底思うことになった。

「こんなイベント大嫌いだ!」と思っている人にとって「人は人、自分は自分、あげたい人はあげたらいいけれど、私は絶対に参加しない」と強い意志を表明できる人ばかりではなく、嫌々ながらも周りの空気という、本来読むものじゃない物体を読まされたりする人も多かったはず。これまでその無言の圧力に無意識に加担していたのかもしれない。私もいい歳になり、きっと存在だけで圧だ(笑)。率先してそれは断ち切らなきゃならないなと思うのだ。

そしてもう一つは「お返し目当て」と思われたら嫌だなとは毎年思っていたのだ。ただのイベント好きな私がちょっとしたお菓子を渡すだけなのに、「何倍になって返ってくるんだろう。ぐへへへ」なぁんて強欲なことを考えていると思われたら嫌だなと思っていた。忘れていたおかげでそんな誤解もプレッシャーもなくなる。

こうやって改めて考えると、あげる側にも貰う側にも悪い面が多過ぎて、即刻取り潰しになるべきな気がしてくる(笑)。私としてはこのイベントがなくなる日が来ようとも、バレンタインデーは「普段売っていないようなチョコレートが買える日」、ホワイトデーは「カロリーなどの罪悪感を捨てて思い切りお菓子を作れる日」としてずっと勝手に盛り上がっていこうと思っているのであります(笑)。

【訂正】初出時、「1月は去る」としていましたが正しくは「1月は行く(往ぬる)」のため訂正しました(3月6日/編集部)

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。