ぷーこの家電日記

第319回

家にこもっている時間を楽しむしかない! おうちでご飯屋さんごっこ

 どんどん大変なことになってきて、いろんな業界が打撃を受けている新型コロナウイルス。経済損失は2兆円を超えるとかで、もうあちこちから悲鳴が聞こえてくるようだ。そんな中、これまたいろいろな物が店頭から消えて、私のお尻もあわや大惨事なことになりそうだった。

 買い占めで記憶に新しいのは、やっぱり東日本大震災の直後。あの時も店頭から見事にものが消えた。私は震災当日の金曜日、職場から数時間歩いて帰った後、テレビの報道を見ながら、家でひとり怖くて、じっとしていられなくなって、自分の気持ちを紛らわすように、家の近くの帰宅困難者向けの避難所におにぎりの差し入れに行ったんだ。

 家にほとんどお米が残っていなかったので、まず近所のスーパーにお米を買いに行くと、「これ、日曜日に特売になりますよ」なぁんてレジで親切に教えて下さった。「今欲しいんで大丈夫です」と買って帰り、1升ほどお米を炊いて、美味しい具材を詰めておにぎりにして持っていった。「温かい♪」と喜ばれて、何となく私の気持ちもホッと落ち着いて帰路に付き、またテレビを見ているだけで怖くなった。

 そして、その翌日の週末から一気に店頭から食べ物や紙類が消えて、「ヤバい! 先頭切って買い占めにきた人って思われてたら恥ずかしい! 違うんだ! 違うんだー!」って枕に顔を埋めてジタバタしてしまった事を覚えている。

 今の混乱はあの時と似ている部分もあるけれど、大きく違うのが、外食などで出歩く際の空気と注意だ。あの時は「大変な思いをしているのに、美味しいものを食べに行くなんて不謹慎だ!」という同調圧力なのか不謹慎狩りなのか、そんな空気が凄かったけれど、今回は気持ちだけの問題じゃない。実際問題、自分の感染リスクだけじゃなくて、知らぬ間に人に感染させるリスクがあるので、それこそ私自身「不要不急」の外出は控えたいと思っているし、職場でも指示されている。雰囲気自粛とは完全に違うのだ。

 家にいても、テレビをつけるとウイルス関連の報道ばかりで気が滅入るし、ネット上も批判や怒りや混乱の嵐で、かなり図太い私でも完全にメンタル持っていかれそうになる。「あぁ、何かに飲み込まれそう」とそっと離れて、自分の手の届く範囲=自分と夫のご機嫌取りに全力を注ぐことにしている。

 「こんな状況いつまで続くんだ!」なぁんて考えても無駄! ということで、今の制約の中でいかに楽しく過ごすかに全注力ですよ。前々回本連載「中止になった東京マラソン出場。そうだ、家の中でイベントするぞ!」で「NOME TOKYO」すごろくゲームをする! と意気込んでいたけれど、すごろくを作るって、結構脳ミソ使って難しいのねと、路線変更(笑)。家で居酒屋ごっこをして猛烈盛り上がったのです。

 「ごっこ遊び」は元々好きで時々するけれど、本気出したらかなり楽しいのでオススメ。居酒屋じゃなくてもパン屋さんごっこでもたこ焼き屋さんごっこでも、要は普通の家ご飯をパーティーぽく演出するだけなんだけれど、それだけでワクワクしてくる。

 今回は週末に、夫が仕事から帰ってくるタイミングで「居酒屋ぷーこまもなくオープン」の手書きポスターを貼っておいた。それだけで夫のテンションも上がりまくり(笑)。美味しい食材は、趣味の家庭菜園からの収穫物と、お気に入りの直産サイト「ポケットマルシェ」からいろいろ買って準備。お魚なんて丸っと1匹買っちゃったー♪

 「外食に行ったつもりで」という、免罪符みたいな魔法の言葉で、普段近所のスーパーで済ませちゃうような食材のめちゃくちゃ美味しそうなものを直販サイトで買ったりして、最高の美味しいを思い切り味わえるかなり贅沢な居酒屋完成だ。そして夫が寝静まった後に、居酒屋っぽいメニューを書いて作っておいた。この食材で何を作ろうかと考えながら書いていく。ひとり店主ごっこもかなり楽しい!

 メニューは大成功で、翌日「うわー! 本当に居酒屋さんだ!」と喜ぶ夫。「いらっしゃいませー! 何にしましょう?」と完全なりきりで、居酒屋さんごっこスタート。元は出場予定だった東京マラソンの中止から始まった企画だったので、エリート選手が出走する9時10分からスタートであーる。

 昼飲みどころか朝スタート飲みなんて、常識とか健康で考えるとダメすぎるよねと笑いながら、全力で走り抜ける我々! 夫からの注文を受けてはつまみを作り、「こちらオススメですー」と自分が食べたいものを注文させたりと、完全にバカらしい盛り上がりなんだけれど、1日中家の中で退屈せずに盛り上がった。

 お客さんが夫ひとりじゃ寂しいので、随時居酒屋の様子をSNSで呟いていると、友人からも沿道の声援のように「頑張ってー!」なぁんて言ってもらったり、「その居酒屋行きたい!」と言ってもらったり、会えないけれど、遠隔で一緒に盛り上がってくれて、かなり大盛況な居酒屋を営業できたのであります。

 家の中にいてばっかりじゃ体が鈍っちゃうので、そこをどう解消するかは考え中だけれど、ストレスコントロールに美味しい食べ物は最高にオススメだ。美味しいものをお腹いっぱい食べると、何となく気持ちも元気になる。

 しっかり食べてしっかり寝る。自分の機嫌を取るには1番良い方法だ。万年ダイエッターの私は、「この騒動が落ち着いたら本気出す」と、ダイエットを完全に後回しにしながら、次の居酒屋メニューを考えているのである。

 給食やイベントなどの中止で、行き場を無くしている美味しい食材をハンティングするのが、今の時期限定の私の趣味にもなっている。逆転の発想じゃないけれど、少しでも楽しいを集めて乗り切っていきたい! 手洗い、うがい、睡眠、栄養、笑顔! これが我が家の標語なのである。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まない30代後半。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。