老師オグチの家電カンフー

デスクトップPCも使えるポータブル電源でテレワークを止めるな!

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
Anker「Anker PowerHouse II 400」普段は39,800円がAmazonのセールで29,800円でした

ここ1年ぐらい懸案だったのが、ポータブル電源の導入です。ポータブル電源とは、AC電源の家電製品に対応した巨大モバイルバッテリーで、キャンプなどアウトドアと災害時への備えの2つの用途で売れています。

いざというときの電源として必要性を感じつつ、購入には迷いがありました。ひとつは価格。大容量になるほど使える家電の幅が広がりますが、800Whクラスで7万円以上、1,000Whクラスなら14万円前後と高額です。正直、いつ使うかわからないデバイスに払いたくないと思ってしまいます。防災に関してはまったくダメな思考ですが。

そもそも、わが家のあるエリアに公安関連の施設があるせいか、東日本大震災後の計画停電も実行されませんでした。だから今後も安心とは思いませんが、今ひとつ切迫感が持てなかったんですね。

あと検討する中で思ったのは、800〜1,000Whクラスを1つより、300~400Whクラスが複数あったほうが利便性が高いのではという仮説。複数あれば別々の部屋、戸建てなら階ごとに電源が確保できますからね。とまあ、ぐだぐだ先送りにしていたのですが、Amazonのセールで400Whクラスの「Anker PowerHouse II 400」が安くなっていたので購入しました。

とりあえず100%まで充電して、何に使ってみようか考えます。いきなり停電したら何をするか? 自宅で仕事をしているので、まずはパソコンまわり。停電時に光回線が使えるかは微妙ですが(ルーターに電源供給したところで、マンション内の設備がダウンするので)、オフラインで作業が続行できますし、スマホのテザリングを使う手もあります。

メインで使っているデスクトップパソコン(iMac)を「Anker PowerHouse II 400」につなげて起動してみると、ディスプレイには出力100W前後、使用可能時間は4時間前後と表示されます。ポータブル電源本体を充電しながら、別の接続機器へも同時に給電する「パススルー充電」にも対応。その場合の使用可能時間は、10時間以上になりました。iMacでの使用では、供給よりも出力の方が大きくなるので、日常的につなぎっぱなしにはできませんが、1日に数回停電するなど電力供給が不安定な状況では、UPS(無停電電源装置)ライクに使えそうです。ノートPCを使えばいいだろうという意見もありそうですが、老眼もあって画面は広いほど楽なんですよね。

iMac(27インチ)をつなげて起動
100%の状態から3~4時間は使えるようです

あと役立ちそうなのは、落雷時です。高電圧が流れるとパソコンなどが故障してしまいますが、ポータブル電源に接続して使えば、そのリスクも回避できます。

もちろん、実際に停電になったら、あれこれ家電をつなぐことになると思いますが、テレワークにおける備えとしてもポータブル電源は有用ではないでしょうか。

充電しながら使うパススルーなら使用可能時間は10時間以上に
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>