ぷーこの家電日記

第211回

毎年繰り返される「定番」って、家族の深みで厚みだなと思った話

 12月は「師走だー! 忙しい!」とか、「大掃除無理ー!」みたいな感じで、ネガティブな感情に追われることもあるけれど、楽しいイベントもいっぱいあって結構好きだ。

 まず我が家では、12月に夫の誕生日が訪れる。「誕生日には、少しオシャレして、ちょっと美味しいものでも」なんて過ごし方をする方も多いと思うが、なぜか我が家の場合は、上野からすぐの御徒町の立ち飲み屋か大衆酒場に行くというのが定番になっている。

 昼間っから多くの居酒屋が開いていて、どこもかしこもお客さんが一杯で活気のある街、御徒町。寒いねーなんて言いながら安い熱燗なんかを飲んでると、「誕生日だねー! おめでたいねー!」という気分が盛り上がってくる! 今年の誕生日はちょうど週末の休日だったので、嬉々として昼間から酒場に繰り出す我々。昼間から飲むという背徳感ったらたまらない!

 一通りお腹と気持ちを満たした後は、アメ横をプラプラ歩いたり、周辺のお店でお買い物を楽しむ。私の母親が「旦那にジーパンでも買ってあげて」と毎年お祝いを送ってくれるのだけど、「なぜジーパンなのか?」と思いつつも、ありがたくジーパンを探したりするのが凄く楽しい。アメ横は戦後の闇市から始まった商店街で、アメリカ進駐軍の放出物資が集まっていたという歴史から、今でも非常にジーンズショップが多いのだ。

 普段はあまり買ってもらえないお菓子も大人買いしてもらって、子供のように喜ぶ夫に「今日でいくつになったんでしたっけ?」みたいな感じだけれど、この日ばかりは私も財布の紐も頭のネジもゆるゆるで楽しむし、実際楽しい! 我が家にとっては最良な誕生日の祝い方なんだと思う。そして歩き疲れた後は、さらにはしご酒。最後のお店では、「今年も1年元気に過ごせましたね」なぁんて、いつの間にか忘年会へと発展して、趣旨が変わったところでパーティは終了。

 結婚してから数年、こんな過ごし方をしているのだけど、そろそろ「定番」と呼べるくらいになってきた気もする。これってすごく嬉しい事。

 もっともっと古い我が家の12月の定番と言えば「クリスマスシュトーレン」。実家の母が毎年12月になるとせっせと焼いて送ってくれる。30年以上毎年作ってくれていると思うのだけど、この変わらない味を食べるたびに「クリスマスだぁ!」という気分になって嬉しくなる。美味しい店もたくさんあるし、新しいものもたくさんあるけれど、私にとっては唯一無二の味。まさしく「母の味」だ。この頃は、これを食べるとなぜか涙が出そうになる。涙もろくなってくるお年頃なのだろうか(笑)。

 そして、このシュトーレンに加えて、チキンを焼いてケーキも用意して、姪っ子家族とたっぷり食べて、ゲームしてお泊まりして過ごすパーティもだんだん定番化。12月に入る頃には、姪っ子へのプレゼントを手配しながら、「成長って早いなぁ」と親戚のおばちゃんらしい感想を持つのだけれど、こうやって毎年どんどん家族が育って、家族になっていくんだなぁと実はじみじみしているのです。

 そんな私に、今年はまた1人愛すべき家族が増えた。兄が結婚したからだ。兄夫婦とも去年一緒にクリスマスパーティをした。結婚する直前の事。私って小姑になるの初めてだし、ちょっとだけ緊張したような(笑)。

 楽しかったかなぁ? 気を使って実は疲れていたんじゃないかしら? などとちょっと不安になったりもしたけれど、そんな不安が一気に晴れたのがほんの先週の話だ。いきなり兄夫婦からクリスマスカード付きでプレゼントが届いたのだ。義姉の綺麗な字で、「去年のクリスマス会が楽しかったなぁと思い出したので、クリスマスプレゼント送ります」って。嬉しくて思わず踊ってしまったよ! 兄はそんなに気の利いたタイプではないので、義姉が準備してくれたんだろうなぁ。

 年明けに義姉は出産を控えてるので、今年は一緒に過ごせないけれど、私も義姉にクリスマスプレゼントを用意して送ることにした。喜んでくれるといいなぁ。きっと来年もその次も続いていくお付き合い。何年か経ったら「そろそろこの季節が」ってまた家族の定番となっていくのだろう。そう思うと、一朝一夕では作れない「定番」って、めちゃくちゃ幸せでありがたいことだなぁと、感謝の気持ちでいっぱいになるのです。今日から私も感謝教に入信だな(笑)。

 夫にとって、「我が家の定番の味」って何になっているのだろう。今度聞いてみよっと。「ハイボール」とか言われたら、パンチして反省だなと少しドキドキしております。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まない30代後半。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。