老師オグチの家電カンフー

阪神の強さの秘密? パインアメを溶かすために作られた謎機械

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
ライソン「パインアメ 魔法のシロップメーカー」。8月8日(パインアメの日)に発売された。価格は3,960円

強いっすなぁ、今年の阪神タイガース。振り返ること38年前、ワタクシは毎朝「デイリースポーツ」を買っていた高校生で、その年(1985年)タイガースは21年ぶりの優勝を果たしたのでした。3番からの打順が、バース、掛布、岡田(以下、長くなるので省略)。

今年のタイガースの強さの理由の1つとされるのが「パインアメ」です。岡田監督がパインアメが好物だとテレビで発言したことから、発売元のパイン株式会社から大量のパインアメが送られてきて、そこからの勝率が8割を超えたのだそう。パインアメのタオルで応援する観客はいるわ、岡田監督がパインアメを舐めている動画がYouTubeにアップされるわのカオス状態です。

そんなパインアメを熱で溶かしてシロップにしてしまう謎の家電が発売されました。ライソンの「パインアメ 魔法のシロップメーカー」(以下、シロップメーカー)です。

この製品の話を聞いたときは、正直「誰が買うん?」と思いましたが、タイガースがらみでパインアメが注目されている絶好のタイミング。ライソンといえば「焼きペヤングメーカー」をヒットさせた前科(?)もありますからね。「代打、川藤」ぐらいには期待してもいいんじゃないでしょうか。

「パインアメ 魔法のシロップメーカー」の本体とシリコン容器

で、実際にシロップメーカーを使ってみました。

まずは、シリコン容器にパインアメと水を入れます。「基本のシロップ」は、パインアメ10個なら水25ml、パインアメ15個なら水35mlの比率です。本体で加熱すると、徐々にパインアメが溶けていき、独特の香りが漂います。焦げつかないようスプーンで混ぜていくと、35分〜40分ほどでシロップが出来上がります。

「基本のシロップ」の材料は、パインアメ10個と水25ml
徐々に溶けていくパインアメ。たまにYouTubeで金属を溶かす動画を見るが、あれに近い楽しさがある

レシピブックに掲載されているメニューは、酢豚や照り焼きチキン、ピクルスなど全16種類(番外編含む)。最初に挑戦してみたのはバターチーズトーストでしたが、これは普通に美味。酸味のあるハチミツみたいで食欲をそそります。一番ビミョーだったのはカップラーメンで、個人的には二度とやらない(酢豚にパインはマスト、パインのピザ好きな方にはマッチするかもだけど)。

バターチーズトースト。これは万人受けする味
カップの塩ラーメン。いやぁ、これは……

じわじわ鍋をかき混ぜるのは、酒を飲みながら、テレビを見ながらの「ながら作業」がおすすめ。アメになったものを溶かすという、生産性を考えるとよくわからない作業ですが、子供の遊びみたいなもんで、それ自体に面白さはあります。特に酔ってると楽しい。

酒のツマミでありだと思ったのは、カマンベールチーズにパインアメシロップとナッツをかけたもの。ナッツだけをシロップに絡ませて食べても美味しいです。シロップが余ったら、ぜひビールに混ぜてみてください。台湾のフルーツビールっぽくなります。

カマンベールとナッツにGood!
ビールがパインビールに。シロップの量はお好みで調整するとよろしいかと

「パインアメ魔法のシロップメーカー」で遊びながらテレビでタイガースを応援。それが一部のタイガースファンのマニアックな観戦スタイルになるかもしれません。しかし、ほんまに優勝してしまうんか?

バニラアイスにも合う!
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>