老師オグチの家電カンフー

コンビニのレジ袋有料化への暫定ソリューションは意外にシンプル?

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
コンビニの買い物かごにレジ袋を入れ、レジに持っていくと……

レジ袋の有料化が全国で義務づけられてから1年以上が経ちました。レジ袋が有料化されたということは、すなわち無料ではもらえない、タダではないということです。

それで何が起こったか。個人的にはコンビニの利用が激減しました。スーパーマーケットではそれ以前からレジ袋が有料化されていましたから、エコバッグ自体は使っていました。スーパーは自分での袋詰めが前提でそのための場所が用意されていますが、コンビニにはそのスペースがない。

なので、コンビニでは、レジで会計する際に、自分のバッグ(普段リュックを使っている)を開いて、エコバッグを取りだし、バッグを閉じ、エコバッグをレジ横のスペースで開き、商品をひとつずつ入れなければなりません。さらに、お酒を買えば年齢確認の画面タッチが必要だし、バーコード決済となれば、マスクをずらしてスマホをロック解除、アプリを開いて操作する手間も加わる。最近は、支払い方法を画面で選択する必要も出てきました。その間、後ろのレジ待ちの客や店員が「トロいなこいつ」と思ってそうで落ち着かない。

ちなみに、エコバッグの類はいくつも持っているのですが、普段カバンに忍ばせているのは、マーナの「Shupatto(シュパット) コンパクトバッグ」です。使ったあと、商品名のごとく「しゅぱっ」と引っ張り、クルクルと巻くことでコンパクトになるエコバッグです。ただし、コンビニで使うことは滅多にありません。開く作業が意外と手間で時間がかかるからです。

というわけで、コンビニからは足が遠のいていたのですが、最近近所にセブンイレブンの新店がオープンしましてね。そこで新たなソリューションが得られました。お店に入ったとき、カバンの中にあったレジ袋を買い物かごに入れておいたところ、会計の時に店員さんが袋詰めしてくれるんですよ。「これに入れてください」と指示しなくても、だいたい入れてくれます。もしくは「これに入れればよいですか?」と確認されます。布などのエコバッグではなく、レジ袋のほうが確実です。

ほぼ10割の確率で商品を入れてくれます

新型コロナウイルス対策で、持ち込みの袋には触らない店もあるのかもしれませんが、おそらく大多数のコンビニではやってくれます。店員さんも、レジ待ちの行列を早く処理したいですからね。「楽しくかっこよくセクシーな」解決策ではないでしょうが、下々の庶民はこうして最適化を図っているんだと環境大臣には言いたいですね。

しかし、不思議なことに、コンビニでこれをやってもらうと、袋詰めという今まで当たり前だった労働に改めて感謝の念が生じてきます。レジ袋もサービスもタダで当たり前と思ってはいけない時代ですよ。

マーナ「Shupatto(シュパット) コンパクトバッグ M」は、買い物から帰宅し、袋の両端を引っ張り、クルクルと畳むことでコンパクトにまとまるエコバッグ。サイズはS・M・Lの3種類、色や柄はかなり豊富です
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>